神田雑学大学
2000年11月17日(金)開催
特別企画:パネルディスカッション

IT社会になっても高齢者や障害者に
ディジタル・ディバイドは起こらない


司会:
パネリスト:


遊網人
さといもさん 三上さん DOZEさん マーチャン

企画趣旨、概要紹介

遊網人こと田口和男さん(58才)
http://www.etaguchi.com
今年のサミットで議題に取り上げられたおかげで、日本でもようやく? ITに対する関心が高まりましたが、一方では高齢者や障害者を一方的に 「情報弱者」と決め付けて「ディジタルディバイド」が必ず起こる?とする 風潮があるのが大変残念です。そのような風潮に対してすでにIT社会を 迎えても柔軟に新しい環境に順応して、アクティブなライフスタイルで活躍 されている「先進的な」高齢者や障害者がいらっしゃるので、皆様に是非ご紹介したいと思い このパネルディスカッションを企画しました。
パネルディスカッションに入る前に「ディジタル・ディバイド」について簡単に解説します。

ディジタル・ディバイド(Digital Divide:情報格差)が、IT社会に「なじめる」人とそうでない人との間で、 結果的に経済的な「格差」が生じること、を表記する用語として使われている。
1999年の米国国務省の報告書で使われたのが最初とされているが、米国のクリントン大統領による 2000年年頭教書でも引用され、ディジタル・ディバイド(DD)が発生しないようにするための政策が 提言されたことから注目され時事用語になった。

原語の意味は、パソコンを使ってインターネットの利用について情報検索、収集能力に加えて情報を「発信できる」 能力がある人、無い人を区別する(または差別する)ことである。ディバイド(divide)という語の意味は、 「区別する」「差別する」ことで、ある種の能力(たとえば、パソコンの操作やインターネットの利用)ができるか、 できないかで、人を「区別する」「差別する」ことと理解すべきである。最近DDの訳語として「情報ディバイド」 という表記も散見されるが、元の意味が正しく理解されていない訳語である。

米国では、DDが原因で低所得者層の発言機会を少なくしてしまうことが、人種差別につながるのでは ないか、ということへの懸念から大統領年頭教書の提言を受けて、貧困地区に技術センターを設立したり、 労働者訓練を支援する企業への税制上の優遇策、公立学校によるインターネット接続のための予算の割当て、 などの施策が発表された。 http://www.digitaldivide.gov/

ディジタル・ディバイドが発生する要因としては@先進国と途上国との間で、パソコンの普及率、データ通信環境の整備状況の差がある。
A都市区域と地方区域で使える通信環境として広帯域、高速、な通信が安価で使える、使えない、 モバイル通信が容易にできる、できない。
B高齢者にはパソコン画面の文字が小さい、キーボード操作に慣れない。
C視覚障害者は使えない。
DWindowsパソコン以外(例えばMacなど)のユーザでは利用できるデータ(音楽データなど)が 制限される。
などが挙げられている。

パネラーへの問いかけ(その1)

パネラーの皆様は、すでに現役を退いていらっしゃいますが、現役時代のご専門やお仕事のキャリアが あったので「そのおかげで」DDを乗り越えることができたのでしょうか?それとも「誰にでも」乗り越えることが できるのでしょうか?また、乗り越えたと感じていらっしゃる「障害」がありましたら、それはどんなことだった のでしょうか?
現在挑戦している方、これから挑戦しようとしている方たちへのアドバイス、などがありましたらお聞かせください。

三上卓治さん(71才)
http://homepage2.nifty.com/zatsugaku/

現役時代は紙パルプの営業部門に勤務していた。 PCのを使うようになったのはリタイアしてから 初めての経験だったが何でも「やればできる」ことを改めて認識した。 吉祥寺雑学大学の抄録作成を20年間続けている。 インターネットは講師と受講者との間で「双方向の」コミュニケーションが できるところがすばらしい。 これからは画像、音声、などを含むコンテンツの発信ができるようになるので さらに期待が持てる。

DOZEこと杉浦幾蔵さん(80才)
http://www.asahi-net.or.jp/~pa9i-sgur/

現役時代は総合電機メーカーで情報機器の製造部門に勤務していた。 リタイアしてからDOSマシン(PC98)のユーザになった。 当初は「めくらヘビ」状態でチャレンジした。 自分が高齢だったために周囲から「使えるハズがない」と冷やかされた。 パソコン通信のNifty-Serveに参加してからカアクティブユーザになった。 特に画像通信のフォーラムに参加して多くの新しい知己を得た。 当初のPCは16色カラーの貧弱な仕様だったが、現在はパソコンも4代目となり CPUも高速(400ー500Mhz)になりHDの記憶容量も数GBのものが安価に買えるように なっていて「隔世の感」がある。 PCやインターネットの操作や利用ができる、ということは年齢には関係ない。 要は「やる気」があるか、ないか、の問題である。 高齢者が情報弱者として「疎外」されることは大変な「スジ違い」である。 98年から自身のホームページを開設している。 Nifty-Serveの「メロウ・フォーラム」に参加して、オフ会の写真などを掲載している。 このフォーラムから誕生した「メロウ倶楽部」のホームページ制作も支援している。

マーチャンこと若宮正子さん(65才)
http://member.nifty.ne.jp/Marchan/

現役時代は大手銀行のOLだった。情報システム部から情報リテラシーなどについて、数々のご指導が あったが、あまりよい印象はもっていなかった。 現在は高齢の母親の介護の傍らで実兄の支援の元にインターネットライフを送っている。 退職後に「幸齢パソコン通信」(Nifty-Serveの「メロウ・フォーラム」編纂)を読んだのがきっかけで この道に入った。パソコン通信を始めるにはパソコン以外に通信モデム、通信ソフト、が必要な ことなどを学習した。これらの体験をもとに「マーチャンが行く」を出版した。 パソコン音痴が書いた小説仕立てのパソコン通信の入門書が結構受けたようだ。 その後、情報処理学会のパネラー、通産省でプレゼン、MSFで講演、など「珍獣?」扱いの講演依頼が 相次いで舞い込み、当初予想もしなかった事態が続いている。 自身のホームページでは出版した本の宣伝などをしている。 荒削りの内容だが開設以来すでに42、000カウントものアクセスがあった。 DOZEさんが紹介された「メロウ倶楽部」でパソコン教室の講師を担当している。 「メロウ・フォーラム」、「メロウ倶楽部」、の会員さんたちのご支援が心強い。

さといもこと和田節子さん(57才)
http://homepage1.nifty.com/satoimo33/

きれいな年賀状を作成したい、という思いからパソコンやワープロを買いたくなり TV通販でワープロを購入したことがきっかけで、この趣味に入りこんだ。 Nifty-Serveの「メロウ・フォーラム」でパソコン通信のファンになった。 最近は画像データの交換などが盛ん。音楽データの制作にもチャレンジしている。 手、指、に障害があるので、マウスを操作できない。専らノートパソコンのタッチパッドを使って操作している。 ワープロに比べてパソコンの操作の方が楽。 神田雑学大学のHTML学習講座に参加してホームページ制作ができるようになった。 IE、FrontPage、HTML、などのツールでホームページを制作している。 ジャズバンドの演奏録音から音楽データを制作してアップしている。

パネラーへの問いかけ(その2)

IT社会を迎える日本は21世紀にどんな国になるのか? インターネットの効果的な活用方法、不安や心配は?

三上

2、3年後にはインターネットTVが普及する。 インターネットは(ビジネスだけでなく)日常生活の上でも時間とコストを大幅に削減する。 インターネット・ショッピングは今後ますます盛んになる。 ケータイ電話で自販機が使えるように(すぐに)なる。 欲しいものがインターネット通販ですぐに手に入る、ようになる。 97年8月の雑大講師「トイレ・コンサルタント」への講演依頼が韓国のインターネット視聴者 からあった。前回の神田雑大の講座「偽ブランド商品について」にインターネット視聴者が 神田雑大のページを発見して講座に参加できた。

DOZE

インターネットとTV放送が合体する。TVが双方向メディアになる。 ウイルスによる障害や事故などが一般の人々の生活にインターネットが浸透することを妨げる。 普及を推進、促進する側の人たちは、防御、予防、などの対策を講じなければならない。 インターネット銀行での引き出し、振り込み、業務で事故があれば相当の問題になり、 普及の妨げになる。危機管理、事故発生を未然に防止するための方策が必須。 日本人は、まわりの人たちの動向に左右されやすい「横並び」志向が強い国民性なので 日本でのインターネットの普及、発展、のスピードはこれから早まる。

マーチャン

これから会社でも家庭でも大改革が起こる予感がする。 OL時代に会社で支給された事務機としてのパソコンとは違って、自身で購入したパソコンには特別の 親しみを感じる。これからは年齢、性別、などによる差別がない、バリヤーフリーの社会になる。 個人個人の考え方がますます重要になる。

さといも

TVとインターネットの融合が進む。TVでメール、ネットサーフィン、チャット、などができるように なる。 インターネットOKのマンションが増える。

−−−休憩−−−

休憩中の時間帯を利用してパネラーの皆さんのホームページが紹介された。 (スナップ写真

マーチャンは自身で制作されたMicrosoftPowerPointプレゼンテーション( 紙芝居)を披露し、好評でした。

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来場者との交流・質問、応答

質問1HP立ち上げまで期間は?ご苦労されたことなどについて

さといも

必要な知識をトライ&エラーで習得した。なんでもまず「やってみる」ことが大切。 画像データなどはインターネットサイトにあるフリーウエアの「素材」を利用した。 パソコン通信の仲間の指導のおかげでホームページを制作できた。 とにかく毎日パソコンを触っていれば誰にでもできる。 ホームページ制作用のツール(HOTALやビルダーなど)があるので、それを使えば容易にできる。

マーチャン

ワープロ・ソフト、表計算ソフト、パワーポイント、など色々なソフトがあるが共通事項も多い。 コツをつかめば効率よく習得できる。
質問2会社人間の中には退職後はパソコンから解放されたい、と願っている人たちも多い。 そういう人たちへのアドバイスは?

遊網人

2つのアドバイスがある。
@仕事ではなくて遊びでパソコンを使うことの楽しさを体験してもらう。 ネットサーフィン、メール交換による新しい交流、音楽、映像、など。
A銀行、証券、郵便、行政の窓口、などの生活環境がITベースに変化するのでそういう環境に 順応できない人は生きてゆけなくなる?かもしれない。

三上

インターネットはカルチャーセンター。そういう情報交換の場を通じて新しいコミュニティが 形成され、人々は擬似家族になってゆく。従来の様々な「しがらみ」から解放される。

DOZE

パソコンは「使う」もの、使われないこと。趣味で使っていればとても楽しい。

マーチャン

会社人間は遊ぶのが下手、遊ぶことに対して偏見や抵抗がある。質問3自分は未だ現役だが、先日同窓会に出席した仲間たちからPCの操作に苦労していることが 話題になった。現状はまだパソコンアレルギーのシニアが多い。

三上

新しいコミュニティ(神田雑学大学やメロウ倶楽部など)への参加をお薦めしたい。 仲間たちとの交流でパソコンアレルギーがきっと解消されるはず。質問4日本のITレベルは?これから外国に互して行けるのか心配。

遊網人

米国からは相当遅れている。東南アジアの中でも高い方ではない。 ITリテラシーの次には「英語」がバリヤーになる。 感想(若年の受講者)シニア、熟年のパネラー、受講者による「先進的な」プレゼンや議論に感動した。 若年層のなかにも「情報弱者」が大勢いる。年齢には関係ない、ことを再確認しました。
(文責:田口和男)
会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作:田口 和男