神田雑学大学 平成15年8月15日講義録

神田雑学大学講座177回

「美術魚拓」(自分で釣った魚をアートに)

講師 星野 光義(龍光)

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目  次

プロフィール

美術魚拓「竜の子会」師範の作品展示

魚拓の歴史から今日の美術魚拓まで

美術魚拓とは(竜の子会の紹介)

実演および代表者による体験の披露




プロフィール

平成元年  美術魚拓「竜の子会」入会
〃  5年  名取 
〃  9年  師範 

私は美術魚拓「竜の子会」師範として、全電通労働会館での毎月2回の例会では会員の魚拓製作の指導に当っています。 自らも作品を制作し、技量の向上に努めていますが、なかなか納得のいく作品ができません。その時は先ずまずかなあと思っていても、 後でその作品をみると、恥ずかしくて人に見せられる代物ではありません。

今回は「竜の子会」師範の代表作の展示、魚拓の歴史、美術魚拓の意味、魚拓の実演、代表者の体験を通じて感じたことをお話したい。 他人の作品などは、どの作品を見ても勉強になります。

「我以外は皆、師なり」これは「竜の子会」の先輩師範の先生の座右の銘ですが、まさにその通りです。私は元来釣りが好きで、よく海釣りに出かけ、「一竿風月」の心境を楽しんでいるのですが、天候の悪いときには思うように出かけられずイライラしていました。しかし、この美術魚拓に出会ってからは、そいいう日には、家の中で魚拓づくりができるので、イライラも解消されました。「晴耕雨読」という名文句がありますが、「晴釣雨拓」といったところでしょうか。

私は今年還暦を迎え、時間にも余裕ができたので、これからは今まで以上に美術魚拓を多くの方に理解してもらい、ポピュラーなアートとしての一部門を築いて行きたいと思って います。

美術魚拓「竜の子会」師範の代表作品

薬師寺 龍弘 作島倉 龍神 作 
本間 龍王 作星野 龍光 作 


中山龍雅 作

魚拓の歴史から美術魚拓まで

釣り人は誰でも、他人より大きい魚をつりたいと、絶えず思っているものです。

釣った魚の記録を残したい、これが釣り人の願望です。 その願望が魚拓を生み出したのです。 わが国最古の魚拓は江戸末期の安政2年(1855)、庄内藩の武士 松森胤保が作った鮒の魚拓といわれております。 かつて、庄内藩では藩主酒井公が釣りを奨励したため、藩士は釣りの腕を競い、釣った魚を魚拓に残したと言われています。 これらの古い魚拓は、現在もその一部が本間美術館(山形県酒田市)に保存されており、一般公開されています。 これらは、当然墨一色の記録魚拓そのものでした。

その後、1862年氏家直綱の紅鯛が間接法によるものだと分かり、これがしこの間接法魚拓と云われています。 その後、時代と共に美しいものを作りたいという願いから、数かずの魚拓愛好家の手により色彩が加えられ、さらには植物や器物が魚拓の添え物として拓かれるようになり、今日の美術魚拓(間接法/カラー魚拓)が確立しました。

美術魚拓とは

魚拓の製法には
@ 直接法(魚に直接墨または絵具を塗り、紙又は布に転写する技法)

A 間接法(紙に薄い紙又は布を載せ、その上からタンポで色を載せる【打つ】技法とがあります。

「竜の子会」では、色彩絵具でこの間接法の技法を用い、「美術魚拓」と称して活動しています。

実 演

まず、魚のエラや肛門をチリ紙で掃除してから、魚が動かないようにバルサ材や粘土でしっかりと固定します。

固定した魚のエラブラ、各ヒレ「胸ビレ、背ビレ、尾ビレ」を更に接着剤で固定します。 この作業が非常に重要です。この作業がしっかりしていないと、色付けの際に魚が動いて紙が破れることがあります。
固定した魚から、上に載せる魚拓紙が汚れないように、ヌメリや血などの汚れを取る。

魚の上に和紙【画仙紙】を載せて、霧吹きで水分を与え、シワが寄らないようにスポンジで貼り付ける。

貼り付けたら、魚の水分をチリ紙でふき取り(水分があると油絵具がのらない)色付けする。

竜の子会では、色付けにオリジナルの「竜の子カラー」を使用しています。「竜の子カラー」は油絵具で、チューブから出してそのまま使用できるので、滲むこともなく誰でも容易に色づけができます。 色付けのポイントは、タンポではじめは薄く、何度でもうち重ねること。 なるべく淡色から打ってください。

今回は、真鯛の魚拓制作実演を致します。
使う絵具は藍、黄、灰、赤、赤茶、黒、胡粉

@ 頭から背の部分に藍で下色(料理でいう下味付け)をします。色付けは魚体より少し細めにする。(魚全体を色付けすると、紙を剥がしたとき実際の魚体より太めになってしまい、見栄えがよくない)じつは、この頃合が難しい。

A 魚体の中ほどに黄色を打つ

B 腹部に灰色を打つ

C @の上に重ねて赤、赤茶を打つ

D 黒をかるーく打つ(魚体の色付けはこれで終わり)

E 色付けが終わったら魚体から紙を剥がす(紙全体に霧吹きで水分を与え、和紙が破れないように注意しながら行う)

F 背ビレを打つ(魚体を細めに打つ。魚体と背ビレを一度に打つと、そこが開いてしまうため、魚体を打った紙をずらして、背ビレに合わせて色付けをする) さらに、ヒレの、骨と骨の間を膜打ちする。

G 目を筆で書きこむ。本体で使用した色を全て使います。ここが一番緊張する瞬間です。

H 腹部に胡粉を打つ

I 斑点を入れ(胡粉の上に藍を載せる)

では、ここで皆さんご一緒に、100円玉を使って模擬魚拓の実技をして見ましょう。

 

最後に美術魚拓「竜の子会」を紹介いたします。

*創立   1958年高尾竜三郎先生(現竜の子会会長)の提唱により発足

*会員数  50名

*年間行事 

魚拓教室の開催

(全電通労働会館/御茶ノ水にて毎月2回、第2、第4金曜日18:00−21:00)

  秀作発表会、批評会の開催

国際釣り博(毎年2月初旬幕張メッセにて開催)への参加、実演、体験教室

千代田区文化祭への作品出展(10月)

会員の作品展示発表会(4月/九段社会教育会館)

その他、ご依頼により各団体、イベントでの実演、体験教室の開催を行ってい ます。

● 「竜の子会」では常時会員を募集しています。

教室では、会で「魚」「絵具」「魚拓紙」等々主なものを用意し、師範の先生が実演し たのち、各会員は夫々に配られた魚で勉強しています。 詳しくは下記URLでご覧ください。

「竜の子会」URL     http://www.geocities.co.jp/Milano-Killer/7772/


 文  責   三上 卓治
会場撮影  橋本 曜
HTML制作  上野 治子