神田雑学大学 10月6日 講義

自分のルーツの調べ方
講師:長谷川 順音 氏
(日本家系史研究会 会長)
(日本民族系譜学会 副理事長)


目 次
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 1.女性を大切に−家系調査の意義
 2.家系調査のイロハ
 3.名字で決まる人間関係
 4.家系調査演歌

1.女性を大切に−家系調査の意義

 最初にお断りしておきますが、「ミョウジ」の「苗」は「苗裔=末の血筋、末 孫」からきていますから、「苗字」と書くのが正しいのでしょうが、私は「名字」 を使っています。と申しますのは、私は毎朝『法華経』をよんでおり、その中に「名字不同」と ありまして、「名字」というのが身体に染み着いてしまっているのです。
 さて、私たちには当然2人の親がいます。その親にはそのまた親がいます。つ まり祖父母が4人、そして曾祖父母は8人、さらに高祖父母が16人、と代を遡る ごとに2倍になって、二十代遡れば私たちのご先祖は100万人を突破することにな ります。
 このことを逆に見れば、私という人間は100万人分以上の血と遺伝子を引き継い いでいる末裔だということが言えると思います。
 これがまさに「姓」という字が「女から生まれる」と書く由縁であり、また 「姓」という字には「女性を大切にという意味がふくまれている」と私は考えて います。
 家系調査を20年以上も続けていますと、そのようなことを現に痛感いたします し、また「女性を大切にすることが、家族・一族の幸せ・繁栄につながる」と私 は確信するようになった次第です。
 ところで、私たちの周りには多くの名字がありますね。
佐藤・鈴木・田中・高橋・渡辺・山本・中村・小林・伊藤・斎藤・加藤・吉田 ・山田・佐々木・松本・木村・井上・清水・山口・林・・・。
 これは名字ランキングのベスト20ですが、日本の名字はいったい幾つあるでし ょうか。 推計で、約29万2,000種類あります。日本は世界第一の名字大国です。
   その中で、貴方の名前のルーツは?
   ちょっと調べてみようとは思いませんか!


2.家系調査のイロハ


1.今すぐ「戸籍謄本」を集めよう。
 戸(家)ごとに戸主や家族の続柄・氏名・年齢・性別などを記載した公文書で ある「戸籍」というのがあります。
 日本では、中国に倣って6世紀ごろから朝廷の直轄地領の一部でつくりはじ め、大化改新後の律令国家では6年ごとに全国的につくられていましたが、10 世紀にはほぼ廃絶していました。それが明治維新で復活され、今にいたってい るわけです。ただし、明治時代の戸籍の「戸」の思想には、「一家」という強 い概念がありましたが、戦後の戸籍には単に登録簿とか記録簿とかの意味しか ありません。
 話は横道にそれましたが、この戸籍を集めていけば、明治まで遡った系図、 すなわち6代ぐらいは明確になります。
 ただし、「除籍謄本」にご注意ください。どういうことかと言いますと、除 籍、つまり結婚や死亡によって1つの戸籍全員が消滅したとき、戸籍簿から外 して別綴じにしたもの(除籍謄本)というのがあり、これは除籍してから80年経 つと廃棄処分となるのです。もしかすると、あなたの探している謄本がこれに あたり、1日違いで「廃棄」という事態になっているかもしれません。だから、 ルーツ探しに関心のある方は、「先ず、『戸籍謄本』を集めることからスター トしてください」と私は主張しているのです。

2.菩提寺に行って「過去帳」を書き写そう。
 皆さんには、一家が代々帰依して葬式や追善供養を営む「菩提寺」というの があると思います。奈良時代の氏寺が発展して菩提寺となったものですが、そ こには、檀家・信徒の死者の法名・俗名・死亡年月日などを記した帳簿「過去 帳」というのがあります。
 これを書き写して整理すれば、江戸時代の中ごろまでの家系はほぼ分かりま す。ただし、「過去帳」が一般的になったのは「寺請制度」がさだめられた16 40年以降ですから、それ以前を遡るのはなかなか困難なことになります。そう した場合は文献などをたよりに調べることになります。
 また、「過去帳」の文字はたいへん読みづらいものですから、字を勉強した り慣れたりすることも大事なことです。
 偶に、菩提寺が消失してしまった場合があります。そんなときは「寺院本末 帳」を調査して消失した寺院の本筋の寺院に行けば「過去帳」が保管されてい ることもあります。
 さらに、市区町村史などで菩提寺の歴史を知ることや、戒名・位牌・墓石な どを調べることも大切なことです。さらに、郷土史や藩史なども勉強することも欠かせません。

3.地名について調べよう。
 名字(苗字)の85%は、地名に起因しています。
 先述したように、日本の名字は約29万強ありますから、名字の約25万ぐらい は地名からきているというわけです。
 ですから、地名調査は有効ですが、その地名は日本には推定1,000万ぐらいあ ります。それに合併などで地名が変更されたり、滅失してしまった場合もあり ますが、とにかく「名字を見たら、地名と思え」ぐらいの見方をしても構わな いでしょう。
 余談ですが、私は名字を聞いたら「ははぁ、この方は何処の出身だな」と想 定できます。
太田亮の『姓氏家系大辞典』(角川書店)という家系調査する者にとって、バイブルのような辞典がありますが、これなどを捲りましても、その「名字」の 発祥の地が明記してあります。
 例えば、青森県弘前市青樹町から鹿児島県大口市青木まで日本各地に青木と いう地名があります。「青木」さんという名字を調べるとしますと、武蔵国榛 原郡青木村の青木さんやら、甲斐国巨摩郡青木村の青木さんやらたくさんの青 木さんがあります。さて自分はそのうちの何処で発祥したのだろうかというの が、家系調査のスタートになるわけです。
 それには文献や家紋などを調査して固めていきますが、それでなくとも人間 は流移する動物です。特に戦乱など歴史的事件が勃発した場合は、必ずといっ ていいほど移動しています。
 その発祥の地から、現在の菩提寺のある地へと辿っていくのが、家系調査の 醍醐味であり、歴史浪漫であります。

4.家紋を調べよう。
 例えば、先述の武蔵国榛原郡青木村の青木氏の家紋は「丸に揚羽蝶」で、甲 斐国巨摩郡青木村の青木氏の家紋は「武田菱」です。
 私は、どちらの青木か。家紋から推理することも可能なのです。 絵に描いた名字と言われています日本の「家紋」は24,000個ありますが、絞 り込めば450個ぐらいになります。絞り込むというのは基本に戻してみるといっ た意味です。分家したりすれば、梅の紋を丸で囲ったりした図案にしていくわ けです。
 ですから、自分の家の紋が、揚羽蝶に入るの、菱の部類に入るのかを調べて、 家系を特定していくわけです。

5.調査のおさらい。
 ここでもう一度おさらいをしてみましょう。
1) 戸籍謄本を全部集めましたか?
2) それを基本に系図にしてみましたか?
3) 年号は西暦にしましょう?
4) 基本文献を研究しましたか?
5) 先祖が移動した歴史を調べましたか?
6) 位牌・過去帳・墓碑は調べましたか?
7) 墓地は本家・総本家の分まで調べましたか?
8) 前の菩提寺の位牌堂を調べましたか?
9) 名字・家紋が変わった時期はいつですか?
10) 土地台帳・宗門人別帳を調べましたか?
11) 先祖が住んだ土地をよく調べましたか?
12) 市区町村の歴史資料を調べましたか?
13) 古文書にも目を通しましたか?
14) 古老の話を訊いたり、アンケートなどを実施してみましたか?

3.名字で決まる人間関係


   以前、八切止夫という作家がいましたが、その方から教えてもらった「名字相 性法」をご披露します。論理的でないとおっしゃるかもしれませんが、これが不 思議と当たっているのです。
見方は、青(ア)木という人は、ア行を見ます。
すると、高(ア)橋さんとは人間関係がうまくいくが(○)、井(イ)上さんとはま あまあ(△)で、上(ウ)野さんとはあまりうまくいかない(×)からご注意を、とい う風に見るのです。皆さんも、お試しください。

 
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4.家系調査演歌


  最後に、私(ペンネーム:市川香舟)が作詞した歌を2曲ご披露します。 家系調査のノウハウも入れておりますから、まとめのつもりでお聞きください。

家系哲学普及演歌
人 生 系 図
作詞:市川香舟 作編曲:中島昭二


栄枯盛衰 歴史の常か ひらく系図が その証拠
この時は 苦難がつづき この人が 頑張り
俺も負けずに 戦いぬくぞ 七転八起きの ああ 人生を
遠い祖先の 涙と汗が にじむ系図に 身がしまる
この年に 血筋は絶えて この人が わが家を継いだ
幸も不幸も 心で決まる 報恩感謝を ああ 忘れまい
過去の歴史と 未来の希望 むすぶ系図に 今日がある
   この時を 子孫のために この人が残した家系
俺も守るぞ 正しく強く 系図は人生 ああ 開く地図


家系調査推進演歌
二 人 で ル ー ツ を
作詞:市川香舟 作編曲:中島昭二


大地に深く 根を張れば 草木は伸びる 枝も葉も
二人が幹で 子孫は枝葉 ルーツをだから 知りたいの
家系たずねて ああ あなた私と 花咲く人生を
源氏に平氏 藤原氏 それとも紀氏か 橘氏
遥かに遠い ご先祖よりも 身近の人が 親しめる
戸籍あつめて ああ 夢を広げる 五代の親族図
姓氏と地名 大辞典 紋章学で まなぶのよ
過去帳・位牌 菩提寺・本家 ルーツの謎を解き明かす
家系たどれば ああ あなた二人の 行く手に幸せが

−おわりー
文責:ほし ひかる

会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作:石川美雅
HTML編集、画像データ挿入:石川美雅