平成14年8月16日(金)第128回講義録神田雑学大学講義録

「女はなぜ強いか」その論理的考証

講 師 高田栄一氏

1)講師の自己紹介

講師 高田栄一氏私は東京の湯島天神の近くの生まれですが、 そこの記憶はありません。 育ったのは台東区、本郷区で小さいときは近くの上野動物園に入り浸りになっておりまして特に爬虫類が大好きでした。

私は蛇の専門家といわれていますが若いときに、ストアーズという大型店舗それにかかわるメーカーを含んだ業界誌を作りまして私が専務をやっておりました。 そのとき最初の社員の入社選考をやったのが私で、その時応募してきたのが最近流行作家になっている椎名誠であります。 面接してみますとなかなか個性があってくせがない。 なかなかいい男だと思って採用しましたが、なかなかいい仕事をしてくれました。

その後、私は蛇の研究も本格化しましたが、彼がはじめて書いた小説「新橋烏森青春編」が週刊新潮に掲載されたのですが、蛇の研究をしている私を主人公にした小説なのです。小説では私は高根専務という名前で書かれていましたが、 それがNHKの銀河テレビ小説で放映されることになりまして、いろいろアドバイスを頼まれることになりました。 私の役は誰がいいと聞かれて私も困りましたが、結局決まったのが伊東司郎です。

ところが困ったことがおきた。かれは蛇が大嫌いだというのです。この作品では蛇が重要な役なので慣れて貰わないことには芝居にならない。 私は心理作戦で蛇よりもっときらいだというヤスデ を目の前に出したところ彼はびっくりしまして、これなら蛇のほうがましだといいだしまして蛇を扱ってくれました。 なかででポケットから蛇をだすシーンがあるのですが蛇はライトに弱くてすぐポケットにひっこんでしまうんです。 一計を案じてついにセロテープで蛇を貼り付けて撮影しました

私は別に蛇専門でなくて文学にも随分関心があり、仕事が終わると椎名誠とひたすら文学論を闘わせていた。 つまり彼が小説家として大成した原因の一つは私との文学論の話し合いがあったと思っています。 先日文春で彼と対談する企画がありまして久しぶりで会いました。東海林さだおとの鼎談で文春文庫から出版されていますので 機会がありましたら読んでください。

もうひとつ私のプロファイルをご紹介しますと爬虫類の専門家として陛下にご進講申し上げたことがあります。 宮中に参内して本でしめしながら直接陛下の手にふれました。 ご進講した人は多いかもしれませんが手までふれた人は少ないかと思います。 テレビ番組の動物奇想天外という番組によく登場する千石先生もかっては私の下で爬虫類の勉強をした男です。

現在、私は二校かけもちで動物学の講義を持っていますが女性の生徒も多くなっている。 概して女性の方が真面目でよく勉強しているのですが、言葉に気をつけないとセクハラなどと言われますので非常に気をつかっています。 このへんに今日私がお話しするテーマもからんでいるのですが女性が強くなって複雑な心境でおります。

2) 女はなぜ強いか

さて本題に入りますが女がつよいのは今に始まったことではないんですよ。 初めから強かったんですね。  そこで「つよさ」とは何か、の概念をはっきりさせておきましょう。男の場合は、壊す強さです。女の場合は壊れないつよさなんです。 しなやかなつよさですね。どんなに風に吹かれても、決して折れない草を「剄草」(ケイソウ)というじゃないですか。

さて、女のつよさですが、女は四つの大自然を持っているから強いんです。四つの大自然とは生理、妊娠、出産、哺乳です。この大自然は男にはないんです。だから、男が作ってきた制度のなかでは、女は言うことをきかない。きけないわけです。女自身だって抑制できないんですからね。で、規制や制度にはまらないから強いことになってしまって、男にとっては女が眩しいんですよ。 四つの大自然はいわば天与の恵みで、この恵みを支えているのが女性ホルモンのエストロゲン estrogen です。

考えてみれば、男は女によってよろこびを得ているんですね。大自然を持つ女がいなかったら、子の親になることができない。「女なんて」と言いながら女が眩しい。 数年前、「オスがメス化する」とか「男が女性化する」と騒がれた環境ホルモンの問題がありました。 この始まりはアメリカに生息するワニ、アメリカ・アリゲータの異変でした。このメスが巣づくりをしなくなったのです。調べてみるとペニスが萎縮していたんですね。 これでは交尾不能です。 原因はなにか。追跡していくと、ダイオキシンとかPCBなど有機塩素系物質が女性ホルモン エストロゲンと類似していて汚染されたオスが女性化してしまったと、わかりました。

「女性はなぜつよいのか」と言うよりも、「男はなぜ弱いのか」とタイトルを変えたほうが、よかったかもしれませんね。(笑) 本日はありがとうございました。





文 責:得猪 外明
会場撮影:橋本 曜
HTML制作:上野 治子