神田雑学大学
2000年1月14日

      

千葉の里山(ビデオ)


講師 内山昌一


目次

(クリックすれば該当の項に進みます)

講師紹介
晩秋の風景のビデオ
凍った川面に水鳥のいる風景
節分のヒイラギといわしの頭

カタクリ
ヒカリモ
緑色の桜
純白の梨の花
水面を蒸気が覆っている映像
青潮
月下美人
カラスウリの花
ちょっと珍しいもの
サクラの古木
コスモス


付録

リンク集


講師紹介

内山昌一講師プロフィ−ル
 内山氏は元々ビジネスマンですが、カメラを趣味として朝日新聞の投稿写真欄などで 、しばしばお目にかかる腕前でありました。1987年からはビデオに転向しました。 撮影したビデオ画面は一味異なる切り口があって、画面構成や光りのとらえ方に独特の ひらめきを感じさせるものがあります。


ビデオ歴 13年昭和62年 NHK報道局より感謝状
平成 元年 NHKニュース映像賞 優秀賞
平成 3年 NHKニュース映像賞 特別賞
平成 5年 NHKニュース映像賞 優秀賞
平成 7年 NHKニュース映像賞 優秀賞
平成 9年 NHKニュース映像賞 特別賞
NHK千葉放送局より 感謝状


(晩秋の風景のビデオ)

「千葉の里山」という題なので、急遽編集したもので3ヶ月位前の映像である。 千葉といっても広いのだが、これは私の住んでいる八千代市の風物である。撮っ たものを並べて編集していると、どこで終わっていいのかわからなくなったりす るのだが、このビデオは最終的に赤い夕日で終わりにしようと思った。しかしち ょうどいい夕日につながるような映像がなかったので、赤い柿の実にした。この 部分だけが、実は千葉ではなくて、山梨の柿である。
(真っ赤な実をつけた柿の木のカットでこのビデオは終わる。バックに犬の鳴き 声) 

ほとんどNHKの番組で放映されたものなので、ご覧になった方も多いかもしれ ない。夕方5時から始まるNHKの「イブニングワイド」という番組で、ニュー スとか話題の切れ目、インターミッションといっているが、そこで30?40秒 間、季節の映像を放映する。私の撮った映像も何度か使ってもらった。意外性や ニュース性のあるものは、そのままニュースとして使われたこともある。

八千代台は昭和32年に、日本に初めて団地が出来た団地発祥の地である。八千 代市は人口16万、そのうち2万人は市になる以前から住んでいる人だが、それ 以外は私同様他県から移り住んだ人ばかりである。習志野の練兵場の続きの山野 だったのだが、急速に住宅化が進み、半分都会、半分農村という所で撮影のモチ ーフは豊富である。

近隣の町が合併して市になったのだが、「千代に八千代に」という言葉もあるよ うに、縁起のいい名前ということで八千代市という名になったらしい。「八千代」 という地名はたくさんありそうだが、広島県、兵庫県、茨城県の「八千代町」、 それと千葉県の八千代市の四つである。

八千代市で面白いのは、皆さんご存じの七福神が、八千代では八福神である。七 福神はもともとは徳川時代に中国からきたもので、九福神というのが正しいよう だが、日本では9とか4という数字を嫌う。

一時、新聞にも「どうして八福神なの?」という記事が出たりしたが、今でも八 千代では八福神巡りなどをやっている。

八千代市の真ん中に川が流れていて、昔は、雨が降ると川(印旛沼)が溢れて、 水が逆流してしまう。この川に逆水橋という橋がある。川の流れが逆になったり するので、この名が付いたらしい。「ぎゃくすい」と読めば問題ないのだが、 「さかさみず」というのは辞書によると水の中にお湯を入れること、すなわち 湯棺と書いてある。本来忌み嫌うべき語を地名に付けたのはどうしてかと思って しまう。さかさみず霊園という墓地があるので、地名について尋ねてみたが 「知らない」といわれた。

「さかさみず」は川が逆流することだと思っている人が多く、湯棺の意味だと知 っている人はほとんどいないようなので、地名として抵抗がないのだろう。


(凍った川面に水鳥のいる風景)

21日は大寒。今ごろは1年でいちばん寒さの厳しい時期である。一昨年に大雪が 降ったのもこのころである。天気予報で「明日の朝は冷え込んで、都内でも氷点 下になるでしょう」という予報が出る時期である。

いくら寒くても、都内の川が凍るなどと思わない人が多いが、凍ることもある。 隅田川は凍らないが江戸川は凍る。「矢切りの渡し」からJRの鉄橋にかけての 辺りは氷が張る。凍った川を何回か写したが、これはNHKでも放映された。

なぜここだけ凍るかというメカニズムはよくわからないが、明け方の一番冷える 時間、5時半から6時ごろにかけて満潮になると凍る。もともとこの辺りはカー ブしていて、水があまり流れないのだが、満潮になるとさらに流れがなくなって 凍るのではないかと思う。

最初、電車から凍っているのを見て、次の年、寒い時期に見に行った。八千代か らこの場所まで45分くらいかかる。夜明け、日が昇ったころに撮らないと解け てしまうので、5時半ごろ家を出る。ところが行ってみたら凍っていなかったり して、そうなると急に余計寒くなってがたがた震えてしまう。

全面にしっかり氷がはりつめていたこともあるが、撮り方にコツがある。向こう の千葉側から日が出るのだが、逆光にしないと氷の面がうまく写らない。順光だ と、氷と水の差がうまく出ないのである。

朝5時ごろ家を出て電車に乗ると、車内は込んでいるし暖房もきいているので、 暑いくらいで、ガラスが結露したりする。さて目的地について、急に寒いところ に飛び出すと、今度はカメラが結露して動かない。

凍っている川を目の前にして、カメラが全然動かないことがあった。いろいろと 苦労もあるのである。


(節分のヒイラギといわしの頭)

ヒイラギは年代が経つと棘がなくなる。茨城県の光明寺という寺に、樹齢750 年というヒイラギがある。その葉は丸くてほとんど棘がない。しかし枝を切った とき、次に出てくる若枝の葉には棘があるのである。

ヒイラギ道場というのがあって、このヒイラギを人の人生にたとえて、年をとる と丸みが出る、というような教えを説いているということを聞いた。


(桜)

ソメイヨシノが咲く前、ヒガンザクラよりもっと早く咲くカワズザクラ。NHK でよく下田のカワズザクラを紹介しているが、そこから来た木である。 この品種は、オオシマザクラとヒカンザクラを交配させたもので、非常に色が濃 くて、ちょっと造花のようにも見える。

稲毛市にスーパーマーケットができたときに、20本ほどこの木を植えた。花の 咲く時期になると、地元のテレビ局などがよく撮影しているが、私も行って撮影 し、インターミッションとして提供した。非常にきれいなサクラである。


(カタクリ)

かつては八千代にたくさん自生していたらしい、それが山野草ブームで乱獲され、 今では自然の宿など公的な施設に移植して、保護されている。花の時期にはそこ へ行けば見られるのだが、市内ではもうほとんど見られない。

大事に保護しなければならないものだと思っていたが、たまたま秋田に旅行する ことがあって、地元の市場に行ったら、なんとカタクリが1束200円で売られ ていた。ごく普通の野菜として売っていて、おひたしにして食べる。 ものは試しと買ってきて、悪いことをしているような恐る恐るという気分ではあ ったが、食べてみた。 味は三つ葉とほとんど同じ。三つ葉の香りのないようなも ので、とてもおいしい。昔は下剤として使っていたらしく、「おいしいからとい ってあんまり食べると下痢するよ」と言われた。

クリックすると自動(ストリ−ム)再生されます。(約45秒)

(ビディオ画像の再生には、real player という名前の(無償の)プログラムが必要です。 左のロゴをクリックすると real player のダウンロードサイトへリンクします。)

(ヒカリモ)

南房総の竹岡というところに、ヒカリモというものがある、単細胞らしいが、あ る角度から見ると金色に輝いて見える。真上から見るとたんなる水にしか見えな いが、遠くから45度から30度くらいの角度で見ると、水面が一面に光って見 える。画面に見える筋は、なにか水の生物が動いた跡である。


(緑色の桜)

八重桜の並木にこれが混じっていた。名前がわからないのだが、大阪の造幣局の サクラ並木には、全部名前がついているので、これと同じものがあれば、名前が わかると思うのだが。

薄い、透き通ったような緑色である。ギョイコウという有名な緑のサクラがある が、あれとは違うようだ。ギョイコウはあちこちで見られる。習志野カントリー などゴルフ場などにも植えてある。

この花は、時間がたつと花びらがピンクに変わる。毎日撮影していないと、緑の サクラを写すつもりがピンクのサクラになってしまう。


(純白の梨の花)

八千代は梨の産地である。これは梨の人口受粉をしているところだが、重労働で ある。最初のころはミツバチを使っていたが、都市化がすすみ、方々に花がふえ て、ミツバチは梨園にいつかなくなった。確実に受粉させるため、現在は人間が 1つ1つ花粉をつけている。

受粉用の花粉には、ピンク色をつけてある。花が咲いている時期に、受粉用の花 粉があるのが疑問だった。受粉用の花粉が赤いのも不思議だったが、あれは、花 粉を付けた花と付けない花とを区別できるように、赤く色を付けてあるのである。

梨にはいろんな種類があって、花の時期が違う。新高という非常に大きな実をつ ける種類は、収穫が遅いが花は早く咲く。シンコウという名の梨も花が早い。そ れらの花を蕾のうちにつみとって、脱穀機にかけてめしべとおしべを分け、乾燥 機に入れる。1日で花粉が出て一面黄色になる。それを集めて人口受粉用の花粉 にする。

ここで生産されているホウスイやコウスイと、新高は相性が悪くて、シンコウと いう、実のまずい種類が相性がいいので、その花粉を使っている。梨園の農家は 1年中いそがしい。草取りや、剪定などの木の手入れ、木の幹の皮をむく作業も ある。幹の皮が厚くなると、削って落とさなければならない。

梨畑はセミが多い。夏に梨園の中を歩くと顔にぶつかるくらいである。木の皮を はぐと、中にセミの卵がたくさん入っている。

梨の木の形も、作業に都合のいい形に整える。以前はY字形にしていたが、トラ クターで作業中に、木に首をはさまれて亡くなるという事故が何件かあった。そ れで、最近はT字形に枝を広げるように作ってある。

梨は市場では鳥取や松戸が有名である。それ以前から八千代には梨があったが、 東京近郊ということで、道路沿いに売店ができ、そこでじかに販売してしまうの で、ほとんど市場には出ない。したがって知名度が低い。

最初は農協経由で出荷していたが、直接売ったほうが高く売れる。だから土地の 人以外は、八千代の梨といっても知らない人が多い。


(水面を蒸気が覆っている映像)

印旛沼の疎水路。春先、4月、サクラの少し前、朝。水温が外気より高いので、 水面から靄がたつ。NHKニュースでは何度も使ってもらった。朝早く行って撮 影しなければならないので、早起きして写してくれる人がいるのは便利なのかも しれない。(笑)


(青潮)

夏の稲毛海岸。もとの海岸から5,6キロ沖の人口海岸である。青潮は酸欠の海 であるが、たいへんきれいである。青潮のできるメカニズムは次のように考えら れている。

「やませ」という北東風がふいて、海面がひやされて、表面の水が下にさがる。 そのため海底にしずんだヘドロなどが攪拌されて、海水が酸欠状態になる。小魚 などがみんな浮いてくる。手ですくえる。赤潮は毒だが、青潮は酸欠で窒息して いるだけなので、これらの魚は食べられる。

浮いている魚、手掴みでとる人々。網があればいくらでもとれる。わたりがに、 こち、穴子などが波打ち際でぱたぱたしている。波で打ち上げられて、砂浜にあ がっているのもある。青潮は短時間で消える。


(月下美人)

ここの月下美人は珍しく路地植えで、寒い日はストーブをたくなどして大事に育 てられている。月下美人は咲く日が決まっていて、どこでも1,2日のずれで一 斉に咲く。ここには50株くらいあり、一夜に300輪が一斉に咲く。


(カラスウリの花)

白い糸状の花びら。日暮れと同時に咲き始め、明け方にはしぼんでしまう。カラ スウリは藪などでまわりの木にからみついていて、花はあまり見ることがない。 赤い実がつくと、はじめて気がつくことが多い。


[ちょっと珍しいもの]

1(サツマイモの花)朝顔そっくりで葉も似ている。親戚の科らしい。サツマイモはめったに花が咲か ないらしい。サツマイモの根に朝顔を接木したものもあって、これもちょっと珍 しい。

2(ジャガイモの実)花が咲いた後に実がなっている。農家の人は、ジャガイモにトマトがなったかと 思ったらしい。これは珍しいジャガイモの実である。北海道ではよく見られると いう。食べてみなかったが、切り口はトマトによく似ている。

3(ナス?ピーマン?)まるで同じ木に、ナスとピーマンが同時についているように見える。ナスは連作 をきらうので、最近は連作に強い種類に接木したナスの苗を売っている。 ヒラナスに接木したものだが、どうかしたはずみで、元の木の勢いが強くなった らしい。ヒラナスは平たいナスで、形がピーマンによく似ているが、正真正銘の ナスである。時間がたつと熟して赤くなり、トマトに見える。

ヒラナスに接木したものが全部こうなるわけではなくて、植え方その他、何が原 因かわからないという。

こういう映像をNHKなどに持っていくときは、事前によく調べてから持ってい く。なんだかわからないものでは、採用されにくい。それもある程度権威のある ところで調べないといけないのだが、私はいつも千葉県立博物館の学者に聞く。電 話で聞くとたいてい教えてくれるので助かる。

これも、すぐ「ヒラナスでしょう、根元をよく調べてください。接木してあるは ずです」というので、もう一度いって確かめてみたら、たしかにそうだった。


(サクラの古木)

樹齢300年以上ヤマザクラの大木。農家の人は350年というが、確かなことは わからない。地元の小冊子にこのサクラが出ていて、一度行ってみたいと思って いた。花の時期に出かけていくと、畑を通り墓地を抜けていったところの、なに もないさびしい場所で、畑の中に1本だけある見事なサクラであった。

珍しいのでNHKに提供したら、メディアの力はすごい。すっかり有名になり、 問い合わせが殺到し、たいへんな人出になるようになってしまった。花の時期に は押すな押すなの大賑わいである。

2本あったのだが、1本は枯れてしまったのだという。花の時期は4月の20日 ごろであるが、その時期は撮影しようというカメラマンが多く、場所のとりっこ で大変である。県道から1キロ半、せまい農道は長蛇の列である。 撮影は、まだ人の来ない早朝に限る。日曜などは、木だけを写そうと思っても不 可能である。

この木は個人の所有で農地の中にあるので、本当は畑に大勢の人が入り込むのは いけないのである。最近はサクラの木までの小道の両側に、縄を張ってある。入 場料をとるわけにはいかないのだろうが、そばで野菜を売っていた。

花はかなり小さい。山桜なので、葉も同時に出てくる。年によって花のつき具合 も違うが、年々花の数が少なくなってきた。

農家の人が肥料として、竹やぶの竹を燃した灰をやったら、翌年は木の勢いがよ くなったという話をきいて、「花咲かじいさん」の話を思い出した。 灰を振り掛けたら花が咲いたというあの話、まんざら嘘ではないかもしれない。 土壌が酸性になったので灰を撒いたといっているが、あの話は根拠があったのか、 偶然なのか。

秋、冬は誰もこない。
(冬の、雪の降り始めの時の映像がきれいである)


(コスモス)

最近いろんな場所で観光目的でコスモス畑をやっているが、佐倉では民間の農家 に委託して、休耕田を利用して栽培している。いろんな種類の種をまいて、手入 れをして育てている。

佐倉のコスモス畑はいろんな種類があり、色も多様。花の終わりごろの時期にな ると、無料で切り取っていいことになっている。大部分の花は終わっているが、 まだ残っている花もあり、また、種を取るために持ち帰る人が多い。今はやりの 黄色いコスモスもある。

4月には、チューリップ畑でオランダの風車をまわして観光客を呼んでいる。



今日ご紹介したものは全部NHKで放映されたもので、きれい画面というだけ でなく意外性のあるものが多いと思う。撮影にあたって私が心がけていること は、美しいものはより美しく、人を配置するカットは、ほのぼのとした雰囲気 で、そして楽しく、ということである。

−終わり−

(文責 大井直子)
写真撮影:杉本正HTML制作:田口和男