神田雑学大学 8月4日 講義

「私は観客家」
講師 高島 琴美 氏

目 次
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 1.講師紹介
 2.バリアフリ−シアタ−・ジャパンとは
 3.バリアフリ−シアタ−・ジャパンがめざすもの 目標
 4.バリアフリ−シアタ−・ジャパンのゆくえ
 5.ホ−ムペ−ジの紹介

1.講師紹介

 講師の高島琴美さんは以前札幌で学校事務職員をしていた。 もともと演劇が好きだったが観ることのみならず脚本から劇団の背景,公演の準備,舞台装置の組立解体,裏方のスタッフの協力といった面にも興味があった。
 札幌は大都会といいながら演劇鑑賞の観点からみれば遅れており地元にプロの劇団が殆どない。 東京からやってくる劇団の地方公演が楽しみだったが機会も限られており演劇の普及をはかるボランテイア活動にも目をむけたがやはり限界があった。
 ふつうであれば,たんない観客の立場に飽きたらず演劇制作にのめりこむ人が多い中で彼女は観客の立場を確立させたいという思いがつのって「観客家」という耳慣れない仕事を することになった。
 すなわちたんなるボランテイアでなく,一つの事業体として,視聴覚障害者の演劇鑑賞の バリアフリ−化と,それに対する社会的認知の推進を行う必要があると考えたからである。 この運動に首を突っ込んだ一つのきっかけは高知の団体で目の不自由な人達が演劇を見る という試みがなされているという事を知ったことにあるという。
 演劇に関心がある人のなかに目の不自由な人,耳の不自由な人,身体に障害のある人が 意外に多くいることを知り,この人達にも演劇を楽しんでもらうにはどうしたらよいか身をもって出来ることからやってみようという気持ちが高じて単身この仕事を立ち上げたいという勇気のある女性である。 思いつきで行動するはねあがりでは決してない。話を聞いて見ると非常に論理的で地道に実体をしらべてひとつひとつ問題を解決していく忍耐強い人であることが分かる。

2.バリアフリ−シアタ−・ジャパンとは

 最近,一部の劇場,劇団,地方公共団体,ボランテイアグル−プの努力でなどで少しずつ 観客席の多様化が実現しつつありますが,まだまだ散発的で,継続的なサポ−ト体制を 作っていくためのネットワ−クもできていません。
バリアフリ−シアターの仕事というのは「観客席の多様化をはかる」ことにあります。 具体的には視聴覚障害のある人もいっしょに演劇を楽しんでもらうにはどうしたら良いかを考え実行していこうというものです。
 このためにはどうしたらよいか まず,ノウハウの構築,そして共有に必要なネットワ−クを形成することが必要です。 この運動を継続的に発展させていくには機器開発・維持費用,台本作成,朗読,操作など多くの人達の協力と資金が必要になってきますが,ネットワ−クが構築できて「視聴覚障害者の演劇鑑賞のニ−ズ」を顕在化することで,資金の問題が解決できる可能性が大きいと考えています。この運動が盛り上がっていくことによって
  1. 演劇関係者にとって,新たな観客層の拡大が見込まれる。
  2. 行政や公共ホ−ル,あるいは劇場が視聴覚障害者へのサポ−トの必要性を理解する
  3. 寄付や助成の対象として明確なジャンルが確立する
  4. サポ−トのノウハウ確立や事業拡大でサポ−トに必要なコストを下げることが可能
これによって,さらなる観客席の多様化が望めるのではないでしょうか。

  


3.バリアフリ−シアタ−・ジャパンがめざすもの,具体的な目標

  バリアフリ−シアタ−の運営がうまくできるためには数多くのボランテイアグル−プの協力がなければなりませんがボランテイアの関係構築として
・ 責任感=使命感,達成感=成功への期待感=責任感の形成へ
・ 相互の信頼感=一つのことを創る意志の統一
がうまくかみあわなければなりません。 そのためには 
  1. 視聴覚障害者を含む観客席のバリアフリ−を目指し,観客層を顕在化し,日本の状 況にフイットしたサポ−トシステムを確立すること
  2. 公共ホ−ルの状況,演劇鑑賞協会などの鑑賞組織の状況,劇場と劇団の関係などをきちんと認識し整理し,そのうえでその状況を改善できるところは改善を提言し,働きかけを行っていくこと
  3. 劇団でもない劇場でもない「バリアフリ−な観客席実現のためのサポ−ト組織」として外部から参画してその役割を全うすること
これらの実現をめざすにはなにをすべきか,なにからすべきかということを整理してみ ますと
  1. 演劇情報の提供(インタ−ネットなどによる情報発信,劇場へのアクセスなど)
  2. 視聴覚障害者に対する特別なサポ−トがなくても鑑賞できる公演の情報 (たとえば一人芝居,ダンスなどの公演の情報)
  3. ハ−ドを必要としない観客のサポ−ト方法の開発(事前に必要な人にテ−プを作っ て渡すなど)
  4. ポ−タブルなサポ−ト機器の開発による ハードを持たない劇場での日本語字幕,音声ガイドの容易な実施
  5. バリアフリ−なハ−ドを持つ劇場施設そしてバリアフリ−な公演を行う劇団
このような仕事を演劇活動に携わる全ての人、グル−プが目的を理解してなにが協力で きるかを整理しコ−デイネイトしていく必要があります。

4.バリアフリ−シアタ−・ジャパンのゆくえ

バリアフリ−シアタ−の実現を目指すには大きな障害が山積していますが,その最大なものは資金と関係者の継続的な協力にあります。このような状況のなかで
  1. 活動原価の削減,情報システムの運用経費の負担の軽減
  2. NPO法人化
  3. 学校との連携
  4. 活動参加者,支援者の拡大
  5. 演劇鑑賞団体との連携
  6. デイジ−などの新しい技術の活用
  7. 演劇鑑賞者,劇場との連携
 を推進して全国的な運動にもっていけたらと考えています。

ホ−ムペ−ジの紹介

   講師がいままでやってきた活動や考え方についてバリアフリ−シアタ−・ジャパンのホ−ムペ−ジに詳しく記載されていますので興味のある方は是非
http://www.bft-j.shibuya.tokyo.jp
をご参照ください。


−おわりー
文責:得猪外明
会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作:石川美雅
HTML編集、画像データ挿入:石川美雅