5月17日(金)神田雑学大学講義録

美術史散歩ースペイン美術史

講 師 西浦義夫

 
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講 師 プロフィール

近況から

本題

スペイン略史

スペイン美術史

質擬応答

講師プロフィール

講師の西浦義夫さん 講師の西浦義夫さんは、雑学大学の名物講師。「日本の名料亭名旅館」「世 界舞踏史」「文化情報収集術」等の名講義があります。常に東西両洋の文化施設や 行事を訪れられる深い造詣の主であります。

まず、近況から

2002年1月、イタリアの9都市周遊。丁度ミラノでは、例の飛行機が飛び込 んだビルをみました。日本人の姿が目立っていました。 (ミラノ、ヴェローナ、ヴェニス、ラヴェンナ、ピサ、フィレンツェ、シェ ナ、アッシジ、ローマ)国際的な素晴らしい日本人ご夫婦に逢いました。 名物パスタは、結局日本橋高島屋に現地より安く売っていました。

2月には、西九州嬉野温泉「綿屋別荘」、ハウステンボス「ホテルヨーロッ パ」に宿泊。後者は素晴らしいホテルでした。佐世保に遊びました。 4月に、上野ロータリークラブで「名料亭論」を講じました。 国内22件、都内3ホテル、他にトゥールジャルダン、幾つかの日本料理店に ついて述べました。準備が功を奏したようで満足のいった結果です。 その昔、小唄、シャンソン、カンツォーネ、謡曲等を嗜んだ結果声の通りは 良い様です。

さて、本題にはいって

今、上野の国立西洋美術館で「プラド美術館展ースペイン王室コレクション の美と栄光ー」が開催されています。PRADOは牧場のことで、建物は17 85年(カルロス3世の御世)に着工されましたが、当初は自然科学博物館の 予定だったためか採光に問題があります。

開館は1819年フェルディナンド 7世の御世です。私は1981年に行きましたが、最も印象に残った作品はゴヤの 「巨人」です。今回も来日しています。大高保二郎さんの選んだベスト3は、 ベラスケスの「ラス・メニーナス」、ゴヤの「黒い絵」とボッスの「快楽の園」です が、私はこれにゴヤの「カルロス4世の家族」を加えたいと思います。さて、スペイ ン美術を語る事は、スペインの歴史を語る事であり、特にスペイン王室コレクションで ありますので、一層それがいえます。

スペイン略史

古代は ローマ帝国領、民族的にはケルトと北アフリカのイベロが母体となります。 また、ギリシャ、カルタゴも出入りがありました。 5〜7世紀、ゲルマンがドナウ周辺からフン族に追われて南下し、西ゴート王国を建 設。756年、イスラムからアブドウル・ラフマン1世が後ウマイヤ朝を建設。 8世紀には、イスラム教に対するキリスト教徒による国土回復運動、レコンキスタの後 1492年グラナダ王国が滅亡し、スペインが統一されました。

スペイン王室は、まずハプスブルグ家のカルロス1世がカール5世として神聖ローマ皇帝 となり、黄金時代の幕を切りました。其の後、フェリペ2世、3世、4世、カルロス2世と 続き、1700年アンジュ候フィリップ(フランス王ルイ14世の孫)が即位して、ブルボン家 の治世となりました。途中二つの共和制を挟み1975年ファン・カルロス1世が即位し現在 に至っています。三大画家と称されるグレコは16〜17世紀、ベラスケスが16〜17、ゴヤ が18〜19世紀に活躍します。

スペイン美術史

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ローマ水道橋 古代はセゴビアの子豚ローストの旨いレストラン「カンディード」近くのローマ水道 橋等ローマ帝国の遺構があります。中世はレコンキスタの時代ですが、13〜16世紀のイ スラムのキリスト様式(モサラベ)、キリスト教のイスラム様式(ムデハル)といった 両派の融合も認められこれがスペイン美術の特色となっています。

イスラム美術の代表作としては、赤縞模様のモスク、メスキータ、グラナダの宮殿と庭 園のあるアルハンブラが有名です。 また、キリスト教美術では、北部アストリウス地方リエバナのベアトウス修道 士が著した「ベアトウス黙示録」という彩色本があり、現在パリ、ニューヨーク等に 約20点の写本が保存されています。
((参考書:解説 辻佐保子、安發和彰「ベアトウス黙示録注解」岩波書店刊 115万円)

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グラナダ/アルハンブラ宮殿 ゴルドバ/メスキータ宮殿

ベアトウス修道士が著した「ベアトウス黙示録」

絵画では、

エル・グレコ(1541〜1614)クレタ生れの本名ドメニコス・テオドコプーロ スはイタリアで学び、トレドを中心に細長い独特のタブローの宗教画で有名です。 ベラスケス (1599〜1660)はセビリヤ生れ。画家と宮廷官吏を兼任、王室配室長まで出世しました。代表作は「ラス・メニーナス」。 ゴヤ(1746〜1828)は、サラゴサ生れ。タピスリーの下絵かきから1789王室画家とな り、有名な「裸のマハ」「着衣のマハ」や「黒い絵」連作を残しました。 (参考書:堀田善衛「ゴヤ」全4巻)

丁度「プラド美術展」と併催されている銀座テアトル上映の「裸のマハ」は宮廷内の 政治と恋の暗闘を描く歴史劇で、この絵lの制作背景が興味深くえがかれています。 その他、肖像画、静物画のスルバラン、聖母信仰の厚いアンダルシアのムリーリョやベ ネチア派のティッティアーノ、その門下ティントレット。フランドル派のヒェロニモ ス・ボッス、ルーベンス等の巨匠の作品が多く収集されています。

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裸のマハ着衣のマハ

質擬応答

スペインには多くの文化遺産が残っているらしいですが、災害などが少ないからですか?

(答え)
戦争などは結構多いので災害が少ないからと言うより、 ハプスブルグとブルボンによる王朝が安定した治世を長く行ったということと、その王 朝が美術など文化の収集継承に熱心だったというのが大きな理由でしょう。
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文  責 :鈴木 一郎
会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作:上野 治子