神田雑学大学 6月2日 講義録

21世紀と未知エネルギー

講師 井出 治




目 次

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講師紹介

健康産業とクリーンエネルギー

"現在のエネルギー事情と環境

プロメテウスとパンドーラの物語

ソーラーや風力はほんとうにクリーンか

電気自動車

清家新一氏の新エネルギー理論

アメリカのエマモーター

アメリカの学会誌に論文掲載

NASA主催の国際会議で研究発表



講師紹介

井出 治



1949年愛知県生まれ。立命館大学理工学部電気工学科卒。
'73年、あるきっかけから、従来のコンセプトにない未知の新エネルギーの研究を始める。
'95年、アメリカ物理学会の「応用物理学ジャーナル誌」に論文を掲載、注目を浴びる。
'99年、NASA主催の国際会議で発表。
現在、社団法人日本緑十字社のクリーンエネルギー研究所長。
                
        
   著書 「パンドーラの遺産」 ビジネス社刊
   共著 「未知のエネルギーフィールド」 
      「フリーエネルギーの挑戦」 
      「フリーエネルギー技術開発の動向」他
      

健康産業とクリーンエネルギー

社団法人日本緑十字社のナチュラルグループというのは、自然食品・健康食品のフランチャイズを展開している会社であるが、私はそこで、約16年間、この新エネルギーの研究をしている。

普通、どんな大きな会社でも、3年で新しい研究の結果が出ないとそこで終わりになることが多いが、私の場合、商売で結びつくようなものはなにも出ないにもかかわらず16年間続いているというのは、ほとんど奇跡に近い。
ほかに健康食品関係の研究もやってはいるが、私のメインテーマはこの研究である。


現在のエネルギー事情と環境

今の発電の原理というのは、約160年前にイギリスのマイケル・ファラデーが発見した電磁誘導原理をもとにしている。それを数式的に見事に仕上げたのがマクセルであり、この2人によって現在の理論は完璧にしばられている。

ところが、このファラデーが見つけたもの以外の発電の方法、起電力が存在するというのが、私の発見した「非線形新電磁誘導理論」である。

現在の環境問題でいちばん大きな問題はエネルギー関係である。今のように化石燃料、あるいは原子力を使い続けると、当然化石燃料は使い尽くしてなくなるし、事故の危険のある原発では将来の見通しが立たない。
ついこの前も、それから2年前も東海村で事故があったし、チェルノブイリやスリーマイル島のことを思い出してほしい。原発1基で広島型原爆500発分くらいの放射能のもとがあるのである。それがわかっていてなぜ原発を続けるか、それは他にないと思っているからである。
では原子力に替わるものは、ほんとうに何もないのだろうか。


プロメテウスとパンドーラの物語

私がいいたいのは、原子力というのは「パンドラの箱」だということである。パンドラというのはギリシャ神話の登場人物だが、この話はプロメテウスの火の話と表裏一体になっている。

日本石油の本社ビルの前にプロメテウスの像があるが、プロメテウスは人間に火を与えたことでゼウスの怒りにふれ、コーカサスの山につながれることになる。その後ゼウスはパンドーラに箱を与えたのだが、この箱から不幸や災いが飛び散ったあとに希望だけが残ったという話はよく知られている。原子力はこのパンドーラの箱ではないと思う。


ソーラーや風力はほんとうにクリーンか

そこで、石油や原子力以外に何があるかということで、今さかんに研究されているものが自然エネルギーといわれるものである。一般的に自然エネルギーといわれるものには、ソーラー、風力、バイオマス、潮力などがあるが、これらは果たしてパンドーラの残した希望なのだろうか。私はそうではないと思う。

これらのいわゆる新エネルギーといわれているものは、よく考えてみれば昔から知られているものばかりである。太古の昔から人類は太陽エネルギーを使っているし、風力利用はドン・キホーテの時代からあった。バイオマスという新しいものもあるが、今注目されているソーラーと風力は新しいエネルギーのコンセプトがなにもない旧エネルギーである。

しかし、これらは石油や原発と違ってクリーンだと思われるかもしれないが、果たしてそうか。
まず、風力。確かに環境を汚さないが非常にうるさいし、プロペラで野生の鳥が死ぬことが多い。さらに常に一定の風が吹いているところでないと、非常に効率が悪い。アメリカのカリフォルニアのように土地がいくらでも余っていて、いつも一定の風が吹くという所では有効かもしれないが、日本のように土地が狭く、台風がきたり無風だったりするという国ではどうか。

デンマークなど、ヨーロッパでは風力発電がさかんになってきているようだが、日本ではおそらくこれではやっていけないだろう。

ソーラーはどうか。将来、家庭の電気がソーラー自家発電でまかなえるようになると考えている方もいるかもしれないが、たいへんなまちがいである。
これの大きな欠点は、このソーラー電池のパネルを作るのに大きなエネルギーを要するということである。これに要したエネルギーをどのくらいの期間で回収できるかというのが、いちばん大きな問題である。

ある環境のエキシビションで質問したところ、係りの人がいうには3年かかるということであった。
どういう計算かは知らないが、雨の日や曇りの日の割合をどのくらいに見積もるかによってかなり違うはずだ。メーカー側はひいきめに計算しているであろうから、まあ6年はかかるのであろう。

彼らのいうとおりだとしても、3年たってはじめてクリーンなエネルギーといえるのだが、さらに、このパネルの耐用年数を考慮しなければならない。おそらく20年未満であろう。したがってコスト的にペイしないことははっきりしている。その点は風力についても同様のことがいえる。

ソーラーを使った完全エネルギー自給住宅をつくった人のことが新聞に出ているが、この住宅の場合、建築費が900万円ほど余分にかかったということである。電気代でこれを回収するには34年かかるらしい。そのうちには、設備が老朽化してくることも考えなければならない。

この家の奥さんの談話として「建築にかかった費用はすぐに回収できると思ってやったが、そうはうまくいかないらしい。でもよいことだし、夫の道楽を許すことにした」とある。
これが本当のところであり、科学者の道楽といってもいい。これが、現在のクリーンエネルギーの現状である。

経済的に成り立たない、だから政府が援助するというのが、現在の新エネルギー開発の現状である。つまり民活の考え方である。こういった政策で、たしかに多少景気はよくなるかもしれないが、ほんとうの意味での新エネルギーの開発とはいえないのではないか。


電気自動車

次に電気自動車と水素自動車について検証してみよう。
'92年に東電が世界最高レベルの電気自動車を作り、私も乗せてもらったことがあるが、はたしてほんとうにクリーンエネルギーといえるのか。
電気自動車というのは自力で発電するのではなく、発電所で起こす電気によって走るのである。発電所で電気を起こすということは、石油や原子力をつかって環境を汚染しながら発電するということであり、その部分を全部忘れて、電気自動車はクリーンだというのは矛盾である。

では水素自動車はどうか。水素は燃やしたら水しか出ないからクリーンだという発想なのだが、これもまったく電気自動車と同じことである。水素をどうやってつくるかということを考えていない。
水素が自然界に豊富に存在して、石油のようにどこかから汲み上げてきて使うというなら、これは申し分なくクリーンである。しかし水素は工場でメタンガスや天然ガスにエネルギーをいれて作るのである。ここで既に使った大量のエネルギーのことを考えずに、できたものだけきれいだといっているのはまさに虚構である。

さらにメタンガスや天然ガスから水素を作った後に残るCOとかCO2をどうするかという問題もある。現在の新ネルギーの開発では、そういうことが明らかにされていないことが多い。
これは'92年の新聞記事だが、その時点で既にスイスは、電気自動車は環境に対してなんの意味もないと明言している。

最近話題になっているものに燃料電池があるが、これも水素エネルギーなので、水素自動車と全くおなじ原理である。

つまり電気自動車も水素自動車も、元をたどれば原子力と化石燃料に行きつくだけである。既にあるものを変化させているだけで、真の意味での新エネルギーとはいえない。

ここでユニークなものを一つ紹介したい。家庭で出る天ぷら油の廃油を回収して、ディーゼルエンジンのエネルギーに変換し、それで自動車を走らせている人がいる。植物油を使っているのだが、植物というのはもともとはソーラーエネルギーであり、排ガスも非常にきれいで、この燃料はクリーンだといえるだろう。
しかし日本中で使われている植物油を回収しても、必要量の1%にも満たず、他にも廃油を使っているところやトウモロコシからとったアルコールを使ったものなどもあるが、量的には慰め程度でしかない。



清家新一氏の新エネルギー理論

清家新一氏が30年ほど前に翻訳した「超相対性推進理論」という本があるが、私はこれを読んで触発され、この研究を始めた。清家理論というのは簡単にいうと、空間そのものがエネルギーをもっているということである。空気中にエネルギーがあるのではなくて、空気をとりのぞいた空間、真空でのエネルギー、ゼロポイントエネルギーがあるということが、既に物理学的にもわかっており、そのエネルギーを取り込むことができれば、発電もできるし、UFOのような物体もできるというものである。非常に面白いと思い、その研究者たちのグループに入り研究を始めた。これが、私のこの研究の始まりである。

日本のマスコミでは報じられないが、NASAではずっとこのような研究が続けられており、国際会議も開かれている。今の科学技術では、人間がロケットに乗って宇宙に出ても火星に行くのが限界である。それ以上行くためには、まったく別の推進方法を考えなくてはいけないのだが、それが、つまりUFOの原理の研究である。

そのUFOのエネルギーは何かというのが私の研究につながるわけであるが、何もない空間がエネルギー源になり得るのなら、そこからエネルギーを取り込もうというのが私の考え方である。


アメリカのエマモーター

アメリカのエドウィン・グレイの発明したエマモーターというのがあるが、これを実際に見に行った人の話を聞いた。

このモーターはバッテリーをつかってまわすのだが、使った以上のエネルギーが出る。さらにおどろくべきことには、モーターを回しても発熱しないのである。このモーターのことを知り、清家理論が実現しているのではないかと思った。
しかし、このエマモーターは大きく報じられることもなく、発明者のグレイも死んでしまった。

エジソンと同じ時代の科学者で、エジソンのライバルであったテスラーについては、日本ではあまり知られていないが、彼は交流電源や無線通信のもとになるテスラーコイルなど、数多くのすぐれた発明をしている。テスラーは、現在の携帯電話のようなものがいずれ出現するであろうという予想さえしている。そのテスラーの隠れた研究にこの新エネルギーの研究があったのではないかと思われる。

その流れを受け、アルフレッド・ハバードという人物がある特殊なトランスフォーマーを発見し、それでモーターボートを動かしたが、それがどうも電源がいらないものらしい。
さらにソルトレイクシティのトマス・ヘンリー・モーレという人物がやはり同じようなものを作っている。

私の研究はその流れを追うものと考えていただいていいのだが、いろいろと頭で考えているだけではだめなので、'78年に最初のモデルである試作0号機を作った。ここで今の研究の基本になる、ある現象を発見した。その後現在の会社に移り、'86年に試作1号機、'87年に試作2号機を作った。

さらに3号機をつくり、無限エネルギーの糸口になる可能性がある「未知の第三起電力」を発見した。どういう現象かをわかりやすくいえば、入力の電気エネルギー、出力のエネルギー、内部損失エネルギーなど、それらを厳密に測定すると、どうしてもアンバランスが生ずるというものである。


アメリカの学会誌に論文掲載

ちょうどそのころ、高温超伝導、常温核融合など新しい現象が次々に発見された時期である。どれも一流の科学者がやっていて、しかるべきところに論文が載っているので、世間に評価されるのである。

私は最初、アメリカ電気学会の論文誌に発表しようとしたが、そこには掲載することができず、内容を一部手直しして'95年にアメリカ物理学会の学会誌に掲載することができた。
この論文に関して、アメリカの学者が雑誌で論評したり、ヨーロッパでも関連の論文が発表されたりしたが、残念ながら日本国内では反応がなかった。


NASA主催の国際会議で研究発表

さらにその後、発見した未知の第三起電力の理論解析をすすめ、数式化を試みた結果、第三起電力に非線形性を発見した。それらの研究結果を、昨年の12月、カリフォルニアのサンタバーバラで行われたNASA主催の国際会議で「非線形新電磁誘導理論」として発表した。

以後、完全な動作をする新クリーンエネルギー装置の実働モデルをめざし研究を続けている。

自然界の法則はほとんど無限級数で表すことができる。しがたって、2種類の既知の起電力、すなわちファラデーの電磁誘導とフレミングの起電力以外にも、新しいものがいくらでも存在するのではないか。それらの新しいものが、21世紀以降のエネルギー源になっていくのではないだろうか、というのが私の考えである。


− 完 −
(文責:大井直子)

会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作:大野令治
掲載写真選定、画像データの編集、HTML編集:田口和男