神田雑学大学2001年1月26日 講義録

長生きするための「日本食」


講師:竹森美佐子(食生活アドバイザー&管理栄養士)


                                          

目次

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 ★食と生活をテーマに活動されている竹森美佐子さん

 ☆愛情のある食生活

 ☆健康で、元気に長生きをするための食生活

 ★味が深い『竹森食』



★食と生活をテーマに活動されている竹森美佐子さんお茶の水駅から10分ほど歩いて行くと、オーガニックキッチン『うさぎ』があります。
そこが今宵の『神田雑大』の講義の会場です。
 入り口に立つと、こう書いてありました。
  「 体が温かいと 心はもっとあたたかい エネルギッシュ 冬の旬 」
 さらに階段を降りて行けば、こう書いてあります。
「 今はつぼみ ちょっとづつ ちょっとづつ 膨らんでる 」
そうしてドアを開けると、
  「 夢とか 希望とか 咲かせる肥やしは 自分自身 」

   『うさぎ』は今晩の講師・竹森美佐子様が経営する店ですが、掲げてある文章を見ただけで食生活に対する竹森哲学≠ェうかがえます。
 彼女は、自然食を実践して40年、漢方・東洋医学を学んで20年の、その深い体験と管理栄養士として知識を活かして、料理教室・食事指導・健康相談や食生活アドバイザーを育成されておられます。

 さて、私たち受講生が席に着くや、先ず一杯のお茶が出ました。

☆愛情のある食生活

皆さんの前にありますお茶は、私が自然の食材を摘んできて、ブレンドした『十七茶』です。
どういうものを入れているかと言いますと、〜河原決明(カワラケツメイ:利尿作用)・ドクダミ(消炎・利尿作用)・蓬(造血作用)・隈笹・葛・桑の葉(解熱・消炎作用)・柿の葉・枸杞の実(解熱作用)など〜、旬の季節に山梨県田富町の山之神という所に行って、手で摘んできたものを天日で干して、炒ってまた干して、好きな味にブレンドして、煎じてお出しているわけです。以前は、甘茶蔓などを入れていたときもありましたが、今は入れておりません。
 コンビニ・レトルト食品の全盛時代だからこそ、「出かけて行って、手で摘んで・・・・・・ 」という風に、料理に手(愛情)をかけることも大切だと私は思います。
 なお余談ですが、出涸らしは植木などに使えます。

お茶の話を続けますと、半発酵茶の「烏龍茶」や発酵茶の「紅茶」などの方が体を暖めてくれますから、夜に飲む場合はこういうお茶がいいでしょう。不発酵茶の「緑茶」は身体を冷やす性質をもっていますから、夜はあまりよくありませんね。

☆健康で、元気に長生きをするための食生活 テレビのグルメ番組などを見ていますと、若い女性が「わぁ、おいし〜い!」と連発しています。それはそれでいいのでしょうが、その理由が「甘いから」「柔らかいから」なんですね。
 <美味しい=甘い・柔らかい>でしょうか。私は疑問です。

 今、「28〜32歳の人の身体が危ない」と言われています。その人たちの母親の世代が、高脂肪や高タンパク質、あるいは添加物の入っている食材を食べてきたため、その子の世代の人たちがアトピーや不妊の体質になってしまっているのです。
 私は、高脂肪・高タンパク質・添加物の入った食べ物を口にしてきたため、私たちの身体から生命力が奪われてしまったのだと理解しています。

 それを思うと、昔は貧しくても、食生活は豊かで健全な面がありました。
 そんなことから私は、健康で、元気に長生きをするために、これからお話するようなことの運動や提言をしています。

 1.日本人に合った食事「日本食」を食べよう。
  先ず、私たちは日本人です。民族に合った食べ物になるには、400年かかります。たとえ、3代続いても内臓は変化していません。日本人は腸が長いのです。だから日本人の身体には、穀類が良く、肉類は合っていません。米類が主役で、おかずもそれにあったものが良いのです。

 2.「32本」の歯に合う食事をしよう。
  別の視点から申し上げますと、一般的に私たちは32本の歯を持っています。すなわち、切歯8本、犬歯4本、臼歯20本の計32本です。
  切歯は、野菜などを切るための歯です。犬歯は、肉などを削くための歯。臼歯は、すり潰すための歯です。ということは、野菜は全部の食事のうちの25%、肉類は12〜13%、穀類は62〜63%が最適の食事ということになります。
  それに「よく噛むこと」が大切です。噛めば胃酸が出ます。20回以上は噛みましょう。
  話は飛びますが、「80歳までに20本残そう」という運動がありますが、皆さま方は自信がありますか。

 3.「生命力」のある食材を食べよう。
  先ほどお話しましたように、今の若い方の身体には生命力がなくなってきています。
ですから、生命力−タンパク質・ミネラルのあるものを食べなければなりません。具体的には、芽が出るもの、ナッツ・実が良いですし、白米より玄米が良いのです。

  また白米を食べるときは、三分づき米・胚芽米・玄米・赤米・黒米(赤米の中で特に黒紫色のもの)、あるいは麦・粟・稗・アマランサスなどをブレンドして、目先を変えて楽しく食べることも大切です。

 4.旬(季節)のものを食べよう。

  生命力といえば、旬のものにもそれがあります。
 春は野草(タラの芽・蕗の薹)など青いもの、これは肝臓を守ります。
  夏はトマトなど朱いもの、心臓を守ります。
  秋は茸など白いもの、肺・呼吸器系のために良いのです。
  冬は黒豆・昆布・木耳など黒いもの、腎臓に良いのです。

 5.朝・昼・夜に合った食材を食べよう。
  朝・昼・夜の性質に合った食材を食べることも大切なことです。
  朝・昼・夜は、人間の一生でたとえますと子供・成人・老人という見方をして、それに相  応しい食べ物をとるわけです。

 6.「一物全体」を料理しよう。
  ちょっとした注意のようなことですが、「一物全体」を食べるということがとっても大事です。
どういうことかと言いますと、料理をする場合にそれらの食材、たとえば魚は頭から尾まで、もちろん目も食べようというわけです。野菜は根から葉先まで食べます。魚の頭や野菜類の根を切り捨ててはもったないですね。

 7.朝、一杯の塩水を飲みましょう。
 塩は細胞を締める作用がありますから、体に良いわけです。もちろん自然塩です。ですから、過度の減塩はよくありません。私は、朝一杯の塩水(0.8〜1%、参考:味噌汁は1.2%)を飲むことをすすめています。

  また、肉を食べるときは陰性の馬鈴薯、お汁粉に塩昆布などが付いていますね。あれは理に叶っているのです。
 反対に、砂糖の採り過ぎは絶対いけません。砂糖は細胞を緩める作用があるからです。
  ちなみに、健康で、元気にボケないで長生きする方法は、イ)適度の塩をとること、ロ)砂糖分を採り過ぎないこと、ハ)足・腰の運動をすることだと私は考えています。

 8.陽性と陰性の食材を使い分けよう。
  万物は陽性・陰性に分けられるという考え方があります。
  たとえば、男性は陽性、女性は陰性です。また内臓にも陽性・陰性があります。その内蔵のうちの陽性部には癌はできません。陰性部が癌になるようです。

  無論、食材にも陽性・陰性に分類できます。
  分かりやすく言いますと、南方地でできた果物(メロン・パイナップル)・野菜などは「寒」「涼」の性質をもち、北方地でできた果物(林檎)などは「温」「熱」の性質をもっています。
  また、同じ食材でも、葉先などの上方部分のものは陰性、根などの下方部分陽性です。

 私たち人間は、高齢になりますと身体が陰性になりますし、また低体温の人の臓器は活発に動かないのです。ですから、「陽」「温」「熱」の性質をもつ食材食べて、体温を36.5度にするのです。要は、「陽」や「陰」に偏らないで、「平」を心がけようというわけです。

  最高の陽性の食材として、日常の食事にぜひ牛蒡を食べてください。牛蒡は根ですから陽性であることはもちろんですが、繊維質も多いので、アレルギー体質の方にはおすすめです。また、牛蒡に良質の梅干しを3個ぐらい入れて100時間ほど煮たものを食べますと癌に良いとか、絞り汁で盲腸炎の腫れがひいたなどというケースもあります。

 9.5つの皿を食べよう。
  最後に申し上げたいことは、料理はバランスが大切です。
  分かりやすく言いますと、5つのお皿分ぐらい作りましょう、ということです。
  たとえば、イ)体力のためのカロリー(ご飯)のお皿、ロ)味噌汁、ハ)血・筋肉のためのタンパク質(肉魚or卵or豆)のお皿、ニ)身体の調子のためのビタミン(野菜などの煮物)のお皿、ホ)ミネラル・カルシウム(サラダなど)のお皿、です。
  なにしろ、「数が多い」というのが「御数=おかず」の語源ですから。

以上のポイントを楽しみながら食生活をおくっていただければ、健康で、元気に長生きできると私は信じております。

(拍手・拍手・拍手・・・・・・)


★味が深い『竹森食』 お話が終ったあと、竹森様の手作りのオーガニック料理を皆でたくさんいただきました。
「旨い!」 これが皆さんの感想です。
 あえて、それを言葉で表現するとしたら、素朴=Bい〜え、これは適切ではないかもしれません。素朴と言っても単純ではないのです。深み≠ニ微かな野性味≠ェすると言った方がいいのかもしれません。

その味わいの根源をもう一度列記しますと、
  1.日本人に合った食事「日本食」を食べよう。
  2.「32本」の歯に合う食事をしよう。
  3.「生命力」のある食材を食べよう。
  4.旬(季節)のものを食べよう。
  5.朝・昼・夜に合った食材を食べよう。
  6.「一物全体」を料理しよう。
  7.朝、一杯の塩水を飲みましょう。
  8.陽性と陰性の食材を使い分けよう。
  9.5つの皿を食べよう。
 だから、竹森様の手料理は味わい深い味≠ェするのです。

<なお、当店『うさぎ』は、『神田雑大』の「アルメニア料理はいかがですか」(2000.9.29)の講義時にも利用させていただきました。ありがとうございました。>


文責:ほし ひかる
会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作・編集:大野令治