神田雑学大学 3月3日 講義録

外国人との上手なつきあい方

                     講師 熊谷知恵 

目次

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真摯に生きる熊谷知恵さん
異文化クイズ?
異文化コミュニケーションとは?
外国から見た日本とは?
外国人と付き合うコツ?
野の花・知恵さんに盛大な拍手を!


真摯に生きる、熊谷知恵さん!

「異文化コミュニケーター」って何だろう? 出席者みんながそう思った。
話をうかがってみると、彼女が「異文化コミュニケーター」になった発端は彼女の結婚にあったという。
知恵さんのご主人は中国の方で周さんといい、お二人の間には小6・4年生のお子さんがおられる。

そういう彼女の新婚生活は、毎日がずっこける日々だった。



たとえば、夜遅く友人が訪ねて来たとき、彼女が眠っていても全く気にせずに部屋の中に招き入れて遅くまで話し込んだり、突然に思ったことを口に出したりといったハップニングの連続だった。

知恵さんは、ご主人を変わった人だと思った。ところが、結婚して暫く経って中国・西安の周さんの実家へ行った彼女は、そこで一種のカルチャーショックを受けた。というのは、周囲の人、老若男女皆々がご主人のようなタイプ、つまり大陸型の人たちばかりであったのである。そこで彼女は初めて知った。いまでこそアメリカ文化が流入超過の日本ではあるが、中国と日本は同じアジア文化圏内と思っていたのは大間違い、両国間の文化には大きな隔たりがある、と。

この日から、彼女の猛勉強が始まった。150冊もの本を読破する。外国人にインタビューする。セミナーに参加する。そうして、「これらの知識・知恵を独り占めしておくのはもったいない」というわけで、1996年から異文化コミュニテーターとしてセミナーをもつようになり、1999年からはラジオ(武蔵野FM)のパーソナリティ番組も担当するようになった。まさに、結婚が、西安行きが、彼女の人生の転機だったのである。が、それも彼女自身が真摯に生きる何かをもっていたからこそであろう。

さて、先ずはそういう素敵な彼女の話を聞いてみよう。
今日の熊谷さんは、コメンテーターとして中国人留学生の劉さんを伴われていた。そして、話は劉さんとの異文化クイズで始まった。










異文化クイズ?

異文化ということをよく分かってもらえるために、ケーススタディから作ったクイズから始めたいと思います。

 Q1.私は中国人留学生です。あるパーティで日本人の鈴木さんが「今度、ぜ ひ家に遊びに来てください」と言ったので、訪ねて行ったら「何の用で すか」と言われて大変ショックでした。
 なぜ、彼はショックを受けたのでしょうか?
 A1.この「遊びに来てください」という日本の普通の「挨拶」に、外人の9 割が「招待」と思ってしまう。

 Q2.私は日本人です。食堂で韓国人留学生と一緒になりましたので、以前貸 していた食事代金を催促したら、彼はとても驚いた顔をしました。
 なぜ、彼は驚いたのでしょうか?
 A2.日本の友人どうしは割り勘が普通であるが、中国・韓国ではそれは失礼 になる。ご馳走してもらったら、いつかおごってかえすのが普通です。







 Q3.私はドイツ人留学生です。大学の事務局から呼び出され、アパートの大 家さんから洗濯物はよく絞っ干すようにとのクレームがあったというので す。とても信じられませんでした。
 なぜ、彼は驚いたのでしょうか?
 A3.日本でのクレームは角が立たないように人を介することが多いが、外国 ではクレームは直接本人に言うのが一般的です。







異文化コミュニケーションとは?

このクイズでだいたい「お察し」だと思いますが、慣習・文化の違いが、思い違いの源となっています。

1)異文化コミュニケーションとは?
 そこで「異文化コミュニケーション」ということの必要性が出てきますが、 これは元々はアメリカで生まれた考え方・学問なんです。
ご存知のように、開拓精神でつくられたアメリカは人種の坩堝と言われ てい ますが、そんな環境から「多種の人々が、一緒に生活し、仕事をして いくた めにはどうしたらよいか」と考えることが、どうしても不可欠だったのです。










2)文化とは何か?
次は「文化とは何か」ということが問題になってきます。
先ず文化には、
イ)能とか、歌舞伎とかいった「特別の文化」があり、
ロ) 一方では、その国々の多くの人たちが「当たり前にやっている文化」が あります。
その次に、このロ)は、
a)衣・食・住のように「見える文化」と、
b)習慣・ルール・価値観・コミュニケーションスタイル・信念・宗教といった「 見えない文化」に分けられます。
私たちが「異文化コミュニケーション」を言うときには、ロ)−b)の「見 えない文化」を指しているのです。

3)国際人とは何か?
で、「国際人とは?」ということになりますと、「まず自分の国の文化を知っ て、そして相手の国の文化を知り、その違いを認め、尊重し、よりよいコミュ ニケーションがとれる人」だと言えるでしょう。

4)異文化コミュニケーションとは?
そうしたうえで、「異文化コミュニケーションとは?」ということに戻ります と、体験だけではなく、知識として本日のテーマのように「外国人との上手な つきあい方〜異文化コミュニケーションを学んで今日からあなたも国際人〜」 となるわけです。



外国から見た日本とは?

では、「自分の国の文化」はいったい何でしょう。
これにはいろいろありますが、その一部として次の5点を挙げたいと思います。

1.美意識が高い。
  特に、自然美をしぜんに採り入れるのが上手い。
  庭などは勿論のこと、料理そのものやそれを盛る器にも表れ、目で楽しんでいる。
2.勤勉である。
  約束を守る。やるべきことをやっている。特に、お金と時間については真面目である。足が速いのも、通勤電車が込むのも時間に真面目だから。






3.集団主義である。
  よい成果を出しているが、自分の意見がない、言いずらいという欠点にもなっている。
4.細やかである。
  日本人の長所であるが、おおまかな外人にとってはストレスにもなっている。
5.あいまいである。
 言葉に重きをおかない。「察する」という素晴らしい能力があるが、ハッキリ言わないために誤解も生じている。




外国人と付き合うコツ?

これらの日本の見えない文化を「良い・悪い」と論じようというわけではありません。ただ、コミュニケーションという視点に立ちますと、5.の「あいまいである」ということが問題になって、その対応が「外国人と付き合うコツ?」の回答になります。
それが次の3点だということは、もう皆さんはお分かりだと思います。

1.ハッキリ言う。
2.「日本はこういう慣習だ」という説明することが必要。
3.感情を抑えて話す。

野の花・知恵さんに盛大な拍手を!

いかがでしたか?
外国崇拝主義でもなく、自国偏重でもなく、「自分を知り、相手を知って、その違いを認め、尊重し、よりよいコミュニケーションをとる」、そして「日本はこうだという説明する」というところがいいですね。

余談ですが、いまアメリカは世界に対して「グローバルスタンダード」を唱えています。それは世界のなかでアメリカだけが、多くの人種と共にに付き合っていく文化をもっていることがベースになっているからなんですが、そのベースこそが熊谷さんの提唱する「異文化コミュニケーション」という考え方であることは、もう皆さまお気づきのことと思います。
というわけで、この思想は決して無視はできません。

それにしても熊谷知恵さんという方は素晴らしい人ですネ。
一般に、私たちは問題発見か、問題解決かのいずれかの能力はもっています。ところが、真摯に生きる彼女は独りでその両方を磨いて、異文化ショックを逆手にとられたのです。
まさしく、彼女こそ野に咲いた、みごとな花≠ニいっても言い過ぎではないでしょう。

(おわり)
完(文責 ほし ひかる)

会場写真撮影:
HTML制作:大野令治 HTML編集:田口和男