神田雑学大学 2002年8月9日 講義録

講師 小泉悦子 牧元勢津子




目 次

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はじめに・講師紹介

実演と講義概要

(1)太極拳の歴史

(2)呼吸法(立禅)

(3)準備運動(ソワイショウ)

(4)実技

おわりに




はじめに・講師紹介

小泉悦子さん、牧元勢津子さん

我々熟年には眩しい美女ふたり。
いや、美しい舞い姿で眼福を得ました。小泉さんは武蔵野市で太極拳の講座を開いている方です。
牧元さんは、その師範代という立場でしょうか。

実演と講義概要

先輩の小泉さんが講義され、牧元さんとおふたりの演技が伴いました。

(1)太極拳の歴史

太極拳は気功に含まれます。気功は新石器時代末期の出土品にも描かれ、2000年前長沙からの出土品に民衆の気功図があるという中国の健康法。
1950年代に入り、毛沢東の呼びかけのもと、太極拳108手あったものを、気功的要素の強い部分を24の形にまとめました。それを簡化太極拳といい、健康法として広く普及しました。日本では揚名時氏がはじめて紹介し、現在では100万人以上の愛好者がいます。

「気」なるものを説明するのは難しいですが、実際に太極拳をしてみると「気」を体験することができます。呼吸法を実行しているうちに、手の平に何か暖かいものを感じるようになります。両の掌に、目には見えないが、暖かい空気のたまのようなものを感じたら、それが「気」です。

大極拳の立ち方は、まず膝を緩め、腰を落とすように立ちます。
背筋は真っ直に、頭のてっぺんが紐で天に吊るされた感じを意識します。
脚の広さは肩幅ほど。足は靴を履いても、足の裏が大地に密着している感じを意識します。大地からも自然の気を吸い上げる気持ちで立ちます。

(2)呼吸法(立禅)

呼吸法は立禅といい、立ったままの禅という意味です。
上半身からは力を抜く構えですが、下半身は膝を緩めても、しっかり大地を踏まえ安定させます。呼吸は腹式呼吸で、順式が吸うとお腹が膨らみ、逆式ではお腹が凹みます。逆式の方が効果は大きく高度です。吸を三、吐くを七の割合にして、静かに行います。両の腕は胸の前では水平に構え、吸で空中に大きく輪を描きます。 輪の終わりは、胸の前で空気の玉を、左右の掌で水平に抑える感じで終わります。

そこから吐く息に移ります。空気の玉をゆっくりゆっくり下に押え込むように、腕を下げ、肺に溜まっている息を吐きます。その呼吸の心は、自然「気」を胸一杯に吸い込んで、それから体内の澱を胸の底から吐き出す、という気持ちです。
小泉さん、牧元さんのポーズを真似てやっているうちに、掌にかすかな暖気を感じるようになりました。しばらくすると、両の掌で空気の玉らしい何かを感じてくるから不思議です。しかし、太極拳のポーズはあくまでも悠久のリズムであって、重心の移動の緩やかさは、初回ではかなり難しいものがあります。

呼吸法は2〜3分継続して、心を落ち着けて終わります。終わるに際しては、深い呼吸から、だんだん浅く、普段の自分の呼吸に戻るという感じで終わらせます。すなわち、余韻を残ことが大切であり、太極拳の醍醐味です。

(3)準備運動(ソワイショウ)

次にソワイショウ。字で書くと「用」という字の真ん中の縦棒を伸ばして、右に曲げてはねます。日本の漢字には存在しない文字で物を放り出すという意味です。まず、腰の運動。平行に立ち、足を肩幅まで広げ、膝を緩めます。
この場合も頭の中心を天から吊られているように。
平行立ちは、回転する場合に動き易く、左からはじめます。
腕を、体に巻きつける感じで廻しながら、腰の回転を同時に行います。腰の回転に腕がついてくるように廻します。上半身をリラックスさせて腰から廻しているうちに、血流がだんだん良くなります。往復60回を目安にします。

だんだんやっているうちに気分が良くなってきます。終わるときは、やはり継続しながら休止に向うように、そして、自分に「気」を集めることを意識しまする。始めるときは左からだったので、右で終わります。以上の二つは準備段階で、体をほぐす目的です。

(4)実技

さて、ここからは実技です。まず八段錦、それから太極拳二十四式の実技に入りました。平行立ちをして膝を弛め、肩の力を抜きます。
生徒は、小泉さんと牧元さんの動きを見ながら、見様見真似でポーズを作りました。
重心移動はどうしても、スムーズには行かないので、ぶるぶる震えてしまいます。流石、先生方の動きには、無理がありません。
中指をを伸ばし、人差し指と交差しながら構える指の形が、実に美しかった。
今回は二十四式中、不老拳を伝授頂きました。

おわりに

小泉さんは、述懐します。
自分は太極拳を始めてから8kg減量できた。しかし、実は、それから更に4kg減量したので、この8年間に12kg減量に成功したことになります。
減量のために、大極拳をしたわけではないが、結果的にそうなりました。
かと言って、風邪も引かない、超健康体になったとも言えません。風邪も引くが、太極拳のおかげで治し方を知りました。たとえば、風邪を引いたら寝ながら呼吸法を行いますと、数分やっているうちに、汗が出てきます。すると早々に治ります。

自分が健康でいると、心のバランスも保っていられます。とくに、大気に有害な物質が飛び交っている昨今ですから、健康を守ることを、積極的に心がけるべきだと思います。
終了後の懇談会のビールの味が一段と美味しかったです。でも、呑みすぎると反って逆効果だと先生から釘を刺されました。

おわり

文責:鈴木 一郎

会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作・編集:大野令治