5月24日(金)神田雑学大学講義録

「どなたにでも出来る手品教えます」

講師  荒井 勲

講師プロフィル

自称謎の人物
遊びごと百般
テレビ日本一大会出場経験あり

●爾来、人の目をたぶらかすものは三種類あり、それは手品、奇術、魔術 となっている。とくに、分けたことには意味があるわけではなさそうだが、一応そうなっている。最近では大仕掛けのものをイルージョンといって、 すなわち魔術。奇術というのは欧米スタイルで、舞台に立って行なうもの。 手品というのは、和妻(わづま)という日本手品を指しているが、判った ようで判らない説明で申しわけない。

英語でマジックというのは、おまじないの意味もある。手品という言葉の ジャグリングには曲芸という意味も含まれている。またカンジャリング、トリックなども手品を意味している。しかし、このような手品の由来を説明 してもはじまらないので、早速手品の実技に入ることにする。

わたしが手品を始めたのは十二歳のときだから、これこれ五十数年やって いる。ご承知の通り、わたしは背が低い。面白いことに、人間小さいヤツは負けん気が強い。種がわからない手品があると、悔しくて色々研究して、調 べたりするから、友達が増える。有名な人物とも友達になれた。幸い皆死んでしまったので、業界ではわたしだけが有名人として残っている。

有名な手品の高木博士なども友達だった。 かれは、120kgぐらいの体重で、わたしも80kgはあったので、大デブ小デブといわれたものだ。一昨年の暮れに、胃がんの手術で胃をとってしまったので、22kg痩せて現在は58kgである。


学生のころに夢中になって手品の勉強した。学生というと金がないので、せいぜいトランプぐらいしか買えない。そこでトランプばかり扱っていたら、「あんた、若いのに上手いね」と先輩に誉められた。戦後のアメリカ映画で、ダニー・ケィの「虹をつかむ男」の博打うちが、腕の上に並べたカードをパッと反転させる場面に魅了された。そう。このように。

わたしの実家は仕立屋だったので、洋服の構造などは小さい時から、良く判っていた。 すると、手品師がネタをどこに隠すかも自然に判って、先輩の手品を見て「タネの出し方が上手かった」など、イヤ味をいったりする少年だった。 わたしが一番得意なのは、トランプ手品である。それをご覧に入れたい。

このトランプは、先日オモチャのショウで、一個100円で売っていたので、 30個ばかり買ってきたものだ。わたしのトランプ・コレクションは約800 種ほどある。人によっては、何十万もするものを集めている方もいるが、わ たしの場合は高いものでも二,三千円どまりだ。安物だが、その代わり扱いだけは上手くなろうと努力した。

その結果、当時といっても昭和26−27年のことだが、日本で一番上手いといわれたこともあった。ちなみに、わたしは日本一というタイトルは七つほど持っている。 テレビで「ビックリ人間」という番組に出て、グランプリを取ったことがある。何をしたかというと、ヘリコプターで岩場に運ばれ、身体を縄で縛りつけられた状態で水につけられる。

自分で縄を解いて上がってくるというゲームなのだ が、優勝したのを皮切に二年後、「大凡人」という企画に出た。絶対多数の答えを出した人が勝ち残る。一番パッとしない人が生き残るということだが、なぜかこれも優勝した。 「ギネスに挑戦」という番組では、銀座の日産ホールで一晩かかってトランプハウスを作るという企画に出て、日本記録を作った。「手品師のタイムショック」で12問正解すると100万円という番組では、11問正解まで行った。

ところが、クレームがついた。イタリアの通貨は何ですか?という問題に 「えーとリラです」と答えたが、「えーと」がついているからダメとなった。この出題者と、むかしケンカしたことがあったが、こんなところで仇を取られた。 「ダーツ」ではダブルスでペアを組んだ人と「ユニオン・テンション」で優勝し た。27年も前のことを、今だにいっているのも、どうかと思うが。最近、視力も落ちているいるから、そんな力はもう残っていない。

さて、前置きはそのくらいにして手品の実演。 ひもを出す。はさみで真中を切って頂く。そのひもが実は、切れていない。次ぎにトランプ。扇。大きくもなるし、逆に小さくもなる。 一枚取り出して、それを当てる。その種明かし。 手品で一番楽なのは、イリュージョンと言うヤツ。あれは仕掛さえうまくやれば、助手があっちへ行ったり、こっちヘ来たり、本人は現れたり消えたりしておればいい。 引田天功(初代)をご存じと思うが、本名は引田功という。

昭和10年生まれでわたしの後輩だった。わたしは売れなかったが、いい男だったので、あいつの方が売れた。 あいつが売れてから、テレビのスペシャル番組に、呼ばれて3度出演したこと もある。あいつが教わりたいという手品があったので、教えてやった。引田は、テレビでそれをやって、完璧に出来ましたというから、 「二度とお前には教えてやらねえ!」と怒鳴ったこともある。 晩年は催眠術をやって、女の子を騙そうとしたりして、バカなヤツだった。でも可哀想なヤツだった。金が出来たら、心筋梗塞で死んでしまった。

●など、ぶつぶつお喋りしながら、次々と目を欺く手さばきを披露するのでした。かと言って、 手品を文章で説明するのもヤボというもの。画像で充分お楽しみ下さい。
終わり



★ インターネット上で出来る トランプマジックのHPです。  

どうぞお楽しみ下さい。

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    文 責  三上卓治
 写真撮影  橋本 曜 
     HTML  上野治子