神田雑学大学 3月15日 講義




講師:糸井 守



目次

(クリックすると該当の項に飛びます
ブラウザの戻るで目次に戻ります。)

講師紹介
はじめに
・日本橋川の変遷
・日本橋川の現況
・水害の状況・施策の体系
・2002神田川サミットin小名木川の開催
・質疑応答


糸井  守講師 講師紹介

糸井 守さんは、1982年から神田川最上流部改修工事の親水護岸化 活動に参加され、現在「神田川ネットワーク」幹事、調査研究会社「(株)カ イ・インスティチュート」社長を勤められています。この神田川の自然環境を 守る活動で、1994年第1回高梨コカ・コーラ環境教育賞を受賞されました。

はじめに

糸井です。私は、「神田川ネットワーク」幹事として、20年来、 神田川、隅田川、日本橋川、亀島川の環境整備に取り組んでまいりました。 東京都は、都下13河川の行政、市民、市民団体

の連絡をとるために、流域連 絡会を組織しています。都下の河川は大きくは、山手と下町のふたつの河川に 分かれ、水系、流域として関連する河川との連携をとりつつ環境整備を進めて います。今日は、「日本橋川の活性化と市民運動」と題してお話申し上げま す。

まず、結論を10に絞って申し上げます。

(1)水質浄化と高速道路の撤去
日本橋川は都市の最密集地域を流れるため、増水で生活雑排水が入ると 汚濁が進みます。また、1963年東京オリンピックの際に橋げたを覆うよ    うに高速道路が敷設され、川の景観や環境に悪影響を齎しています。

日本橋 (2)日本橋川建設400周年に向けての再生化
家康の江戸開府以来、街の中心的な存在だった日本橋が2003年で400年目を迎えます。 記念行事や新しい時代に相応しい環境を整えたいと思っています。

(3)神田川との接点の再開発として建設された「あいあい橋」を市民に触れ 合える施設を設ける。26番目の橋を市民と日本橋川との結びつきを考えたもの にしたいと思っています。

橋 (4)日本橋、常磐橋を歴史的に残す。
旧常磐橋は全国大名の寄進になる石材で出来た 掘割などが残っており、今後とも歴史的建造物として保存していきたいと思います。

  (5)亀島川(隅田川に接する)のはぜを釣って天ぷらにして食する環境をつくる。江戸の昔、 舟遊びで魚を釣って食した風流を平成の世に再現したいと思います。そのために親水化対策をこうじねばなりません。

  (6)隅田川、日本橋川、神田川をループとして舟運できるようにする。 都心を流れるこれらの川を舟運できるようにして、市民に川との繋がりを楽しんでもらいたいものです。

(7)日本橋川サミットの再開。
江戸以来の文化行政の中心地を市民で考える日本橋川サミットを是非再開いたしたいと思っています。

(8)両岸に歩道をつくる。
日本橋川は全長4.8kmに26の橋が架かる人口周密な環境です。是非    沿岸に歩道をとって、環境を市民が見て考え整備するようにしたいと思います。

(9)市民、行政、企業が協力する体制づくり。
このような対策は多くの人々の協力あればこそ進むものです。

(10)上記三者がお互いに相手の立場を理解し、協力して、計画する。   そのために社会の展望を正しく認識する必要があるので、環境分析を   三者でしっかりと実施すべきです。

・日本橋川の変遷

橋詰めに魚河岸が存在しました。また、日本橋川と神田川はかって平川と呼  ばれ、江戸初期から物資荷揚げ地の河岸として栄え、倉庫群や河岸などがあって経  済的な中心でありました。同時に舟遊びなど文化的、レジャー的な活動も盛んで  した。その繁栄の様子は

浮世絵などに多く残されています。 1603年江戸開府時に架橋され、その後2、30年毎に焼失、架橋が繰り返された。 遂に1911年4月3日、花崗岩8万個を要して石造りの橋が6カ年の継続事業として完成。 1991年橋詰景観整備。1999年国の重要文化財に指定されました。

・日本橋川の現況

橋 千代田区、中央区の経済政治の中心地を流れる荒川水系の一級河川です。 水道橋の上流で神田川から分かれ、神田、大手町、日本橋など経済政治の中  心を 流れ、河口に近く茅場町で

亀島川が分流しています。 日本の道路の起点となる「日本国道路元標」が日本橋の中央にあります。 将に首都東京の顔、日本の顔であります。しかし、現在は上を高速道路に覆  われ、コンクリート護岸で固められ、川に接して立つビル群も川に背を向けて居り  ます。

・水害の状況

過去20年間の主な浸水では、台風24号(1981)、台風18号(1982)、雷雨 (1989)、台風11号(1993)等各々約200棟が被害にあっています。生活雑排水が溢  れ、生物が死にました。神田川水系はC類型、BOD(生物化学的酸素要求量)5mg/l  以下の基準で、鮎は住めますがヤマメは住めません。浸水時に生活雑排水が流れこまな  いように、国土建設省は明2003年度から分流化の調査を進める方針です。

・施策の体系

都市の歴史を映す川、都市活動と深く関わる川、そして明るく親しみやすい川  として、川に向かったまちの整備、歴史文化遺産の保全と調和、水面利用の促進、治水  と安全性の確保を推進してまいります。特に防災船着き場は完成しているのですが、  これを非常時に直ちに活用するためにも、日常にも活用するように進めたいと思って  います。

・2002神田川サミットin小名木川の開催

都心で特に下町河川はスピーディな整備が進んでいます。本年6月22日、川に遊び、 親しむ「2002神田川サミットin小名木川」を開催致します。 午前中水上バス+ウォッチング、午後フォーラムと交流会を計画しています。 ご関心の或る方は、「神田川サミット実行委員会」事務局:市橋(TEL:  03ー3200ー9189、FAX:03ー3200ー9274)まで、お申込、お問い合わせ願います。

・質疑応答

Q.1 高速道路の地下化は日米の価格差が大きいということですが?


ボストンの高速道路の場合、13kmで1.3兆円。これが日本では約10倍という    差となりました。理由は、地価の高さ、地元保証金の高さ、建設工事費の差、そし て工期等によると思われます。

Q.2 日本橋の交番側の橋詰に鼠が出没しています。

鼠は都心の水の栄養価からいって、交番側以外にも各所に沢山居ます。   上流には天敵の青大将もいますが、日本橋川にはいません。そのため、自己繁殖   限界までは増えると思われます。

熱心に講義を聞く受講生 Q.3 大阪の道頓堀川で民間の舟運があるそうですが?

隅田川遊覧船等今でもドル箱の舟もあります。今後は、隅田川、神田川、日本橋川   をループした舟運を可能にして、市民に舟遊びを楽しんでもらいたいと思います。

Q.4 日本橋川のはぜ釣り会の可能性は?

正確には、亀島川で本年8月〜9月にやりたいと思っています。但し、官庁は川 の遊びには危険が伴うので消極的、また御母さん方も否定的なのが問題です。

Q.5 川の泥の浄化はどうやっていますか?

定期的に浚渫します。沢山の汚泥が揚がりますので、奇麗になります。

Q.6 最後に、糸井さんの川へのこれほどまでのご関心の動機は?

私は生れは市ヶ谷で外堀で遊び、武蔵野市に移り、多摩川に親しみました。 戦前の日本人の川と暮らしの関係に郷愁を感じ、また、自然環境の保全   は身近で最適なテーマであると思っています。いろいろと対策を考える上で、   自然だけの問題に止まらず、社会、経済、まちづくり、個人の在り方など幅広い情   報を集める必要が出てきて、現在に至っております。どうか、皆さんもご自分なりの   視点から、是非この問題に関心を持って頂くよう、どうかよろしくお願い申し上げます。


文責:鈴木 一郎
会場写真撮影:橋本 曜
HTML製作:和田 節子