神田雑学大学平成14年10月11日講義録

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やさしいプラスチックのお話

==暮らしの中のプラスチック==

講師  桑 垣 俊 宏

目次
1 はじめに
2 プラスチックとは
3 プラスチックの発達史
4 プラスチックの種類
   主なプラスチックの特徴と用途(エクセル表示)
5 材料が出来るまで
6 成型加工方法
7 環境・リサイクル関連等のマーク

今回の講師、桑垣 俊宏さんは、さる事務機メーカーの製造部長をなされていらっしゃった関係上、プラスチックの性質を熟知していらっしゃいます。多種のプラスチックとその使い方のノウハウから、リサイクルまでくだいて解説してくださいました。

1. はじめに

プラスチックは日常生活において、さまざまな所で使われており、もはや天然の代用品ではなくなった、と言って良いほどです。いまや生活をする上において、プラスチックは不可欠なものとなりました。

 例えば、若いサラリーマンの一日の行動を眺めてみますと、朝起きて、洗面所で顔を洗ったり、歯を磨いたり、鏡に向って髭を剃ったりします。プラスチックの歯ブラシやラミネートチューブに入ったハミガキで歯を磨きます。もしかしたら、はプラスチック製かも知れません。それが終りテレビを点け、朝食を摂ります。テレビの外枠はプラスチックで出来ており、朝食を摂る食器もプラスチックで出来ています。また、冷蔵庫の中の食品類もラップシートなどに包まれています。

 食事が終り、出勤の身支度をします。ワイシャツやスーツの
ボタンはプラスチックで出来ており、プラスチックのファスナーの付いたカバンを持って玄関へ。そして外を見ますと、今にも雨が降り出しそうなので、撥水の良く効いたレインコートや傘を持って、駅へ向かいます。駅では、プラスチックの定期券で、自動改札機を通って電車に乗り、そして出社します。

 会社に着いて自分の席に座り、パソコンの電源を入れます。座った
椅子はプラスチックのクッションが入っており、表面もプラスチックで覆われています。勿論、電源のスイッチはプラスチックですし、電線もプラスチックで覆われています。一日の始まりとして、先ずメールを開けます。私信が何通か入っていましたので、別の媒体に保存します。フロッピーディスクCD−Rなどに保存しますが、これもプラスチック製です。

 午前の仕事が終り、昼食を摂り、午後の仕事が始まりました。午後の予定を見ますと、商談で、ある企業を訪問することになっています。昼食にウッカリ臭いの強い食べ物を食べてしまったので、プラスチックの
チューインガムを噛み噛み出かけました。

 訪問先の受付係で来訪の意を告げ、応接間に通されました。受付の大きな
案内板は、綺麗なプラスチックで出来ています。担当者が来る暫しの間、部屋の中を見回すと、天井壁紙そしてテーブルの化粧板などは、プラスチックで出来ています。そのうち「お茶をどうぞ」とお茶の接待がありました。ふと、手に持っているお盆を見ますと、プラスチックに高級な漆仕上げをしたものです。そして、担当者が来て、商談が始まりました。

 商談がまとまり、その社を出ました。腕時計を見ますと、まだ早い―その腕時計も
風防ガラスや中の歯車もプラスチック製です―。「そうだ!商談も上手くいったし、何時もはディスカウントで買っている化粧品を、今日はデパートで買おう」と言う事で、デパートに行きました。中身より高そうな、プラスチックに金メッキを施した容器に入った化粧品を、何個か買い求めました。金額が張ったので、決済はプラチナペーパーならぬ、プラスチックペーパーのクレジットカードで行いました。

 デパートを出て、駅に向います。駅のホームで一休み、
ボトルに入ったお茶を飲み、電車に乗って帰宅しました。風呂を沸かし、ガラス繊維強化プラスチックの浴槽につかり、プラスチック容器に入ったボディソープシャンプーなどを使い、洗い流しをします。洗面器は勿論プラスチック製です。

 風呂を出て、夕食を済ませ、一日を反復して、就寝時間が来ました。ウレタンの
布団を敷き、プラスチックケースに入ったラジオで深夜放送を聞きながら就寝します。
 一日の行動を描いてみましたが、ここに例を挙げた品物の数々は、すべては従来からあった陶器、ガラス、金属、木材、皮革や紙などから代わったものです。

2. プラスチックとは
 可塑性を有する高分子物質を主原料として、人工的に有用な形状に形づくられた固体である。ただし、繊維、ゴム、塗料、接着剤などは除外される。」(JIS K 6900-1977)

 プラスチックは、
熱や圧力などの作用で溶かされ、自由に成形できる有機高分子化合物(ポリマー)を総称してプラスチックという。

※有機高分子化合物とは、炭素、水素、酸素などを骨格にした分子がつながって出来た物質で、もとの分子に無い、特有の性質をもったもの、を言います。
 CH、CHO、CHN、CHCl、CHNO、COSiなどの組合せによって出来る物質(C炭素、H水素、O酸素、N窒素、Cl塩素、Si珪素)

 要するに、天然に産するものでなく、化学的に合成された高分子物質のことをいいます。

 プラスチックと言う言葉は、戦後アメリカから入ってきました。しかし、大正の初めから、プラスチックの一種であるフェノール樹脂(ベークライト)や尿素(にょうそ)樹脂(ユリア樹脂)は、日本でも多く作られていました。ただその頃は、合成樹脂とか人造樹脂という呼び方が一般的でした。

 プラスチックは一般に合成樹脂とも呼ばれていますが、樹木でもない物質なのに何故樹脂かというと、今から130年ほど前に、フェノール樹脂(1872年発明、1909年工業化)が生産されました。そのフェノールが天然樹木の松脂のような褐色をしていたことから、樹脂と呼ばれるようになった?とも言われています。

3.プラスチックの発達史
 1869年にセルロイドが発明され、1901年に工業化されて以来、1909年にフェノール樹脂が工業化され、その後、色々な樹脂が次々と工業化されました。
 プラスチックが開発された当初は、石炭から出るコールタールが原料でした。18世紀の産業革命で石炭産業が隆盛になり、コークスをつくる際に出る、コールタールの処理に困りました。一部は防腐剤などに使用されましたが、殆どは河川に捨てられました。そこでコールタールの利用方法が研究され、有機化学が発展していきました。その後、産業の変化にともない、石炭、工業塩から石油へと、そして一部はトウモロコシやサツマイモなどの植物からも、つくられるように進展していきました。今では、それぞれの使用目的に応じて開発され、現在およそ100種類ほどのプラスチックがあります。中には鉄より硬いプラスチックもあります。

※なお、セルロイドは天然の高分子を使用するため、合成樹脂とは言わない。


 プラスチックは、熱を加えた時の性質によって、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の2種類の樹脂群に別けられます。熱と圧力をかけて製品を作りますが、その製品に再び熱を加えてみると、柔らかくならない性質のものを熱硬化性樹脂と言い、製品は再び形を変えることは出来ません。一般的に、耐熱性、耐薬品性に優れていますが、加工性は悪いです。一方、熱可塑性樹脂は、その製品に再び熱を加えてみると、製品は柔らかくなり、何回となく形を変えることが出来、再度の利用が出来ます。但し、プラスチックの種類によっても違いますが、物性値は落ちます。一般的に、耐熱性、耐薬品性に弱く、化学薬品によっては変質することもあります。加工性は良いです。

熱硬化性樹脂

イ.フェノール(ベークライト)樹脂
  ベークライトとも呼ばれる。もともとの色は褐色で、殆どは黒に着色される。特徴は電気絶縁性、耐酸性、耐熱性、耐水性、耐油性、耐薬品性が良い。不透明で燃えにくい。用途は電気・通信部品(テレビ部品)、鍋や薬缶の肥手など。成形品
以外は木工用接着剤や塗料としても使われる。

ロ.尿素(ユリア)樹脂
  ユリア樹脂とも呼ばれる。本来は無色透明だが、表面が美しいので、着色したものが多い。特徴はフェノール樹脂に似ているが、耐水性にやや難あり。用途はソケット、自動車部品、食器、箸、麻雀牌、ボタン、玩具、キャップなど、他に止水や地盤の支持材や補強材に使われる接着剤など。

ハ.メラミン樹脂
  無色透明で、陶器に似たツヤがあり、表面は硬い。特徴は耐水性があり、耐油性、耐薬品性、耐熱性に強い。いろいろに着色される。用途は高級な食器やお盆、化粧板(テーブル、コタツ)、電気絶縁物、自動車部品、などに使用されている。また、紙・布の樹脂加工、工業用塗料などにも使用される。

ニ.ポリエステル樹脂
   特徴は電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性に強い。用途はVTRテープ、カセットテープ、フロッピーディスクの円盤、タック紙など。この樹脂にガラス繊維を補強材としたものは強靭である。

熱可塑性樹脂
イ.塩化ビニール
  熱可塑性樹脂としては最も古い樹脂である。燃えにくいが、燃やすと黄  色い炎を出し、有毒ガスの塩素を出す。我が国の代表的なプラスチック   の一つであり、非常に広い用途をもっている。

今、ダイオキシンや環境ホルモンを発生する元凶として、一番嫌われているが、今日のプラスチック隆盛を招いた素材でもある。硬い感じがするものをプラスチック、柔らかいものはビニールまたはナイロンと思っている人が多い。

しかし、プラスチックは硬いものから柔らかいものまであり、ビニールやナイロンも熱可塑性樹脂の一種である。塩化ビニール(PVC)は、本来は硬い材料だが、可塑剤の量により硬質になったり、軟質になったりする。硬質、半硬質、軟質の3種類あるが、圧倒的に硬質が多い。
 特徴は耐薬品性、絶縁性、硬質性、軟質性、加工性が良い。水や空気は通さない。(硬質)水道管、雨どい、屋根材、パイプ、板など。(半硬質)壁紙、シート、事務用品など。(軟質)電線コード被覆、自動車用シート、レザー、フィルム、農業用ビニールハウス、玩具として子供用浮き輪、子供用プールなど広く使われている。

ロ.酢酸ビニール
  ポリ酢酸ビニール(PVAc)とエチレン酢酸ビニール(EVA)の2種類がある。ポリ酢酸ビニール(PVAc)の特徴は無色透明、無味、無臭、無毒であ  る。耐候性、接着性に優れる。
用途は成形品として使われることは殆ど無く、ビニロンの原料、チューインガム、セロテープなど、また接着剤、塗料などに使われる。
 エチレン酢酸ビニール(EVA)は、工業化は遅く、1960年になって工業化された。特徴は低温特性、柔軟性、強靭性、透明性に優れるが、耐熱性、耐油性にやや難がある。用途はフィルム、ラミネート、スキンパック、農業用ビニール、パッキン、床タイル、人工芝、ホース、サンダル、紙加工剤など。

ハ.メタクリル(アクリル)樹脂
  アクリル樹脂と呼ばれる。特徴は無色透明で硬く、光沢もある。高透明性、高光沢性は  プラスチックの中で随一。

用途はガラスの代用として使われることが多く広告灯、看板、風防ガラス、鏡、腕時計のガラス、コンタクトレンズ、ドアー、レンズ、文字盤、テールランプ、自動車部品、装飾品、事務機器など。

ニ.スチロール樹脂
  無色透明。燃やすと黒い煙が出る。GP(一般用)とHI(耐衝撃用)の2種類がある。GPは価格も安く、コップ、皿、歯ブラシ柄、事務機器、櫛、玩具  電気部品など。ただ、キズがつきやすく、割れやすいのが欠点である。  HIは衝撃性が強いので、電気部品、事務機器、玩具など。また、スチロ   ールは発泡して緩衝材、食品トレイ、カップ麺容器、断熱材など、また軟弱地盤の盛土や擁護壁として用途は多岐にわたる。その他特殊用途として合成紙がある。

ホ.ポリアミド(ナイロン)樹脂
  通常ナイロンと呼ばれる。白色で不透明。特徴は強靭で耐磨耗性、耐寒性、耐撃性、耐薬品性、耐溶剤性に優ぐれている。反面、寸法安定性が悪い。ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などがある。用途としては歯車、戸
車、櫛、魚網、ファスナー、フィルム、歯ブラシの毛、医療機具、電気部品、機
械部品などに使われている。

ヘ.ポリエチレン(PE)樹脂
  超低密度、低密度、中密度、高密度の4種類に分けられる。水より軽く柔軟である。特徴は耐薬品性、電気絶縁性には良いが、耐熱性にやや欠ける。一般に中密度以下を軟質で、高密度を硬質としている。

軟質はフィルム、ラミネート、ホース、レジ袋、ラップ、密封容器、釣り糸、電線コード被覆、カーペット、自動車のエアーバッグ、事務機器、玩具など、

硬質は薬品瓶、水道管、ガス管、灯油缶、コンテナ、パレット、パイプ、ビールケース等である。

ト.酢酸繊維素(セルローズ・アセテート)樹脂
  特徴はセルロイドに似ているが、燃えにくい。用途は写真のフィルムベース、メガネ枠、自動車のハンドル、歯ブラシ柄、化学繊維の原料として多く使われている。

チ.ポリプロピレン(PP)樹脂
  PPと略される。ポリエチレンに似ているが、強さはポリエチレンより強く、樹脂の中では最も軽く(比重0.902)、水に浮く樹脂。特徴は機械的性質、耐熱性、柔軟性、折り曲げ疲労性などに優れている反面、耐冷寒性はやや難があり、寸法精度が出しにくい。

用途は食品包装用フィルム、蝶番、ヘルメット、洗面器や浴用製品、密封容器、不織布、人工芝、電気部品、自動車部品、機械部品、ファイル、事務機器など。また、フィルムでは延伸方法により二軸延伸の場合はOPPが、一軸延伸の場合はCPPが出来る。

リ.ポリカーボネート樹脂
  透明に少し褐色がかかっている。特徴は強靭で透明性、難燃性、衝撃性、耐酸性、耐熱性、寸法安定性、機械的強度に優れている。特に衝撃強度は熱可塑性樹脂の中でも最高のものである。アルカリには弱い。

用途はCDやDVD、歯車、機械部品、カメラボディ、ヘルメット、哺乳瓶、ライター、電話ボックス、風防ガラスなどに
利用されている。

ヌ.ABS樹脂
  特徴は耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性に強いが、透明性がやや難。ブタジェン(合成ゴムの一種)の配合比率を変えることにより、耐熱、透明、鍍金用の特殊グレードもある。
用途は非常に多く、テレビやオーディオ、掃除機の外枠、台所用具、電気機器、事務機器、玩具、家具、自動車内外装飾部品など幅広い。なお、鍍金グレードは化粧品容器、オーディオ、自動車、事務機など多くの業界で使われている。

ル.ポリアセタール樹脂
   白色で不透明。特徴は耐熱性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐疲労性に強いが、耐酸性、耐アルカリ性、耐候性にやや弱い。
用途は、歯車、ファスナー、ばね、通信機器、電気部品など。

ヲ.AS樹脂
  スチロールGPに近い透明性を有する。特徴はスチロールの欠点を補い、硬くて強い材料である。引っ張り強さ、弾性率は熱可塑性樹脂中最高の部類に属する。
用途は扇風機の羽根、使い捨てライター、ボールペンや万年筆の軸、事務機器、電気部品などに使用されている。

ワ.ポリエチレンテレフタレート(PET)
  樹脂無色透明で燃焼させる煙が少ない。用途は飲料水のボトルが多い。ガラス瓶に比べ耐衝撃性、軽量性に優れている。コンクリートの補強材、電気部品に使用されている。最近は塩化ビニールからの転用が多い。

カ.ポリウレタン樹脂
  硬質と軟質がある。特徴は耐摩耗性、耐油性、耐水性、低温性に優れている。
用途は靴の底、ブーツ、油圧用ホース、チューブ、ベルト、フィルム、自動車部品など。発泡してクッション材、マットレスなどに使う。

特殊な樹脂
イ.ガラス繊維強化プラスチック
  FRPとも呼ばれる。ポリエステルにガラス繊維入れることにより、材料の硬さ、強さの向上を目的として強化された材料。特徴は強靭で耐熱性、絶縁性に優れている。
用途は浴槽、椅子、釣竿、ヘルメット、モーターボートのボディ、自動車部品、鉄筋に代わるコンクリートの補強などに使用される。

ロ.珪素(シリコン)樹脂
   特異な性質により特殊用途に使われる方が多い。特徴は耐高低温性、絶縁性、撥水性あり、ゴム状のものから硬い樹脂まである。
用途は成形品よりも潤滑油、絶縁剤、離型剤、防水剤、撥水材、シーリング剤など広範囲に使われている。

ハ.生分解性プラスチック
  通常の気候条件では容易に分解しないが、土中に埋めると微生物等によって水と二酸化炭素に分解されるプラスチックのこと。およそ3ヶ月〜半年で分解される。サツマイモ、トウモロコシやサトウキビなどの澱粉を主原料としている。発見は早く、1920年代であったが、長持ちしない、脆い、強度がないなどの欠点が多く、あまり研究もされてこなかった。然し、環境問題が起きてからは注目されるようになった。
用途としては釣り糸、漁網、歯ブラシ、コップ、ラップの切り刃、医療用フィルム、レジ袋、など多数あるが、あまり普及していないので割高です。

 以上、一般的に使われているプラスチックを紹介しましたが、この他にも接着剤や塗料として使われているアルキッド樹脂、自動車用塗料や船舶・橋梁用塗料、コンクリート補強材などに優れたエポキシ樹脂、ハミガキや鍋類に塗るフッ素(テフロン)樹脂などがあります。

 参考までにプラスチックの生産量は、世界でおよそ1億トンくらいです。そのうち国内生産量は1000万トン〜1200万トンくらいです。景気の低迷で国内需要が落ち込み、というより、企業の海外移転で現地調達が増えたことや、欧米勢のアジア進出で、先細りが濃厚になってきています。因みに鉄の粗鋼生産は国内で1億トン内外です。

5.材料が出来るまで
  
プラスチックは、いくつかの化学原料から人工的に合成されますが、どのプラスチックにも炭素と水素が入っています。 石炭、石油、天然ガス、工業塩、石灰石などから取り出した元素に化学反応を起こさせ、分解と合成によりプラスチック材料を作り出します。
 
6.成形加工方法
 
プラスチックの材料はそのままでは使用できません。鉄板をプレス機械にかけて加工するように、プラスチックの加工にも金型を取り付けて作業します。プラスチックの加工は、熱と圧力をかけて成形しますが、用途によって色々な成形方法があります。また、熱、光などによる性能劣化防止や、加工性、着色性など性能向上のため、成形時に色々な添加剤、充填材(強化材、補強材)、発泡剤、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤等々が加えられます。

熱硬化性樹脂の成形  材料を金型に充填⇒加熱⇒硬化⇒固形化
熱可塑性樹脂の成形  材料を溶融⇒金型に流し込む⇒冷却⇒固形化

イ.圧縮成形(Compression Molding)
  熱硬化性樹脂の成形に適している。材料は通常粉末(パウダー)を使用するが、これを予備成形で固体化しておくこともある。加熱した金型に材料を入れ、プレス成形機で圧力と熱を加えて成形し、冷却して固形化する方法。

ロ.移送成形(Transfer Molding)
  圧縮成形の一種である。精度の高い形の複雑なものに利用されている。熱可塑性の射出成形法の原理を熱硬化性に応用したもの。

ハ.射出成形(Injection Molding)
  熱可塑性樹脂の成形に最も多く用いられている代表的な成形方法。射出成形機は縦型と横型があるが、圧倒的に横型が多い。横型にはプランジャー型とスクリュー型があるが、スクリュー型は材料の運びをスクリューの回転により金型に送り込む。この方法は樹脂が均等に溶融され、優れた方法である。シリンダー内で加熱して溶融状態になった材料を、金型の中に射出し、圧縮して成形する方法。成形品の厚みや大きさにもよるが、1ショット(工程)30秒〜1分〜2分。形状、寸法が均質な製品が出来る。

ニ.押出成形(Extrusion Molding)
  加熱して溶融状態になった材料をトコロテンを押し出すような方法で連続成形する。塩化ビニール樹脂の水道管、ポリエチレン樹脂のホース類、電線コード被覆またはパイプ類の成形に使用される。

ホ.中空成形(Blow molding)
  加熱して溶融状態になった材料をチューブ状に押し出し、チューブを空気圧で膨らませる方法。原理的にはガラス瓶の方法と同じ。ポリエチレンの容器やビン類、ボディソープやシャンプーの入れ物、塩化ビニールの人形など。

ヘ.インフレーション成形(Inflation Molding)
  連なった筒状の成形品で、ポリエチレンやポリプロピレンの袋やラップ類を作る成形方法。レジ袋やポリ袋など袋状のものを作るに適している。

ト.圧延成形(Calender Molding)
  ゴムの圧延方法をプラスチックに応用したもの。樹脂を熱ロールで圧延し、シート、フィルム,レザーなどを作る方法。

チ.発泡成形
  マットレスやトレイ、カップ麺の容器、断熱材、衝撃材などに沢山使用されている発泡プラスチックは、発泡剤を入れて成形する。塩化ビニール、スチロール、ポリウレタン、や熱硬化性のフェノールやユリア等幅広く利用されている。

7.環境・リサイクル関連等のマーク
  
環境やごみ問題が、現在の社会において早急に解決なければならない問題となっています。

*識別マーク 

資源有効利用促進法に基づいて表示されている,(清涼飲料、しょうゆ,酒類)のペットボトルに表示が義務付けられています。
プラスティックの識別
1:ポリエチレンテレフタレート(PET)
2:高密度ポリエチレン  (HDPE)
3:塩化ビニル樹脂(PVC)
4:低密度ポリエチレン(LDPE)
5:ポリプロピレン(PP) 6:ポリスチレン(PS)
7:その他(セロ ファン,ナイロン等)
1番のPETは表示が義務付けられています    が2〜7は任意表示です。
*識別マーク      資源有効利用促進法に基づいて表示されている,分別回収を促進するためのマークです。
プラスチック製の容器包装に表示が義務付けられています。
(飲料用、しょうゆ用のPETボトルは除く)


おわり


文責    桑垣 俊宏
写真    橋本   曜
HTML制作 山本 啓一