1010日神田雑学大学講座

バイオDB9011で川の悪臭も消臭!

講師  白川典明

目次

講師プロフィル
シートの開発
川の悪臭を消臭
微生物DB9011とは
河川浄化消臭パネルの開発
自宅風呂での実験
DB9011の活躍



講師プロフィル

地球環境保護企業 

株式会社ビックベン 代表取締役











  • シートの開発

     私がバイオに出会ったのは約18年ほど前です。東大の先生とご縁があり、この菌は人間が嫌いなニオイや汚れが大好きな菌だと伺ったのですが、そのときにこれを使うと環境がよくなるのではないかと感じて早速お風呂に入れて使ったわけです。菌のことにつきましては後ほどお話いたしますが、現在では四年ほど前に出会ったDB9011という菌にはとても強い分解力があることがわかっています。

     人間が嫌うニオイ、汚れが大好きな菌です。そこでシートを開発しました。このシートに人間が寝ると、汗が出る、35〜6度の体温がある、汚れがあるという菌にとってまことに嬉しい条件がそろうわけです。そこで菌が増殖します。このシートを作るのに約5年間かかりました。大きな病院の産婦人科や外来のほうでテストをしてもらったところ、とてもいいということがわかってきました。新聞にもだいぶ取り上げてもらい、販売させてくれという注文も少しずつ増えてきました。

     勝浦市からシートの注文がきました。そこで何度か行くうちに家の裏の川がすごいニオイがする、この川のニオイを消せないかと言われました。グリーストラップといってレストランなどの厨房の汚れを集めてきれいにして外に流す装置がありますが、私はそこのニオイにはトライしたことはありますが、川のニオイは初めてでした。川は水が流れていて移動していますし、海が近いので引き潮満ち潮もあります。とにかく水が動いているのです。それから残飯水、生活汚水も流れてきます。

     川の底にはヘドロがたまっていて、ものすごいニオイがあがってきているのです。こんなものを消せるのだろうかと、帰って相談したところこんなニオイは消せないと猛反対をうけました。けれども、あきらめきれずに何とかできないだろうかと毎晩毎晩考えて、考え出したのがこのパネルです。後ほどまた詳しくお話しますが、このDB9011を使ったパネルを作りました。

     菌も生き物ですから眠ります。現在は(くさいところではないので)眠っています。大好きなくさいニオイのところにくると目を覚まして働き出します。私はそこがおもしろいと思っているところです。そういうようなことで、このパネルが長いこと持続することを考えました。そしてこのパネルを川の中に敷設しました。ドロドロになっている川底にこれを置いていったわけです。私は大学から菌を専門にしてきたわけではありませんがこういう出会いがあってから、何か環境に役立つのではないかと思っていましたので、川の件をどうしてもあきらめられない思いがありました。

     そこで、このパネルで菌が住みやすい状態にして、ヘドロの中にこの菌を住まわせようという考えが浮かびました。今、息子が事業を手伝ってくれていますが、このパネルを敷設する方法などで毎日ぶつかりあっていました。私は土壌の中におこうと思っていましたが、彼は浮かせようという考えをもっていたわけですね。とにかくパネルを敷設しました。市役所に行って説明をしましたら、市長がその方法でやろうと決断されました。問題は安全性でした。川の水は魚のいる海に流れます。

     もともと魚があがってこなかった川で変なものを流すと大変なことになります。そこでこのパネルの安全性を説明しましたら、やってみようということになりました。私はグリーストラップでの経験から、約一ヶ月から二ヵ月後にニオイが消えてくることがわかっていたので、川もおそらく一ヵ月後からニオイが消え始めて約三ヶ月はもつのではないかと申し上げて市役所に計画書を出しました。それが川の消臭工事を始めたきっかけです。


  • 微生物DB9011とは

      さて、問題の菌ですが、これは枯草菌(こそうきん)の一種で納豆菌の仲間です。納豆菌が無害であるということは皆さんご存知だと思います。DB9011は欧州7ヶ国、アメリカ、日本の9ヶ国の特許を持っています。調べてみますと、DB9011は消臭能力が非常に高い。土壌の中にはいろんな菌がいますが、枯草菌というのもやはり土壌の中にいます。プロテアーゼというたんぱくを分解する酵素を出す力が標準的な枯草菌の約50倍あります。

      それから、炭水化物アミラーゼというものは標準のものの8.2倍くらいの力があります。そういうような素晴らしいことがいろいろわかってきまして、菌を作っている菌元と消臭関係において独占契約をしました。その菌を動物のえさに入れている大手企業がありまして、その菌元では動物のえさ関係では大手の企業と独占契約をしています。このDB9011という菌はだいたいこういう格好(横長の長方形)をしています。(長方形の先端あたりにある小さいマル)これが芽胞(がほう)といって菌の芽です。

      菌の大きさは、だいたいが縦1ミクロン(1/1000ミリ)、横4ミクロン(4/1000ミリ)です。人間が嫌うもっとも臭いニオイはだいたいがたんぱく質です。要するに残飯とか魚、肉、野菜などの有機物が腐敗し変化したものです。この菌は腐ったニオイ、変化したニオイだけを消します。そのもののニオイは消しません。バラならバラのニオイそのものは消しません。腐ったニオイなど人間が嫌がる猛烈に臭いニオイだけが大好きな菌なのです。それを聞いたときに、私はこんなに面白いことがあるのかと思いました。

      小さいころからいわゆるバイキンしか知らず菌はみんなバイキンだと思っていましたが、そういう話を聞きまして好気性の菌もあることを知りました。嫌気性の菌もあります。それは臭くなる菌ですが。 DB9011は死滅するとだいたい水と炭酸ガスに変わり、残骸が残らない。つまり、後々に悪いものにならないということを聞いたわけです。この菌は臭いものがくると、それを栄養にして分裂して増殖します。30分に一回増殖します。3000回増殖したときに水と炭酸ガスに変わっていく、つまり死んでいくわけです。

      それを計算しますと、死滅するまでだいたい62日くらいになります。ですから二ヶ月くらいの有効性があります。ここがパネルのポイントになるところです。62日経つ前に死ぬものもたくさんありますが。通常の温度や状況でこういう結果になります。温度が36〜37度でニオイや湿気があると1日で300兆個くらいに増えます。ですから、先ほどのシートに寝ますと菌にはとてもいい条件なのでものすごい勢いで増殖して、汗などのいやなニオイを消していきます。

      だいたい2,3日で嫌なニオイがほとんど消えます。今までの例を見ますと、だいたいどんなところも6〜7日で嫌なニオイが消えます。28件やりましたが、ほとんど一週間くらいでニオイが消えています。場所によって多少違いますが、約4〜5ヶ月の有効性があります。

    • 河川浄化消臭パネルの開発

         この菌は通常二ヶ月で死滅してしまいますが、私どもはどうしても半年もたせたいと考えて、パネルの中に何種類もの素材を入れて菌が居心地いいようにし、できるだけ長く働けるように考えたのがこのパネルです。いろいろと検討しまして、やっとできたわけです。最初に勝浦でパネルを使ったときに使用したものは300型のものです。今日持ってきたものはグリーストラップ用で、川に敷設するものにプラスしてドロドロになった油を分解するものを入れてあります。この300×300のパネルに菌を2兆個入れてあります。

         川にはあまり酸素がないのですが、グリーストラップなどでは酸素をぶくぶくぶくぶく入れていますので川の何十倍も菌が働きます。酸素があまりない川ですと効率が悪いということで、今度は500カクのパネルを作りました。それを約50ヘーベーに一枚の割合で川に敷設しました。状況が悪いところ、つまりものすごく臭いところにはパネルをもう少し寄せて使いました。その他に、土壌改良剤がありますので、その粉末を川の露出した部分にまきました。そういうように今まで28ヶ所、現在もう一ヶ所受注をうけています。周期的に言いますと、4月の終わりから5月の初めにやり始めますと、10月頃まで菌が活動するようになっています。川のパネルについてはそういう次第でありました。

      • 自宅風呂での実験

          1994 この菌を知った最初の頃、これをお風呂に入れて実験していました。私の家では菌の入った3つのボールが14年間入っていました。これを入れましたら家族にお風呂にバイキンを入れるなと大反対されましたが、2,3日したらキレイなるからと言って紙にボールを捨ててはいけないと書いておきました。ところが、2,3日してもきれいにならないのです。それでまた家族三人、女房、息子、娘が猛烈に怒り、家のお風呂には入らないでみんな銭湯にいっちゃいました。私一人だけ、一番最初の頃でしたので、どうなるのかと半分不安になりながらお風呂に入って、菌ちゃん頼むぞとボールをなでていました。

          6日目の朝に見てみますと、まったくきれいな水になっていた。ニオイも全然ありません。そこで、そのきれいな状態が何日続くのかということを実験し始めました。そうすると、家族はなおさら入らない。でも私は顔も髪も体もその水で洗っていました。一人で入っていたので水をかえないでだいたい4日くらい入れました。私がそんなお風呂に入っていてもどうもない様子を見て、家族が入り始めました。水を見てもまったくきれいですしニオイもないものですから、何の違和感もなく何の文句も言わずにみんな入り出したのです。

          4人入っていて3,4日お風呂の水をかえないで入れました。それで、実際にこの菌にはニオイと汚れを消す効果があることがわかりました。ただ、シートを作るのに5年間かかったのですが、事務所も何もないので家の中でシートを広げて、この菌は綿になじみがいいので綿の布に菌をはけで塗ってシートを作っていました。それを友達にテストしてもらったりしていると、どうもワキガのニオイが消えているということがわかってきました。年金など財産を投入しましてある会社でこのシートを3000枚作りました。

          工場を借りて作るのですからお金がかかります。しかも会社でも何でもない時でしたので保証金とかなんとかがいる。とにかく家族には大迷惑をかけてきているわけです。川の件の時も、お金もないのにどうするんだと言われ私もほとんど諦めていたのですが、どうしても諦めきれない。人間が嫌うものが解決されて、動物などにも悪い影響がないこの菌のことが諦めきれませんでした。うちで猫を飼っていますが、その猫の飲む水に一週間に2,3回ちょっと液体菌を入れてやりますと、元気になるんですねぇ。以前はちょこちょこ病気をしていたのですが、今はいつも元気でかわいい猫です。

        • DB9011の活躍

            私はこれから先もこのパネルをもっと有効性の高いものにしていきたいと考えています。今のところ、川はほとんど市町村からの注文があります。勝浦の川で臭いニオイが消えたと新聞に掲載されましたので、近隣の九十九里町とか、銚子市の土木事務所とか次から次へと呼ばれまして工事をしました。また、千葉市役所から呼ばれまして住民から臭いとたくさん苦情がきている川があるということで、消臭パネルの敷設を実施しました。最初に三つの川に敷設しましたが、これが見事成功しました。だいたい120〜130人の近所の方に市役所がアンケートをした結果、70%の方がよくなったと回答しましたので、市役所の方にもとても喜んでいただきまして今年はまた1本注文が増えました。

            そうしましたら、今年の8月頃に県から話がきました。市役所で消臭パネルを設置した浜田川の下流が県の管轄なのですが、同じ川で消臭パネルを設置しているのだから下流に菌が流れてきてニオイが消えるのではないかとお話をされたのですが、この菌は一番臭いところにきて能力を発揮する。菌はパネルから出ていきますと水に流されてなくなる。そこで、先ほど申しましたように徐々に徐々に働かせようと考えまして、約六ヶ月もたせるためにどれくらいの菌を入れればいいかという計算をしたわけです。

            300型から500型に変えてから菌の数が5兆個になりました。この菌も手作りみたいなものですから非常に高い。そしてパネルの中の材料も最高の素材を使っています。菌が働きやすいように、徐々に出るように工夫をしました。

             もう一つ例をあげますと、川崎市に雨水がたまる520ヘーベーの大きな水槽が地下にありますが、そこもものすごいニオイがする。それが川の中に流れていくので、市長がぜひなんとかしろと申されてうちにお話がきました。今、年間に3回パネルを変えるようにしていまして、2回目でもう完全にニオイが消えています。こういうように、河川やビルピット、グリーストラップ、浄化槽などでこのパネルが利用されてこの菌が活動しているのです。

             このパネルも公園トイレで困っているというところでも活躍しています。循環式で2トンくらいの汚水が流れているのですが、このニオイが消えないかと依頼されまして二子玉川のほうに見に行きました。やはりニオイが非常にきついところがありましたが、そういうところに男性用トイレにはボールを設置しています。それからこの液体状のものは即効性がありまして、臭いところにまくと状況にもよりますが2,3秒でニオイが消えます。そして、このパネルを循環性のところに設置することが決まりました。

             川の施工はとても大変でしたが、トイレ関係では学校や駅、ホテル、病院などで使われるようになりました。河川ではお配りしたプリントの裏にも実績が書いてありますが、だいたい28件程度です。厨房関係に設置されたいろんな汚いものや臭いものが流れてくるグリーストラップという装置がありますが、JR横浜駅の地下街に1トンくらいのグリーストラップが8基くらいあります。そのうちの1基をやってみてくれといわれまして、500のタイプを入れましたら一週間ほどでニオイが消えまして、ドロドロだった油が完全に分解されて豆腐のおからのようなカスが浮遊しているだけで、それを取り除けばきれいな水で、その中に手を入れても全然油分はありません。それだけ猛烈な勢いでニオイを分解する能力があるのです。この菌は酸素がありますと最高に働く能力があるので、こういうところは酸素をぶくぶく送り込んでやっています。

             やはり一番大事なことは安全性の問題です。この安全性の証明は国が定めた厚生大臣指定の機関であります東京食品衛生協会でマウスを使って急性毒性試験、つまりこの菌を飲ませたり皮膚につけたり目に入れたりした実験をしました。そのテストでも全然安全性に問題がないということが証明されました。
            今、私は置いておくだけでニオイが消えるものを作りまして、それはポリマという粉末に液体を含水させたものです。この中蓋をとって、車の中や6畳くらいの部屋においておくと自然蒸発して臭いニオイを消してしまう。今、一番売れているものがこれでして、なんで置いておくだけでニオイが消えるのかといいますと、置いておくと菌が浮遊してニオイが消す。これを作るときにもこんなものを作ったって売れないと反対されたのですが、これが一番売れているという状況です。

            ニオイは壁や床に染み付く場合がありますが、そういうときは液体をスプレーしたほうがいいです。日産自動車の中古車センターで車の消臭実験をしたのですが、猛烈なタバコのヤニのニオイ、皮のシートのカビのニオイが一時間ほどで完全に消えました。
            今、京急電鉄の子会社で京急サービスというところと契約して、学校のトイレやグリーストラップなどにこれを使っていただけるようになってきました。


             どこにいきましても薬物的なものが多く、臭いニオイを別のニオイでかぶせてしまうというものが多いですが、根本的にニオイを消さなければならないというのがわれわれの考えです。これは無臭でニオイがほとんどありません。無臭で無臭にするということを私は言って回っています。ただ、値段的に言いますと薬物的なものは安く、これはちょっと高いということがあります。最近、日本経済新聞に掲載されましたが、それから三ヶ月間電話がなりっぱなしで本当にニオイが消えるのかと問い合わせがたくさんきました。だんだんご理解をいただきまして、一度使われた方から今でも受注が続いているところもあります。

             安全で有効性が高くて効果が持続するのがこの菌の特徴です。とにかく、流れる川でも効果を持続させようという考えがやっとここで成功し、だんだん認めてもらえるようになりました。最初にパネルを実施した川の近くにあった喫茶店から、以前はコーヒーのにおいよりもヘドロのニオイがしていたが設置してからヘドロのニオイが消えたと一番最初に市役所に連絡があり、そこで初めて家内がやっと認めてくれた次第です。いろいろ迷惑をかけたけれど、家内も理解してくれました。でも、今でも怒られ通しなのです。というのは、やはり役所は税金でやっているので高くはできない、しかし材料は最高のものを使っていて高くつく、それでなかなか採算がとれないのです。

             今考えていることは、この菌の能力をまだまだ上げたいということです。今、家庭や食堂から油を流すとパイプ内で固まってしまって詰まるから流していけないということが言われていますが、この菌には消臭能力と浄化能力と剥離能力があります。パイプの内面についている汚れなどを剥離していきます。一例をあげますと、風呂の中にミズゴケが流れてくるサウナ風呂からこれを何とかできないかという依頼がきました。

             そこで、説明しまして液体とフロートという円盤状のものを入れました。すると2週間後にパイプの内側についた汚れがはがれて風呂の中にぶわーっと流れ出てきました。

             2時間もしたら汚れも全部流れてしまってとてもきれいな水になりました。私の家のお風呂のボイラーがあったのですが、そこにヘドロのような汚れがついていました。菌を使ってみましたので、15日ほど経ったときに菌が剥離し、汚れがたくさん出てきました。

            顕微鏡で見なければ見えないほど小さいものが中に入っていって汚れをはがすのです。汚れたパイプを掃除しようにも、パイプは曲がっていて掃除しずらいのですが、この菌を使えばだいたい20日たてばほとんどキレイになります。そういうものにも菌を使っています。これからいろいろなものを、といってもあまりたくさんはできませんが、開発をしましてお役に立てていこうと考えています。

                                                     終わり

                                                     (文責:田村志穂)


          • 文責:田村志穂、写真撮影:橋本 曜、HTML制作:田村志穂