神田雑学大学 7月14日 講義録

7 月14日「橋の話あれこれ」

講 師  大平拓也さん


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目 次

講師のご紹介

日本の橋梁技術

質疑応答

講 師 紹 介

大平拓也さん
昭和22年国鉄入社。一貫してトンネル橋梁を含む鉄道建設を担当。
主要な仕事は、東海道新幹線の土木分野の規準を作成。鉄道建設公団で東京外環状線の土
木建設及び、上越新幹線建設の計画から施行まで総指揮を執りました。
現在まで如何なる豪雪にも定時運転を確保できているのは、私の誇りであります。
その後ゼネコンに移って、民間で建設工事の受注にあたることになりました。

日本の橋梁技術

橋は人間の生活に密着した機能を持った施設ですが、多くの方々は文学や
映画に出て来る情緒的で単に飾りやファッションとしてご理解になっているようです。
今日は、人間生活における橋の役目ややや技術的になりますが、構造的な点をお話して、
皆さんの橋を見る目を変えて頂こうと思って伺いました。

さて、私が社会に出た昭和22年頃の日本の橋梁の建設技術は欧米に50〜70年程遅れていました。
近代の日本の橋は震災後、隅田川に架かっているものから始まりますが、此れは総て欧米の模倣でした。

そもそも橋梁建設の技術的なレベルを示すのは、スパン、つまり、土台から土台までの長さにあります。
日本でこのスパンが100mを超えたのが、昭和30年でした。この頃の欧米の橋はスパンが1000mを超えていました。

昭和42年、外環状線の沈埋トンネルの調査でサンフランシスコに出張した際に、アメリカ中の多くの先行事例を見学しました。
金門橋、ブルックリン大橋等は1000mを超えているのに、まだ馬車の走った時代から架っているという話に唖然と致しました。その後約30年、現在の巨大橋梁の記録では、

1.明石海峡大橋(日本) 1,910m

2.グレートベンド・イースト(デンマーク) 1,624

3.ハンバー橋(イギリス) 1,410

4.江陰長江(中国) 1,385

5.ツィンマ橋一番橋(中国) 1,377
と、日本が世界でブチギリの最長記録をつくりました。 では、これからは橋の構造、特に上部構の話を致しましょう。 橋を分類すると、

(1)桁橋、

(2)トラス橋、

(3)アーチ橋、

(4)斜張橋、

(5)吊橋、

(6)片持橋、

(7)その他

以上、橋の技術的な話を致しました。是非皆さんに橋の構造について関心を
持って頂きたいと思います。

<質疑応答>

1.コンクリートを流す最適な時期は?

コンクリートの強度は温度に左右されます。また鉄とコンクリートの線膨張
係数は同じなので、コンクリートの柱には鉄筋を入れます。
PC(プレストレスド・コンクリート)は、コンクリートを予めピアノ線で圧縮して引っ張り応力を持続させています。

2.英仏海峡トンネルは日本が輸出したそうですが、橋の輸出は?

英仏海峡の海底はチョーク層という掘り易くて、水が浸入しにくい層が続い て容易でした。
これに比べて、青函海峡トンネルは段層が13本連続していて、困難を極めました。
断面をセメントで固めながら、その内部を掘っていきました。

3.明石海峡大橋建設時に、阪神淡路大震災がありましたが、問題は?

2000mにつき、1.2mずれましたが、両方から吊ってある構造では問題はありません。トンネルでは、丹那トンネルでは、1.5mずれました。これは大問題で汽車が進みません。今後とも地震は心配ですが、全国の活断層はあちこちに分布していますが、地震の頻度は17万年に1回以上発生する断層なので今日明日にはあまり心配しては居ません。

4.明石海峡大橋の寿命は?

100年単位で保証できます。欧米の橋は既に100〜200年経過していて、
修繕方法と適切な保守を続けていれば半永久的に持つと考えてよいと思います。

5.温度差で橋の高さはどのくらい変わるんですか?

20℃で、高さは5m、左右で10mの差が発生します。また重量では、
10連機関車を通す実験でも、望遠鏡の視野から消える程落ち込みましたが、
問題はありませんでした。

ー完ー

(文責: 鈴木 一郎)
会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作:上野治子
HTML編集、画像データ挿入:田口和男