神田雑学大学 6月16日 講義録

「ガーディアン・エンジェルスって何だ」

講 師

武田信彦(たけだのぶひこ)



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講 師 紹 介

ガーディアン・エンジェルス
(アメリカ)の生立ち


日本ガーディアン・エンジェルス
について


日本ガーディアン・エンジェルスの
目的と意義


日本ガーディアン・エンジェルスの
組織活動



講 師 紹 介
武田 信彦(たけだのぶひこ)23才
特定非営利活動法人
日本ガーディアン・エンジェルス東京副本部長
前池袋パトロールチーム・リーダー

私は、東京副本部長という肩書きであるが何でもやる係ある。
現在,学生であるが、来年の就職も確定したので、
今年もがんばるぞと思っている。 私はこの日本ガーディアン・エンジェルスに入って5年になるが、
日本のガーディアン・エンジェルスの活動も、1996年2月の活動開始から
5年目になるので、1年めから活動していることになる。

東京本部 TEL:03−5459−2005
E-mail:tokyo@angels.or.jp
Home page:http://www.angels.or.jp

ガーディアン・エンジェルス(アメリカ)の生立ち 1979年、ニューヨークの犯罪多発地域であったサウスブロンクスで、現総代表であるカーティス・スリワ氏ほか12人の若者たちにより、 ガーディアン・エンジェルス(以下、GAと略す)が誕生した。
現在では、世界11ヶ国、50の都市で多くのメンバーを抱える国際的な犯罪防止NPO(非営利活動団体)として活動している。

アメリカでは、体格の良い人が多い。それは、ギャングが居たり環境がもっともっ と悪い中で活動するためには、屈強とでもいうか、自警団的イメージの活動をしてい たからである。
(写真参照:中央の皮ジャンを着た人がアメリカのGAを作った人)

ギャングの横行が普通のニューヨークで、カーティス・スリワはマグドナルドの夜間マネージャーをしていて、 店の前で毎日事件が発生していた。彼は何とかしたいなと思い、店の前の掃除から始めた。 マグドナルドの仲間と始めたのがガーディアン・エンジェルスのはじまりなのである。

彼はパトロールをするにあたって、アメリカに居ながら武器を所持しなかったし、防弾チョッキもつけなかった。 つまり、丸腰で始めた。GAの活動で5人の殉職が出ているが、活動を続けて行った。 このようにして次第に大きな組織にしていって、世間に認められるようになっていった。

彼は、若者がギャングに流れていってしまうのを、どうにか惹きつけたいと思った。若者達による犯罪が起きるのを、何とか防ぎたいと思った。 キャンペーンをやっても1日で終わってしまうし、講演会をやっても来るわけもない。

そこで活動にギャング・スタイルをとり入れた。スタイルとは、例えばマーク入りのシャツを着る。 このシャツをカラーズとよび。私服を着た時は人種はばらばらだけれど、カラーズを着た時はみな一緒だ。 合言葉を作るのがギャングの一つのスタイルであるが、例えば「どっかの何かをぶっつぶす」
「俺達には赤い血が流れている」というように合言葉がギャングには持っていた。
GAは、合言葉として「Dare To Care」すなわち、我々はその中でもあえてお世話をする、人を助けたい、とした。 この合言葉は、当時は馬鹿にされたけれどあえて打ち出した。

日本ガーディアン・エンジェルスについて
小田啓二氏(28才北海道出身)が、語学を習いたくてアメリカのに渡り、ボストン大学に在学中にこの活動にめぐり合った。 ニューヨークの本部長をアジア人である彼が初めて5年間勤めた。 阪神大震災とかオウム真理教の問題があった時に、たまたま帰ってきていた。 GAのことが話題になり、彼がニューヨークの本部長をやっているということで取材を受けて関心が高まった。 反響が非常に高く、電話が1日に三百とか四百とか掛かった。彼いわく「僕はずーっと日本に居るつもりはなかった。 気が付いてみると日本に居た」。

小田氏は今でもニューヨークと日本を行き来している。 行政に安全をまかせっきりするのはまずいのではないか、と安全神話が崩れていた時でもあった。 安全に対して皆さんは客観的に第三者の立場で見ていた。

しかし、実際に被害にあってみると、あるいは身近に被害者を見ていると、被害に対して、 安全に対してもっと積極的に参加すべきだと気付き始めたのではないだろうか。 加害者に対して非難の声を上げる人は多い。また、マスコミもそうである。 しかし、被害者に対しては「かわいそうね」「大変ね」というくらいで、どちらかというと軽く見られていたのが実際であった。 こういった被害者に対しての支援や被害者を出さないことが大事ではないかと思う。

日本GAは、東京に本部があるが、他に支部として、西東京、大阪、仙台の3ヶ所、また現在、広島市に開設する予定である。 東京GAのメンバーは、160人くらい居る。常時出てくるコアースタッフは70人くらいである。東京支部は渋谷、新宿、 池袋の3チームを抱えている。その他に西東京(吉祥寺)にある。 年令は、下が16歳から上は広島で72歳の方がが居るが、年令には関係ない。平均年令で23〜24歳である。

平成11年4月に経済企画庁から「特定非営利活動法人」として、いわゆるNPO法人として認証された。 メリットもあるが、事務が煩雑になるなどデメリットもある。

日本ガーディアン・エンジェルスの目的と意義 日本におけるGAの目的は、基本はアメリカのGAをベースにしているが、アメリカの場合は先にも述べたように、ギャング・グループに対抗する位置にあり、 青少年をギャンググループに流れさせない事が大きな目標でもあった。そして、GAというグループに魅力をつけ、青少年を取り入れて行ったことで成功し、 市民からも認証を得た。アメリカのGAは市民にもよく知られ、積極的な提案も出るなど、言ってみれば市民権を得たことになる。

しかし、日本におけるGAはまだ規模も小さく、名前も知られていないし、活動の内容も知られていない。地域に対する発言権も小さいが故に、 市民権も得ているとは言いがたい。これからであるが着々地力は付けつつあることはまちがいない。

GAの目的は次の2つがあげられる。

<目的1>
繁華街を中心とした青少年の非行・犯罪防止

緊急救護活動、環境美化浄化活動などを主軸とし、地元の皆さんと共に各地域の  特性に合わせた活動 

被害者の立場で支援する

犯罪防止活動

GAを一言でいうのは難しいが、あえていえば「犯罪防止ボランティア」となろう。 犯罪防止の何が大事かと言うと、被害者を出したくないという考えが強くある。 警察の役割は、事件が起きると、加害者と被害者をきっちりと出し、責任あるかたちで事件を立件して裁判所に持って行き、 解決していくことにある。警察の防犯活動として、 PR活動とか地元のパトロールなどを行なっている。

同じ犯罪を防止する立場にいるものの、GAと警察の違いは、対象を青少年を中心に考えており、 彼ら青少年の目線に合わせて活動している。 GAが、例えば、池袋の街中に入って、不登校の高校生や茶髪、 若い子の中に入っていっても、何の抵抗感はない。

この赤い帽子やカラーズは彼らはみな知っている。青少年の犯罪、特に10台の若者が犯罪に染まっていってしまっているが、 犯罪を防ぐという意味が、抑えこむのではなくして、何とか違う方向にもっていけないのか、そのような考えに立つと、 以上のようなプログラムが生れてきたと言えるのではにだろうか。

地域中心の活動
こういった繁華街における犯罪防止活動は、地域の理解や承認を得なければ成り立たないものである。当然、 社会性や文化といったものは、 地域によって異なり、地域に密着した活動を心掛けている。 他のボランティア活動と比べ、犯罪防止が難しいことは、目に見えることが非常に少ないこと。したがって、 数字に表れないことが挙げられる。 ただ、新宿の警察署に言わせると、 GAが活動している日は明らかに110番通報が少ないという。特に、路上で起きる事件は、がくんと減るとのことである。 日本では、アメリカのように自警団的な要素を持つより、服装とか言葉遣いなどにも気を配り、デリケートに活動している。

被害者の立場になる
被害にあった人は警察署ではテンションが上がっているからいいが、家に帰って一人になると、ショックで自分を支えるものがない。 犯罪の度合いにもよるが、落ちこむ寸前に街で会った時に助けてあげたいと思っている。 犯罪が起きないようにしてあげることも大事だけれど、出くわした時にも助けてあげたいと思っている。 また、女性メンバーが中心になってやっているが、痴漢が電車内で悪さをした時、われわれ男性が「コラーッ」といって捕まえることはできるが、それだけでは問題解決にはならない。 女性から見れば、相談する先が弁護士や警察しかないのだ。OLや主婦達が同じ目線で(つまり民間で)、そういった問題の相談に乗ってあげることができるのではないか。
<目的2>
上記の活動に付随して、あるいは並行しての青少年の教育
GAの最大の活動目的は犯罪の防止活動にあるが、活動に付随して、リーダーシップの発揮、あるいは、自分の能力を試してみるとかいろいろなチャンスがある。 そういったチャンスを提供するのもGAの目的である。「若い人にチャンスをあげる」
今、17才の少年犯罪が話題になっている。この犯罪の背景はいろいろあるが、その犯罪を防止する一つの手段として、 若い人にチャンスをあげる、場を提供するのも日本におけるGAの役割ではないかと思っている。

アメリカでは、若い人が自分でどんどん進めて行くのに驚いた。彼らの中心が17〜8才で、殉職した多く者がやはり同じ年令である。 彼らの仲間内で自然にリーダーが育つようになっている。 日本ではなかなかそうはいかない。部活に入ってもチャンスは限られている。学校から外に出れないし、 主将になれなかった人、レギュラーになれなかった人は多く居る。そう人達にチャンスがない。我慢しなければならない。

17〜8才だとインターネットで情報はいくらでも入ってくる。俺はこんなもんじゃないんだな、もっとやりたいことはあるはずだ、と空回りしてしまって、ボーンとはじけてしまうんだ。
若い人にGAに来てもらって、プログラムの中で、音楽を創る、映像を撮る、絵を画く、発言するといったことから「GAにいたら、久しぶりに何か燃えた」と言わせたい。 「リーダーシップの発揮」
若い人達にとって、憧れの対象となる目標となるリーダーを求めているのではないだろうか。あるいは引っ張っていってくれるリーダーを求めているのではないだろうか。 逆に、リーダーになりたい人もいるのではないだろうか。 引っ張ってくれる人が必要だし、もっともっと彼等と話をするべきだし、チャンスを作ってあげるべきだ。

GAでは、リーダーシップを大事にしている。日常の活動で、若い入りたての人に何気なくリーダーをやらせると、リーダーの素質が有るかわかる。自分の考えを主張し、 好奇心が強い人がリーダーになることが多い。ハイハイとリーダーの指示を聞いてくれる人、指示待ちの人はリーダーになれない。 指示待ちの中にも、機会を与えてやるとちゃんとできるのが居る。俺しか居ないという場面になるとできる。 「メンバーの教育」

ストリート・スマート(街でうまくやっていく方法)という言葉がある。これは現場で実際に体験するしかない。法律との付き合いを含め、人を助ける、人を説得する、 理屈っぽい人と話をするにはどうしたよいかなどなど、街ででうまく、賢くやっていく方法は、場数を踏むと次第にわかってくる。

例えば、事件にであった時に、まず安全を第一に考え、5人でグループを組んでいる時であったら、事件に直接介入できるかもしれない。 しかし、2人の時はやめろといってる。つまり、介入することで危害が加わるかもしれないし、同時に責任ある結果が得られないからである。 では、どうしたらよいか。事件の発生を止めることも大事だけれど、事件の解決を行なうことも大事である。


110番通報でもよいし、メモ帳に克明に書いておくことも事件の解決につながる。時間、場所、経過を書いておいて警察官にメモを渡すだけで事件の立件はできる。 名前を言う必要はない。これで事件は解決する。 事件に巻き込まれた時に、録音機にスイッチを入れ、事件の経過を録音しておく。その録音が自分の保全につながるのである。

危険の中に飛び込んで行っても、なんの補償もない。保険が貰えるわけでもない。怪我でもすれば「あいつは馬鹿だ」とも言われかねない。 しかしあえて危険の中に飛び込み無事に戻ってくること、そして結果を出してくればさらにとなるが、そのこと自体が誇りになる。
報酬が貰えるわけでもないのだから、GAの一員としてのプライドを満足させた、となるのではないだろうか。護身術がわれわれの保険であるし、 知識、智恵がわれわれの保険である。 こういった自分の身を守る術を、街でタイミングよく、状況に応じ会得していく、これもGAの活動を通じての教育だろう。

日本ガーディアン・エンジェルスの組織活動
日本におけるGAの活動はいくつかあり、ここに紹介する。
サイバー・チーム
21世紀の産業革命いわゆるパソコンによる"インターネット"の発展により、インターネット内の悪質な犯罪が増えている。 これはデリケートな活動だけれど、悪質ホームページ、例えば児童ポルノなど、日本の規制とか法がまだまだ甘い中で、民間で 取り締まるのではなくチェックしていくしていく一つの部門である。これは世界規模で見ると、サイバー・エンジェルスと名前は変わるが、 オンラインの犯罪防止としては世界最大の機関、団体である。
日本では現在、組織を立て直す意味でお休みしている。需要が多いのであるが、事件が多く、質問や頼れる先として110番的にわれわれに掛かってくるケースが 多いので対応し切れない。体制を整えてからやろうということで休んでいる。

ジュニア・エンジェルス
ジュニア・エンジェルスとは、もともと小学生を対象としたプログラムである。現時点では、女性のメンバーが中心になり、 地域の小学校のPTAを対象とした学区内のパトロールの指導を行なっている。 子供たちが安心して遊べる環境にするため、例えば公園内のどこをチェックしたらよいかとか、コミュニケーションをどういうふうにしたらよいかとか、 警察とどのように付き合っていったらよいか、などの活動を行なっている。


災害緊急救援チーム
平成11年8月17日に発生し、甚大な被害をもたらしたトルコ地震での被災地の状況把握のため、阪神・淡路大震災においてボランティア経験のあるメンバーを選抜し、 8月26日から9月6日にかけて現地にて情報収集活動を行なった。

すなわち、今、人為的にどんなボランティアが必要なのか、 どんな援助物資が必要なのか、あるいは日本人はどんな状況なのかを調べて、 政府機関やボランティア団体に情報を流すのが役割である。

また、派遣される人達は応急救護するスキルを持っているので、現地で応急処置をしたりする。ほかに、語学が達者なメンバーもいるので、 グループになって災害地に派遣されていく。派遣されるメンバーは屈強な体格を持った人が多いので、医療チームをサポートしたり、 また、食糧の配給に際し盗難や混乱を防止したりする支援を行なっている。

サムライ塾
武道をトレイニングしている部門で、技術を高めたり、われわれの活動で護身術が必要になる時があるので、 そうした時のために技術を教えてもらったりする。

以上でガーディアン・エンジェルスの活動の内容をお話したが、多分、理解されにくい部分もあったと思う。われわれメンバーは、何か困っている人があれば、 直ぐにでも飛び出して行って、助けてあげたいという人の集まりである。 助けてあげたことにたいする報酬は、プライドを満足させることである。結果は小さなことから、 大きなことまでいろいろあるが、 今日ここに居られる皆さん方の理解と協力があってこそ、われわれのプライドも大きな満足になり得るものだと信じている。

ー完ー
(文責 橋本 曜)
会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作、編集、画像データ挿入:上野 治子