第167回神田雑学大学講演
平成15年6月6日(金)

魂の肉体表現者・ジロー今村!
講師 ジロー今村

今日はパントマイムだから、書き込む言葉が少ないのではと抄録を簡単に引き

受けましたが、ジロー今村の若さに興奮したのか聴講者が結構饒舌になり、沢

山の発言となりました。

 

三上理事長による講師紹介:

 半年ほど前、井の頭公園で大道芸の青年に出会いました。何気なく足を

止めましたが、次第に引き込まれて仕舞いました。それが、ジロー今村さんの

「夏の日の少年」でありました。彼は見るからに清々しい鍛え抜いた肉体を持

つ青年です。それ以上にこのパフォーマンスは、自己表現を、身体全体を使って

行うという総合的学習にピッタリだと感じ、千代田区教育委員会に勧誘しまし

た。では、ジロー今村さんをご紹介します!

 

ージロー今村さん登場ー

こんにちは!今村 次郎です。今日はこんな機会を戴き感謝しています。私の

芸は主として井の頭公園の路上で演技の練磨と肉体表現芸術の認知を目指して

行っています。このような室内と違い、季節や天候によってはなかなかキツイで

す。観客も寒い冬など全然集まりません。ほんとうに芸を生かすも殺すもお客

次第だと思っています。

 

 本年は、南は沖縄から北の北海道まで47都道府県を行脚する予定です。

その際県庁所在地は必ず訪れるのですが、先日の仙台では200人以上が集ま

ってくれました。

 私は、日本福祉大学を卒業し、3年程日本マイム研究所で研修しました。

東京を中心とした福祉施設でのボランティア、小中学校の総合的学習や大学祭

出演を精力的に行って行きたいと思います。

 

 今日の演題は路上向きではありません。一つで約6分続くので集中して見ても

らうのは、至難の技です。当然ながら総てセリフなしに音楽と所作で表現しま

す。(あ、よくいらっしゃいました。チラシを取られて奥にどうぞ。)

今月は広島から帰って、明日は群馬。週末の土日月には、井の頭に出ています

ので、是非いらしてください。夏は、7月に大阪と京都祇園祭に参加します。

 

 私のマイム人生のきっかけは、最初養護学校の教師を目指しましたが、大学の

身体表現講座に魅かれ、先生からマイム研究所を紹介してもらいました。

初心通り、是非子供たちにマイムや身体表現を教えたいです。マイムを構成す

るには、対象を観察し、歴史や背景を調べ、どう表現するかを考えるので、

よい学習になると思います。又、心と身体を鍛える事にもなります。

 

マイムその1:『夏の日の少年』

 一人の少年が夏の日の思い出を絵日記に描いているといった心象風景です。

皆さんそれぞれの思い出と重ね合せられると一層イメージが膨らみます。

パントマイムとマイムの違いは、パントマイムが総ての対象をリアルに表現す

るのに比べて、マイムは心象風景といった抽象的な肉体表現で、パントマイム

より自由な崩した形となります。其の中で、回転台座というターンによって、

場面転換やキャラクターの交代を表現します。

 

では、ご覧ください。目の前に大きな海が広がっています。さて、どんな世界

が広がるのでしょうか?(バックに映画「菊次郎の夏」のサントラが流れる。)

 

ーマイムー

 

如何でしょうか?この作品は私の代表作のひとつで、路上でも最後に演ずる作

品です。ここで何かご感想やご質問は?

Q1.心に沁みました。サザンのTSUNAMI等を聴くと夏のイメージが湧

くのですが、選曲はどうやっていますか?

A.自分の気持ちを引き出すような曲をいろんなジャンルから聴き比べて選ん

でいます。

 

Q2.オリジナル曲で演じた事は?

A.沖縄で作曲してくれる人が名乗り出てくれましたが、まだ実現していませ

ん。是非、やってみたいですネ!

 

Q3.この曲はピアノ曲ですが、コンボやオーケストラ曲も?

A.私の好みでピアノ曲の方が観客にイメージを与えやすいと思っています。

 

Q4.マイムは詩と繋がりがありそうですネ!俳句、連歌の発想に近いように

思いました。

A.其の通りです。

 

マイムその2:『高遠』

次の作品は、信州高遠の桜の情景です。高遠には、叔母が居り、毎年4月にコ

ヒガンザクラを観に行きます。では、ご覧ください。

 

ーマイムー

 

 私の全国行脚は、今後関西、関東、北海道と続きます。昨年末から年初にかけ

ては、沖縄に居りました。糸満市のFM局からのお誘いでカウントダウンに参

加しました。糸満市長と固い握手を交わしました。沖縄南部は宅地化が進み、

イメージが違っていて、観光も出来ませんでした。やはり沖縄も冬は寒くて、

もう少し暖かな季節に行きたかった。

 

ー10分間休憩ー

 

マイムその3:『さとうきび畑』

これは、私の中の戦争イメージを広げた作品です。では、ご覧ください。

(バックに演奏のみの森山良子「さとうきび畑」)

 

ーマイムー

 

 この作は沖縄では、カフェや名護の白砂の海岸で夕陽を浴びながら演じ、自分

でも感動致しました。これを創った動機は、何か平和だからこそ出来ることを

追究したいと思ったからです。森山さんの歌は10分程もある長いもので、

歌詞もイメージを広げやすい曲ですが、私のマイムは動きをセーブして内面を

表現して見ました。私の演技はこれで全部です。皆さんからの駄目押しを戴き

たいです。よろしく。

 

Q5.私は彼の発見者ですが、本日は前回以上にポーズが美しく上達が著しい

と思います。また、室内のせいか、最後の決めもしっかりして、高度なパ

フォーマンスでした。この結果は雑学大学のHPでインターネットを通じて全

国に配信されます。

A.ありがとうございます。よろしくお願いします。

 

Q6.「高遠」で、石碑か墓を拝む仕種がありましたが、それの示す人や事柄

を表現したのでしょうか?

A.信州開拓者の石碑です。私のパフォーマンスでは、その内容までは表現し

ていません。

 

Q7.続きですが、ピカソのゲルニカや原爆の図のような戦争イメージを演じ

たらどうかなと思っていましたら、最後の「さとうきび畑」で取り上げていて

嬉しかったです。また、日本の能狂言のように、生きた人死んだ人が同時に出

てくるような作品にも挑戦されたら如何でしょうか?

 

Q8.バックミュージックに童謡や唱歌を取り上げたら如何ですか?

A.是非子供やお年寄りとやって見たいですネ!

 

Q9.今日は参加しようかしまいか迷っていたのですが、参加してよかったで

す。「夏の日の少年」「高遠」で海の魚と川の魚の表現が同じだったのは、戴

けません。また、「さとうきび畑」は歌詞の入った音楽でやって欲しかった。

他に若い人に「乾杯」、お年寄りには「岸壁の母」は喜ばれるのでは?

A.コメディでは、歌詞入りでも好いんですが、シリアスな作品では歌詞のな

い方を取り上げています。

 

Q10.パントマイムで全く微動だにしない演技がありますが、どんな訓練を

するんですか?

A.動かないマネキン、人形振りもマイム研究所で練習しました。

でも、私にはあまりに非人間的、物質的で向きません。幻想的な回想シーンで

は、スローモーション等は使うのですが、、、。

 

Q11.写真撮影をしていると全体の流れがなかなか掴めません。後でHPを

みて理解する事が多いです。今日のパフォーマンスは、最後の決めのポーズが

決まっていて、撮影しやすかったです。

 

Q12.言葉がなくとも、一つの動きだけでそれ以上の深い内容を表現されて

いて感動致しました。同じ肉体でも今村さんの鍛え上げた肉体と見る方の七分

乾きの目刺しのような肉体との違いを痛感しました。

 

Q13.素晴らしい肉体表現でした。今後とも観客の希望を取り入れられて、

更にご精進下さい。TV等にももっと出演してください。

A.テレビ朝日「銭形金太郎」で貧乏芸人1等で賞金10万円を獲得したの

が、沖縄ストリートパフォーマンスの資金になりました。

 

Q14.昔マルセル・マルソーを見たことを思い出しました。今村さんのパ

フォーマンスは情景が浮かんできて理解しやすかった。感動致しました。

 

Q15.お金儲けと福祉は両立しがたいのですが、今後とも頑張ってくださ

い。躁鬱症患者の心を開くために使えそうだと思いました。

A.賛成です。脳障害者の場合には、あまり高度な内容では理解が及ばないの

で、演じていて哀しくなることがあります。

 

Q16.私は、「高遠」が美しくて好きです。イントロから桜の花が目前に広

がって参りました。今村さんの演目はどのくらいあるんでしょうか?

A.現在20本位です。

 

Q17.「夏の日の少年」は、谷口コウタの「夏の日」を思い出しました。

そして、夏の日に遊んだことを思い出しました。

 

Q18.本日初めて飛び入りしました。雑学大学の後のデジタル何がしという 名から難しそうだと思って入りましたが、拝見して感動致しました。

私は、朗読ボランティアをやっています。「奥の細道」のように、土地土地の

Q19.芸術ですからどう表現しても結構ですが、詩的な淡い心象風景から、 能狂言歌舞伎のように喜怒哀楽をもっと出すようにされたら如何でしょうか?

Q20.マイムをパートを分けて多人数で演ずることはないんですか?

A.やったことはあります。しかし私の場合、個人の肉体表現ですから、一人 で演じ、登場人物もあまり多くはありません。

雑学大学の講師として、大学生出演以来の若い講師で、聴講者もノリが良く、 発言が活発でした。久々に芸術的なムードが溢れ、懇談も大いに盛り上がりま した。是非、多くの世代を越えた聴衆に見て欲しいパフォーマンスだと感じた 次第です。今後の御活躍を期待して居ります。


(文責:鈴木一郎、写真撮影:橋本 曜、HTML制作:田口和男)