神田雑学大学2003年8月1日講義

キャメロン高原滞在記

講師 梅田 満 


目 次

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はじめに

キャメロン高原の長期滞在

キャメロン高原はマレーシアのどこにあるか?

キャメロンハイランドのあらまし

お勧めの観光地

個人旅行の面白さ






はじめに


    梅田 満氏


 昨年の12月に、吉祥寺雑大学でキャメロンハイランドのお話をさせていだいた時に、三上さんからもう一度神田でもお話しをしろということでしたので、それなら8月にしてほしいと申しました。
 なぜなら去年と同じように6月から7月にかけてキャメロンに行って、帰ってきて、まだ記憶が新鮮なところでご報告したいと考えたからです。

 こういう目論見でいたのですが、SARS(新型肺炎)問題が発生しまして、直接的にはマレーシアでは、その影響はないと聞いていたのですが、シンガポールでもSARS患者が出たということで、取りやめました。というわけで、話は1年前の話題になります。また、私も大分ぼけてまいりましたので、時々固有名詞を間違えたりしますが、その点をお許しいただきたいと思います。

   孫子のために、というと変ですが、私がキャメロンにおりました頃に毎日日誌を書きまして、その日誌が1日に1枚と少しですが、溜まり溜まって40数ページになりました。どこへ行って何をしたかということくらいしか記述してありませんが、今回お話をさせていただくということで読み返したところ、柄にもなく、ああ、これは役に立つなあと思いましたので、これを参考にしながらお話をさせていただくことにします。
 しかし、2時間の持ち時間ですと、「キャメロン良いとこ、一度はおいで!」ではありませんが、キャメロンの良いところばかり繰り返すのも芸がありませんので、たまに横道に逸れることもありますことを、予めご容赦願っておきます。

キャメロン高原の長期滞在

  マレーシアは、キャメロンハイランドやクアラルンプールのある半島地域ボルネオの島地域とに分かれています。そしてキャメロンハイランドは、マレーシアの首都クアラルンプールの北200km、マレー半島の中央部にあり、標高1300m〜1800mの高地に南北40kmにわたって広がる高原リゾート地です。私がマレーシアのお話をしますと、「私はシンガポールへ行ったよ」とか「ペナンへ行ったことがある」とおっしゃる方がいらっしゃいます。

 シンガポールは1965年にシンガポール共和国としてマレーシアから分離独立しています。またペナンはマレーシアのひとつですが、ここはリゾートで、キャメロンハイランドとはまた違います。ではなぜキャメロンハイランドが有名になったかといいますと、2年ほど前に、元三井物産の久保田豊さん(東京都清瀬市)がキャメロンハイランドに行かれて、『月15万円 年金で暮らせる海外リゾート〜常春のマレーシア キャメロン・ハイランド』(発行年月:2002.6/出版:アルク/本体価格:\1,400/ISBN:4-7574-0624-X)という本を出されました。

 また、その前にも多摩の方で「キャメロン会」という会を設立され、その説明会を催されたのですか、これが非常に好評でして、一気に会員が650名になったそうです。なぜそうなったかといいますと、一つは物価が安く、日本の5分の1、交通費に至っては10分の1程度です。もう一つは、年間を通じて温暖な気候なのです。マレーシアやペナンなどは気温が32、33度の高温多湿な地域ですが、キャメロンハイランドは年間を通じて20度前後です。

 朝晩は少し寒い時もありますが、半袖で過ごすことができます。諸物価が安く、例えば洗濯屋さんへ洗濯物を持っていっても4キロで6リンギット(Ringgit=マレーシアドルとも呼ばれ、RMまたはM$で表記される)、だいたい180円くらいです。朝出すと夕方には戻ってきます。

 そういった天候面と物価安の2つの理由から、シルバー世代、会社を定年になられた方に関心が高いのです。関心が高いゆえにいろいろなことが問題になります。体に循環器系の障害のある方が1か月とか2か月とか滞在されると、日本と環境が違いますので、心筋梗塞、脳梗塞等になられることもあります。

 病気になった場合の対応措置はどうしたらよいのか。国分寺の山本さんという小児科医がいます。その方にも英文による診断書の書き方などもご伝授いただきました。

 そんなことで、長期滞在になるがゆえに、短期のおもしろおかしい旅行とは若干視点が違います。皆さん方も、団体旅行で、10日とか2週間程度、アメリカやヨーロッパなど、いろいろなところへ出かけられたご経験があると思いますが、私がキャメロンハイランドに惹かれましたのは、自分で旅の計画を立てることができ、団体行動をしなくともよいというところです。皆さんも団体旅行でご経験だと思いますが、夜みんな揃って夕食を食べ、朝は朝で7時30分くらいにホテルのフロント前に集合して、8時頃になるとバスが来て観光地まで運ばれて、あちこち引っ張り回されて、お昼になったら、「はい、ここで食事をしましょう」。そして昼食後は休む暇もなく午後の観光へ出かけなければならない。

 そういうので、あっという間に1週間が過ぎて、気が付いたら飛行機の中、といった経験を何度もしまして、これでは楽しくないなあ、と感じたわけです。もし、皆さんの中で、私と同じような思いをされた方がいらっしゃったら、後でご紹介しますが、「キャメロン会」にぜひご入会になってください。というと何ですが、実は私は同会の評議員・お世話役なんです。PRになりますが会費千円をお支払いいただきますと、年3回ニュースをお届けします。非常に貴重な最新情報が提供されますので、もし具体的にお考えなら、ぜひご検討願います。後ほど住所やメールアドレスなどをお知らせします。

キャメロン高原はマレーシアのどこにあるか?

 シンガポールからペナンの北の方まで高速道路が走っており、この道路に沿ってクアラルンプールからキャメロンハイランドまで行くわけですが、キャメロンはクアラルンプール空港から約250q離れておりまして、まず高速道路を200qほど走り、さらにタパーという町から約50q、山道を登りますが、1500メートルから2000メートル近い山に登るわけですから急坂、急カープの連続で、そういうところを通ってたどり着くわけです。私どもはキャメロンハイランドに直行して、そこを起点にとして、ペナンに3日ばかり行ったり、クアラルンプールに出たり、あるいはマラッカへも行きました。あるいはパンコールという海水浴場に行ったり、クアラカンサーという美しい回教の寺院がある町へ観光に行ったりしました。

 さきほど、物価が安いと言いましたが、クアラルンプールからタパー経由でキャメロンハイランドまてバスで行くと、皆さん、日本円に換算して、いくらくらいだと思われますか? 250qも走って、実はたったの390円なんです。1リンギットを30円くらいで計算していますが、正確には32円か33円くらいですので、400円を超えるかもしれませんが、だいたい400円程度です。タクシーでも250リンギット―300リンギット(7500円―9000円)くらいの運賃で行けます。日本なら成田空港から御殿場、さらに浜松くらいまで東名高速で行って、さらに長野県の山の方へ行くという、こんなイメージでしょうか。そんなところをイメージして聞いていただけたらよいかと思います。ちなみに、タクシーはメーター制ではなく乗車時に運賃交渉してから乗り込むことになっています。

   マレーシアの面積は日本のおよそ9割、九州を除いたほどの広さですが、人口が約2200万人です。その中でクアラルンプール市内の人口は約150万人ですが、さらに、この近辺に約500万人の人が住んでいるそうでから、その他の地域は非常に人口が少ないわけですね。キャメロンハイランドでも人口25000人くらいと言われておりますが、私が見たところところ1000人程度ではないかと思うほど、人が少ないところです。マレーシアのあらましを紹介しておきますと、この国には多様な人種がいます。マレー人が約50%、中国系の福建省と広東省の華人が30%程度、インド系が約10%で主にパミールから来た人たちです。そして原住民の人たちが約10%という構成になっています。

 ご承知のように、マレーシアは過去さまざまな国の統治を受けてきました。1965年にシンガポールが独立して共和国になったわけですが、その前の1963年には他の独立州を集めて国を作っていたわけです。これは共和国ではなく王国です。さらにその前の1957年に独立したわけですが、多民族国家ですからマレー人対華人、華人対インド人、あるいは原住民といった民族同士の争いがございました。これは旅行に行きました時に、私たちが注意しなければならないことですが、インド系の人は牛を食べませんし、回教の人たちは酒を飲みません。そういうところで酒の話はなかなかできないということもありますが、この国では、マレー人と原住民に対する「ブミプトラ(bumiputra=「土地の子」の意)政策」がとられており、大学への進学とか就職、あるいは銀行預金の金利までを高くしてまで優遇している社会です。

 なぜそうなるかといいますと、中国人が経済的にも頭脳的にも優位な立場を占めるために、どうしても追いやられてしまうわけです。シンガポールが独立する際には、シンガポールにいる中国人を排除したいということで独立運動が起こったのですが、それでも、いわゆる華人と呼ばれる人たちが約30%いるというわけです。一方また前宣伝では、あそこは回教の国だからお酒が飲めないと聞いておりましたが、そんなことはなく、お店で売っておりますし、値段は高めですがレストランでも飲むことができます。

 もうひとつ良いことは、驚くほど医療費が安いということです。風邪をひいて病院へ行っても、パスポートを提示すれば1リンギットで済みます。心臓に欠陥があるとか、血圧が高いとかいった慢性病をお持ちの方は、海外に行かれる方には英文の診断書をご持参されればよいと思います。この場合には、インターネットの東京都のサイト「ひまわり」(東京都医療機関案内サービス)を利用したり、専門に支援する会社もありますので、そちらに照会されるとよいでしょう。

※「ひまわり」内にある「外国語対応で探す」で検索。アドレスは以下の通り。
http://www.himawari.metro.tokyo.jp/qq/qq13to16sr.asp

 キャメロンハイランドから100qくらい離れたイポーという町に総合病院があります。キャメロンハイランドで対応できない場合には、こちらで診断・診療をしてくれますので、医療体制に関しては、完備されていると考えてよいでしょう。

   さて、マレーシアは多民族から成っていると言いました。言語に関しては、中国語も少し通じますが、基本的には英語が通じます。しかも私たちの英語、つまりアメリカやヨーロッパで通じなかった英語が、ここでは十分通用します。単語を並べるだけで十分ですし、向こうの人も慣れておりますので、言葉の面での問題はありません。それでもご心配な方のために、ひとつ解決策があります。私自身も英語に堪能な方ではございませんが、紙に書くようにすればよいのです。

 たとえばバスの切符を買うときは、「切符を買いたい」「いくらですか?」と書いて提示すれば大丈夫です。ホテルでも、大事なこと、帰りの飛行機の時間の確認などは紙に書いて尋ねるようにすれば安全です。ちなみに、キャメロン高原にある公立の診療所の医師は日本語学校の生徒さんで、つたない日本語だそうですが、日本語が理解できると聞きました。また、クアラルンプールのような都市では英語が必要ですが、キャメロンの町中では日本語でも結構通じます。買い物をするときにも、「ハウマッチ?」と言わなくとも「これいくら?」で通じるくらい日本語がまかり通っていると言えます。

   マレーシア及びキャメロンハイランドに関しては、東京有楽町にマレーシア政府観光局がございますので、一度お寄りになってください。観光案内のビデオや本も揃っており、貸出も行っています。

※マレーシア政府観光局東京支局
〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-6-4千代田ビル5階 
TEL:03-3501-8691 
ホームページ:http://www.tourismmalaysia.or.jp/
※マレーシア政府観光局大阪支局 
〒550-0004 大阪府大阪市西区靭本町1-8-2コットン・ニッセイビル10階 
TEL:06-6444-1220 
ホームページ:http://www.MalaysiaMyDestination.com 

 とにかくキャメロンハイランドは、とても治安が良いところです。ただし、クアラルンプールやペナンといった都市、特に空港などでは盗難には十分にご注意してください。また、交通規制も曖昧ですので、道路を横断する際などにはご用心ください。

 外で食事をしても1回平均200円もあれば済みますし、豪華なところでは中華鍋というのがあります。こちらは12リンギットですから約360円程度、ただしこれは2名以上からですけれど、それでも600円程度で済むわけです。


 物価も非常に安いと言いましたが、加えてモノが非常に豊富です。私の家内は料理が好きなので、さまざまな野菜を買ってまいりましたが、町で素材を買ってきて自分で調理をされるのもよいですね。
 次に、日本からのアクセス(交通)ですが、マレーシアまで、往復でいくらだと思われますか? 私は、前述のジェットセットを利用して、オフシーズンの6月に行きましたが、5万円でした。夫婦で10万円ですから、国内旅行と比べても安いですよね。

キャメロンハイランドのあらまし

 歴史の話になります。最初にも述べましたが、1885年代、ウィリアム・キャメロンという方が地図の測量をしていて、奥行き40qもある大高源を発見し、別荘地には最適だということで世界中に知られるようになります。

 ところで、なぜこれほど日本でキャメロンハイランドが有名なのかといいますと、ひとつには、松本清張がここを舞台に書いた『暑い絹』(講談社文庫)というサスペンスストーリーがあります。小説の主人公であるトンプソンはタイで有名な事業家で、かつてCIAのメンバーであったことから、当時東アジアでは有名な事件だったそうです。

 この小説は、その事件を扱っているのですが、この中で松本清張がキャメロン高原が日本の軽井沢に似ていると言ったところから広く知られているようになったそうです。松本清張は実際にトンプソンが滞在したホテルにも取材で訪れていますが、そのホテルは非常に格式が高く、私たち日本人は入れてもらえませんし、写真撮影すら許可してもらえません。 キャメロンに来る外国人は、アメリカ人は皆無で、北欧の方やオランダ、ポルトガル、イギリス人(昔の統治国という関係)が多く、フランス人もあまり見かけません。

   私はキャメロンではヘリテージホテルを利用しましたが、ここはお勧めです。長く滞在しますと宿泊費も割安にしてくれます。さらに、キャメロン会のメンバーになられてキャメロンにロングステイなされると、通常価格の半分くらいになります。また、朝飯もつけず、シーツも1週間に1度交換する程度の宿泊でしたら、一泊一人60リンギットですから約1800円ですね。しかし、これは1か月くらい滞在することが前提条件になります。

 私たちはアパートを借りて生活をしました。一か月で家賃が1500リンギットですから、約45000円ですね。広さは3LDKよりも少し広く、もちろん電気・ガス・水道は完備しています。ここからクアラルンプールやマラッカなどで出かけましたが、帰国する頃になると、そのアパートが我が家のような気分になったものです。
 ただ、現地には不動産業者がおりませんので、ホテルで紹介してもらうわけですが、10%の手数料を取られます。もちろん、10日程度の滞在ならホテルで過ごされた方がよいでしょうね。この場合には、朝食だけをホテルで取り、昼と夜は外で食事をされるのがよいでしょう。

   最近、キャメロンには日本人の滞在者が増えております。時期的にはお正月から3月くらい、日本が寒い時期に行かれる方が多いようです。そこで、ちょっと気になるのは、キャメロンでも最近は拝金主義的なものが見られるようになったことです。もともとチップという習慣がなかったのですが、私たち観光客にも責任があるのでしょう、ついチップを上げたりしているうちに、定着してきているようです。先ほど紹介しました久保田豊さんは、できるだけ拝金主義を蔓延らせないように、チップを制限したり、日本語教室を開いて、そこで日本にもチップという制度はないことを教えたりしてはどうかと提言されています。

   さて、キャメロンハイランドの銀座通りに当たるのはタナラタという町です。ここには商店街もあり、銀行や病院、レストランなどが並んでいます。といっても1qくらいしかない町なので、日本のどこかに似ているといったイメージをお伝えすることはできません。さらに、ここから5qくらいのところにプリチャンという町があります。ここは地元の農産物生産や商業の中心地です。ゴルフ場もあります。キャメロンから歩いても行けますが、タクシーに乗っても5リンギット、約150円で行けます。私はゴルフ好きなのでよく通いました。ゴルフ場の利用料が50リンギット(約1500円)、クラブの借賃も同じくらいですから3000円もあればゴルフが楽しめます。さらに、キャメロン会の会員でかつ65歳以上の方には割引もあります。

   タナラタの町の人口は5000人と聞いておりますが、実際は警察があり、病院があったり、レストランもありで、ごちゃごちゃしております。中国人やマレーシア人の経営するレストランに1週間も通いますと、顔を覚えてくれますので、すっかり親しくなり、楽しい思いをしました。地元の人との交流ですが、地元の原住民でオランアスリという人々がいます。元々山野にあるものを採ってきて食べるという生活をしてきた人たちですから、なかなか生業にはつきません。ゴルフ場のキャディなどをしていますが、それは子どもで、大人はなかなか外へ出てきません。お茶の栽培も盛んなところなので、茶畑で働いたり、野菜作りに携わったりしているようです。ただ、お金を必要としない暮らしをしてきた人たちなので、これも久保田さんがおっしゃっているように、お金を与えて混乱を起こすようなことは避けたいところです。

   ゴルフ場の話に戻りますが、ここは州営、つまり公営です。平日は5組から7組程度しか来ません。一人で回ることも珍しくありません。でも一人で回るほどつまらないことはありませんね。そして、困るのは、ゴルフボールが川に落ちたりすると、オランアスリの子どもたちが拾って、それを届けてくれるのではなく、溜め込んでおいて、10個くらい集まるとゴルフ場に来ている客に売りに来るのです。可愛いからつい買ってしまいますが、これも拝金主義の表れです。原住民の生活を乱したくはないというのが正直なところですね。

 これからキャメロンハイランドに行かれる人も多いと思いますが、できるだけ現地の人の生活を壊さないで、しかも私たちも楽しむにはどうすればよいのか、それが久保田さんが知恵を絞っておられるところですので、ご記憶に残しておいてくだされば幸いです。
   ゴルフ場の支配人とも仲良くなり、グリーンキーパーなどがオートバイで一緒に回ってくれたり、サービスしてもらった思い出があります。ただ、毎日ゴルフ場に行かれる人もいますが、それほど設備が整っているわけでもなく、グリーンも整備されていませんので、あまり大きな期待をされない方がよいと思います。

お勧めの観光地

 最初はペナンです。一般的にはペナンからパンコール島を経てキャメロンハイランドへ来ますが、私のようにキャメロンハイランドにロングステイして、ここを起点にあちらこちらへ出かける人もいます。

 キャメロンからペナンへは約250q、バスで4時間30分程度、クアラルンプールからキャメロンに来るのと同じくらいの距離です。ここはホテルも高価ですし、これならハワイへでも行った方がよかったな、というのが正直なところです。

 ペナンのジョージタウンの町の中をシャトルバスで観光しようとしたら、シャトルバスは予約制になっているので、お金持ちの日本人はタクシーを使うようにとホテルで言われました。おかしな話だと思いましたが、そういうルールになっているようですので、シャトルバスを使って無料で観光することはできません。ペナンに行かれるときには、こういったところにご注意ください。

   次にマラッカです。マラッカの歴史をご存じの方も多いかと思いますが、マレーシア全体のことにも関係しますので、少し詳しくご紹介したいと思います。最初マラッカに触手を動かしたのはポルトガルでした。1511年といいますから、ずいぶん昔の話ですが、ポルトガルはマラッカを攻撃して占領します。それから100年ばかり後の1642年にはオランダ軍がポルトガル軍に勝利して、ポルトガルはマラッカから撤退し、オランダ領になります。

 また、イギリスは1786年にペナンを、1819年にはシンガポールを占領しています。英国支配下の港では自由な通商活動が行われましたが、オランダは貿易の独占支配と厳しい通商管理を維持したため貿易競争で敗れ、マラッカは裏街道の港へと落ちぶれてしまいました。1824年になると、オランダはイギリスと英蘭協定を結びスマトラの一部とマラッカを交換します。マレー半島はイギリスへ、スマトラはオランダへと勢力協力を結んだのです。こういうふうに入り組んだ複雑な関係があります。

   というわけで現地には多くのオランダ人がいます。クアラルンプールで知りあった年金生活者のオランダ人とマラッカで偶然出会ったりしました。その時彼は、「なぜマラッカまで観光に来たのか?」と聞きますので、「昔学校で、マラッカ海峡が世界の貿易では重要な役割を果たしたところだと習ったので、どんなところから見に来たのだ」と答えたものです。
 私たちはクアラルンプールから390円のバスで約4時間揺られていきましたが、現地ではマラッカではなく"メラカ"と呼び、ローマ字でそのように書いてあります。

 ポルトガルとかオランダの船の遺跡などもあって歴史をしのばせていますが、非常に"異境"に来たという感がありました。ホテルの部屋は17階にあり、マラッカの町が一望できましたが、ここにも中国人の町がありました。ババニョーニアと呼ばれる "成功者の家"があり、ここも見て回りました。マラッカの一番良いところは、歴史の持つ重みを感じさせるところでしょう。
 たとえば、かつてポルトガル人が住んでいた漁村に行きましたが、現在そこに暮らしている人たちは現地の人との混血が多く、ポルトガル人とはかけ離れた顔をしているのですが、言葉はポルトガル語しか通じません。こういうところは、ぜひご覧になってください。

 次にパンコール島をご紹介しましょう。パンコールラウリゾートという高級リゾート地がある一方で、庶民的なところの両方があります。パンコールラウというのはマレー半島から船で30分、キャメロンからは160qくらいのところにあります。

 タクシーの運転手さんに、「イポーという町を経由して行くのか」と聞きましたら、そうではなく「田舎道を通って行く」と言います。私としては高速道路で行きたいと思ったのですが、結果的には、こちらの道で行ったのが正解で、非常に楽しい思い出となりました。

   どうしてかといいますと、ドリアンという果物がありますが、これを町中で買い求めても臭いが強烈なのでホテルなどへは持って帰ることができません。でも、アパートを借りている私なら遠慮無く持って帰ることができます。パックに1杯が5リンギットくらいで買えます。ドリアンというのはご存じのように、味は素晴らしいのですが、臭いがひどいものですね。その田舎道にはドリアンの木が立っています。そこでタクシーの運転手が車を止めて説明してくれたりします。
 また、「ここは"ライスフィールド"だ」と言います。何のことか分からないのでよく聞いてみたら田圃なんです。私も長いこと英語を話してきましたが、そんな言葉を耳にしたのは初めてでした。

   さて、パンコール島に着きました。7月の平日でしたが、非常に空いておりまして、ホテルでは料理も出さないというのです。「町に屋台があるから、そこで食事をしろ」と言います。確かに町中にはいろいろな屋台があり、立派な鯛が出たりと、ホテルの食事などよりおいしかった思い出があります。パンコールに行かれたら、ぜひ屋台でのお食事をお勧めします。私たちが泊まったホテルは海岸通りに面したロッジで、冷房完備の気持ちの良いところでしたが、一泊しかせず、残念なことをしたと後悔しています。ここでの一番の思いでは"サンセットツアー"です。

 船で夕方の海に出るわけですが、観光の醍醐味を味わいました。特にキャメロンという高原に長くいたものですから、新鮮に感じたのでしょうね。150リンギットで1艘の船を借りまして、家内と二人で40〜50分の時間を満喫しました。このツアーはお勧めです。私の住まいは大泉学園ですが、親しくしているお店の人がいまして、そこの息子さんがビーチウェアなど海関連グッズの商売をなさっていて、「東南アジア各地を回った」と豪語していますので、「パンコール島に行ったことがあるか?」と聞きましたら、知らないという答です。

 「パンコール島を知らずに東南アジアをすべて知っているなんて言わせないよ」と私は威張ったのですが、私の友人でスキューバーダイビングを趣味にしている人がいますが、やはり彼も知らないということです。

 このように、あまり一般に知られていませんが、パンコール島は人が少なく、海が美しく、人情が豊かな良いところです。おまけに料理がおいしいところですので、ぜひ皆さん、ご記憶におとどめおきください。

   ホテルの従業員には、念のため英語で、前述しましたようにメモで話し掛けました。最初は「宿泊は今晩のみだ、料金はいくらだ? ロングステイならいくらだ?」、二番目に「今から昼食をとりたい、その後島巡りをしたいので案内の手配を頼む。その料金はいくらか?」、さらに3番目は「(夕方)5時ごろに帰ってくるが、サンセットツアーはいくらか? また、その業者を紹介してほしい」。続けて4番目は「サンセットツアーの後、ホテルで食事をしたい。予約もしたい。時間は何時ごろからか?」とホテルのフロントに頼めば、ちゃんと手配してくれます。私の英文もかなりいい加減ですが、これでも十分に通じるのです。その答えは、「1泊160リンギット、当ホテルは最高のシャデーを提供する。シーズンオフ、しかも平日なので食堂は閉鎖している。すぐ横の広場に屋台があるからここを利用してくれ。ホテルの経営だ」、「サンセットツアーは7時から30分ほど。ホテル指定の業者を紹介する。大きいボートがよいか? 料金150リンギット」と書いてございます。

   次にクアラカンサーという町にも出かけました。イポーの先、タイピンの手前に当たります。美しいイスラム教寺院があり、その見学を目的に出かけたのですが、失敗をしでかしました。どうせ小さな町だろうから、歩いてゆけるだろうと思っていたのですが、やはり熱帯地方ですから、とても歩けたものではありません。観光案内所などで話を聞いて、どうしたら効率的に回れるかを調べるべきでした。この旅の中では一番反省点の多いところです。こういう暑いところを旅するときには、タクシーなどを利用することが肝要だと思います。

   クアラルンプールについてはひとつだけ紹介しておきますと、タクシーではなくバスでの移動をお勧めします。私たち夫婦でマンウォッチングと称しておりますが、現地の人となりが良く分かるからです。ここには、プドラヤバスステーションという巨大なバスステーションがございます。これは私たちの想像を絶する大きさで、60数か所ものバスの発着所があり、90台以上のバスがプラットフォームに並ぶのです。驚いたのは、同じプラットフォームに何台もの、違う会社のバスが次々とやってくるので、どれに乗ってよいのか迷うのです。

 運転手に尋ねても答えてくれません。困り果てて、切符売り場で「キャメロン高原に行くバスの車体番号は?」と尋ねました。これですぐに分かりました。皆さんも、ここを利用される際には、行き先の車体番号(車体の横に3桁で書いてあります)を確認されるようにしてください。また、キャメロン会の会報では、次号で、このバスステーションの簡略な案内を紹介することにしております。また、クアラルンプールには錫の採掘地跡や織物工場などもあり、ホテルには小さなバスで観光案内をしてくれる専門のガイド(日本語が分かる人もいる)もいますので、大きなバスよりもこちらで回られた方がよろしいでしょう。

個人旅行の面白さ

 最後にぜひご紹介をしておきたい話がございます。私たちは、7月の10日に帰国したのですが、その前日の9日に、現地で知り合いになった、中国系の果物売りの人に、現地で使ったシャツや靴など、もう不要になったものを差し上げようと思い、その家まで尋ねて行きました。そして、それらの品を差し上げた後、記念にあなたの名刺をくれないかとお願いしたところ、「こんな商売をしているから、私は名刺など持っていない」と言って、身分証明書を見せてくれました。すると、そこに名前が記されており、なんと「キングコング」と書いてありました…。

 彼と、最後に一緒に写真を撮ろうとしたら、私の手をしっかりと握り、「さよなら、日本のジェントルマン。あんたにはとても世話になった」と言ってくれました。私は先ほどもお話をしましたように、とてもドリアンが好きなので、毎日彼の店に通って親しくなったわけです。こういう体験は団体ツアーでは味わえないものだと思います。次回訪れるときにも、彼に、キングコングさんに会うのを楽しみにしています。

 それ以外にも、タクシー運転手でインド系のサミーという男のことも印象に残っています。子だくさんで息子や娘がいっぱいいるのですが、ワールドカップの時の某ビール会社のユニフォームをその息子の一人に差し上げたら、クアラルンプール空港に着くまで「ありがとう」と言い続けてくれ、人間としての触れ合いといったものを感じたものです。

 クアラルンプールから日本へ帰る飛行機は現地では真夜中、11時30分くらいの離陸になります。夕方、6時30分くらいに空港に着きまして、まだ荷物の受け付けもしていません。荷物の預かり所をのぞきましたら、若い人がいましたので、「受付をするのか?」と聞いたら、やるともやらないとも答えません。そこで、私は知っている限りの英語を駆使して、「私はマレーシアに1か月も滞在した。特にキャメロン高原はとっても良かった…」と話し始めたところ、今度は彼の方が「私は研修で日本に1か月行ったことがある。生まれはマラッカだ」と答えて、会話が弾みました。

 そして、機内持ち込み荷物の制限は40sなのですが、実は2sか3sオーバーしていると思っていたところ、彼は秤にかけて涼しい顔で「OK! 38s!」…(笑)。ということで、やはり旅に出るなら団体より個人だなあと思うわけです。
 今年の冬くらい、SARSが安全だと確認できたら、もう一度マレーシアに出かけたいと考えています。今度はボルネオの方へ行ってみたいと思っていますが、こちらにもキャメロンと同じような気候のところがあるそうです。次回は、皆さんに、ボルネオのお話をさせていただきたいと思いますので、また機会がございましらた、お会いしましょう。

<キャメロン会>
  カメロン会事務局 渡嶋八州夫(トシマヤスオ)
  〒207−0014 東大和市南街3−20−6
  e-mail:toshima8@lapis.plala.or.jp

キャメロン高原案内
 http://nichma.hp.infoseek.co.jp/Camelon/Camelon.htm


おわり
(文責: 三上卓治))
会場写真撮影:橋本 燿 HTML制作:大野令治