神田雑学大学 5月25日 講義


講師:柳沢 淳子

(NPO法人 カウンセラー養成専門学院 理事長)



目次

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こころの時代?
ピアカウンセリングPeer Caunselingって何?
21世紀社会のあるべき姿



★こころの時代?

 皆さん。「こころの時代」と言われている今日ですが、逆に今は「こころ喪失の 時代」と思われるような事態がたくさん起きていると思いませんか?  報道を見ますと、ひきこもり、不登校、学級崩壊、ストーカー、児童虐待など、 列挙するだけで胸が痛くなるような堪らない事件が続発しています。  どうして、こういうことになったのでしょうか?

 よく見ますと、私たちの周りには日頃から危機感をもって、倫理・道徳・しつけ の大切さを訴えている心ある大人がたくさんおられるというのに、なぜ現代人はそ ういう人たちの声を聞かなくなったのでしょうか?  それでいて、異常な事件が起きたときだけ私たちは、眉をひそめながらもマスコ ミに登場した専門家なる人の解説に注視しています。

なぜ、私たちは日常からそう いう専門家の意見を聞こうとしないのでしょうか?   私たちは、何か食い違ったことをしているとは思いませんか?  今回の講座では、応用心理士&ピアカウンセラーの柳沢淳子さんにたいへん重要 なお話をしていただきます。

★ピアカウンセリング Peer Counselingって何?


私(柳沢)は、日本大学・心理学科を卒業後、登校拒否児を集めた教育施設でカウ ンセラーを経験し、「悩みをかかえる人の身近に、相談できる場を増やさなければ ならない。人材を育成しなければならない」という思いを強くいだくようになり、 日本大学の心理学教授や臨床心理士の協力を得てカウンセラー養成講座を開設しま した。

公園デビューのトラブルに巻き込まれるお母様達、雑用が多すぎるため教科を教 えるのに精一杯の教師、肉体疲労だけが累積した報われない介護者、切れる、燃え 尽きる、いじめ、暴力、援助交際etc.で現代は病んでいます。

子どもたちも、個の時代の親自らの『知恵』のみの家庭環境の中で、気まぐれな 愛、また暴力という『される』ことによる『する』ことを覚えます。  私たち大人はどうしたらよいのでしょうか? それが今日のお話です。

私たちが実践しているピアカウセリングは健常者が対象です。「ピア」というの は「仲間」という意味です。平たく言えば、井戸端会議的な良い話し相手や共感を もってくれる仲間に話を聞いてもらって、悩みを引き出すのです。引き出すという のは、聞くでもなく、聴くでもなく、傾聴することだと、私は考えています。

心の中の混乱を傾聴することにより、心を整理する方向に導くわけです。 心のなかをクリアにしないと、また同様の環境に襲われたとき、再び混乱に陥る ことになります。そのためにはどうしたらよいのでしょうか?  私たちの講座では、ロールプレイングで、実践的技術を身につけます。

そこで、徹底的に話を聞く、傾聴する、決して自分の意見を押しつけてはいけな い、ということをロールプレイングで身につけてもらっています。 『解決に向かう力というのは、悩んでいる人の中にもともと備わっているもの』 それを信じ、尊重するのです。

教室には、カウンセリングの技術を身につけ、ボランティア活動などに活かすこ とを志す人たちがみえています。そして講座終了後には、特養ホームなどの介護現 場、学校などで活躍されておられます。 このピアカウンセリングが読売新聞に報道されてから、問い合わせが引き続き、 カウンセリング研修希望者が増加しています。

今年夏も内閣府から青少年健全教育に関して、東京と大阪で2泊3日の研修依頼 を受けているような状態です。 研修は4ヶ月間継続してやります。人数は20〜30人ぐらいが最適でしょうか。 4ヶ月修了したピアカウンセラーには、修了書をお渡しします。

さらに認定書を受けるためには、8ヶ月のインターンが必要てすが、認定書がとれたピアカウンセ ラーは、当研究会の助手、または講師としての派遣、先刻申し上げました青少年健 全教育のような行政・企業・団体へも紹介するというようなシステムをとっていま す。

ピアカウセリングには、二つの注意点があります。一つはカウンセリングには同 性がベターであること。異性ですとどうしても意識することになり、心のなかを打 ち明けることが困難です。これは自然なことです。関連して、私の教室では匿名で 行っています。そうすることによってプライバシー保護の点から安心感をもっても らうわけです。

またひとつ、どうしても忘れてはいけないことがあります。それは、相性というこ とです。 日本人は、また特にカウンセリング等に興味を持たれるような方は優しい人が多 く、自分に相談に来た場合は何とかしてやりたいと思い込んでしまいます。 でも、選ばれた自分と、相談者との出会いは、運であり、合わない場合があるの です。そんなとき、優しいカウンセラーは、どうかしてあげようとして、その相談 者を手放しません。

でもそれは相談者を傷つけることになるということに気づいていただきたいので す。ですから自分と合わないと思った相談者に出会ったときは、勇気を出して他の 人に手渡していただきたいのです。その勇気をつけることも、このピアカウンセリ ングレッスンの中では行っていきます。

いかがでしょうか? このような機会を与えていただきました縁から、あるいは NPO法人同士として、今後、神田雑学大学と提携していきませんか。

(拍手・拍手・拍手)

★21世紀社会のあるべき姿

いかがでしたか。相性と言えば、昨年10月に長谷川順音様の「自分のルーツの調 べ方」の講義がありました。そのときにも「名字相性法」というのを披露していた だきましたが、やはり相性というのは人間関係の基本のようですね。 うかがってみますと、柳沢様のカウンセリングは人間関係、特に親子関係につい ての心構え(人間尊重)をご教授いただいたような気がします。

「親子関係=遺伝子×世代間差異」と誰かから聞いたことがあります。 血がつながっているからという甘えと世代の差が混乱して、関係に捻れが生じ、 それが極端化したのが頻発している社会的事件だというのです。

例えば、最近の若い人が「コエ〜」と連発するようになったのをご存知ですか? 「恥ずかしい」と言わずに、なぜ「怖い」というのが口癖になったのでしょうか? ご承知のように「恥」というのは、人間どうしの付き合いの中から生まれます。

しかしながら、人間どうしのコミュニケーションが貧弱になった場合、恥の感覚も 喪失するのです。一方の「怖い」という感覚は自己尊大からくるのだと言われてい ます。尊大な自己を脅かす事態の場合、「恐怖感」に襲われるわけです。 この「恥ずかしい」から「コエ〜」への変化が世代差異です。

20世紀になって、技術や情報化の進展によって社会の変化のスピードが加速さ れてきました。その見返りとして、現代人は人間や自然と直接的な触れあいが減少 し、対人関係が貧しくなり、いろんな大切なことを喪失してしまいました。

いま一度、私たちは柳沢様のカウセリング法を人間関係(人間尊重)論として認識 しなければなりませんね。


文責:ほし ひかる
会場写真撮影:橋本 曜
HTML製作:和田 節子