神田雑学大学 8月31日 講義

千代田区を花いっぱいに 〜 花のかけはしで 心豊かな ふれあい街づくり 〜


講師:笹島 久子

(ボランティアグループ「花咲かじいさん」)



目次

(クリックすると該当の項に飛びます
ブラウザの戻るで目次に戻ります。)

灰色の街に花を咲かせる「花咲かじいさん」
花のかけはしで 心豊かなふれあい街づくり
四季の花いっぱいの早稲田通り
小学校の子どもたちとの出会い
もう止められません
お花に水と太陽と笑顔を



講師の笹島久子さん ★灰色の街に花を咲かせる「花咲かじいさん」

  皆さんは、室町末期〜江戸初期ごろにできたといわれるお伽噺『花咲爺(はなさかじじい)』をご存知でしょう。 枯れ木に花を咲かせたという翁の噺は、月へ還った『かぐや姫』や海底の世界を旅行した『浦島太郎』などともに一種のSF(想像科学)小説なんです。

ところが、千代田区で生まれたボランティアグループ「花咲かじいさん」はSFではありません。善意と努力とアイディアから生まれた現代の美談です。 本日は、灰色の街に花を咲かせようという「花咲かじいさん」の中心である笹島久子 様をお招きしました。先ずお話をうかがってみましょう。

☆花のかけはしで 心豊かな ふれあい街づくり

  私たちは30名でボランティアグループ「花咲かじいさん」というのを結成しております。 きっかけは、花が好きな、PTAのお父さん・お母さんたちや近所の人たちが集まって 講習会を開いたことからでした。 話を聞いた私たちは、咲いた花を買うより、 球根や種から育てた方が、愛おしさを感じる、言葉をかけたくなる、 花の虜になってしまいました。

しかし、マンションの片隅で自分だけでひっそり 育てるのはもったいない、それより皆さまの目にふれて「きれい」とか「心がやすまる」 というような環境が少しずつできていけたら嬉しいね、というような何か外に向けて 走りたい思いが元々からあったのです。でも、種・土・肥料などの費用がかかるから どうしようかと考えてしまいました。 丁度そんなとき、「街づくり」の アイディア・グループに計300万の助成金を出してくれる「千代田まちづくりサポート」 (街づくり推進公社)というのがあることを知ったのです。

早速、私たちは第二回目(平成11年度)の募集のときに応募し、29万円の助成金を いただくことができました。 そしてネーミングを何にしようかと考えたときに、 『花咲爺』の昔話を思い出し、「千代田区を花いっぱいにしたいね」という当初の 講習会の目標を大切にし、さらに「隣は何をする人ぞ」的な都会の慣習を何とか 「向う3軒両隣」的なふれあいの場をつくりたいという思いに集約し、

「花のかけはしで心豊かなふれあい街づくり」ということをグループのテーマにしました。  ちょっと余談になりますが、平成12年度も50万円助成してもらっており、 今年も申請していますが、規定により4年目以降は受けられないことになっています。  したがって、この活動を継続するためには来年度からどうしたらいいだろうかという 大きな課題が横たわっているのです。

熱心に講義を聞く受講生 ☆四季の花いっぱいの早稲田通り

  さて、何処から手をつけようかと仲間たちと相談しました。その結果、 飯田橋駅から警察病院を通って靖国神社の鳥居までの約700メートルを「早稲田通り」 と言いますが、その道路の両サイドにガドレールがあります。

それに花を飾ろうということになりました。それがこの花です。籠は自転車の ハンドルの部分につける籠です。100円ショップで150個買いました。 これをガードレールに掛けるのです。 次が土です。これは早稲田通

りにあります 富士見小学校の理科園に7トンぐらいあったのです。これに肥料をあげて 利用させてもらいました。 花は「サルビア」(夏)です。700メートルの早稲田通りの カードレールに150個のサルビアの花鉢を飾りました。 問題は毎日の水です。実は、このシステムがアイディア賞ものなんです。

私たちは「里親制度」というのを考え出しました。1ブロックの花に水をやって育ててくださる方を「里親さん」、つまり他人の子(花)をわが子(花)として育てるという意味でそう名づけたのです。その里親さんの名前を籠に入れました。今は30人ぐらいの里親さんがいらっしゃいます。 花は色んな花を試してみましたが、春はサクラ草、夏はサルビア、秋はコスモス、冬はパンジーに今はしています。 ですから、早稲田通りの夏はサルビア街道、秋はコスモス街道になります。

子供達の文集 ☆小学校の子どもたちとの出会い

  早稲田通りにあります富士見小学校の3年生の授業のひとつに生活科というのが ありますが、何かをして地域の人たちと関わっていきたいという考えから おやりになっているということだそうです。

 ある日のこと、その小学校の「 生徒も一緒に種植えをやってみたい」という気持ちと、私たちの 「豊かな心を育てれれば」という願いがひとつになって、小学校で実習を やることになりました。 始める前は、「土に触るのが嫌」、「ミミズ・虫が嫌い」という子どもたち ばかりでしたが、終わりましたら「花屋さんになりたい」、

「地域に一緒に花を植えたい」という風に変わりました。  今日、ここに持って来ましたのが、子どもたちの文集『花さかじいさんのみなさんへ』 という文集ですが、これは私たちの宝物です。  『谷・根・千』で知られる地域派の作家の森まゆみさんも 「子どもたちと一緒の街づくりは素晴らしい」(日経新聞H13.5.17)ことだと おっしゃっています。

☆もう止められません

 「区民(夜間人口)が4万人を切ったと嘆くより、お年寄りも若い人も住みやすい街にしよう。行政の問題だと片づけるより、街なかの通りに花を植えてみてはどうだろう」。そんな思いから「花さかじいさん」を始めたわけですが、今では、地域・町会・学校の三位一体の活動まで広がりました。歩いていても「花咲かじいさん」って呼ばれたりするので、もう止められませんネ。

(拍手・拍手・拍手)


子供たちの文集 ★お花に水と太陽と笑顔を

  いかがでしたか。 お話が終わったあと、富士見小の生徒さんの文集を見せていただきました。 いずれも、笹島様たち「花さかじいさん」の思いが充分に伝わったことがうかがえる素晴らしい感想文でした。 その中のひとつ、3年1組の西牧美也子ちゃんの文を以下に紹介します。

 (前文略)お花は、水や太陽だけじゃたりないと思います。私は、それに人間の喜ぶ笑顔があると、お花も、もっときれいに咲いてくれると思います。 早稲田通りに、飾ったらみんなの、喜ぶ顔が見えて、枯れるまで、お花は、幸せに人間と生活をおくれることだと思います。 お花があれだけ成長しているということは、私たちも成長しているんだなあ、としみじみ思いました。 早稲田通りを通った人たちにお花が生きていることを伝えたいです。 私たちも、お花に声をかけてあげたり、愛情たっぷり育ててあげたいです。 (注:漢字への変換は筆者)

(文責:ほし ひかる)


会場写真撮影:橋本 曜
HTML製作:和田 節子