平成17年6月24日 No.268神田雑学大学講演録

老化を遅らせるガンビヤ

講師 杉山 茂
はじめに
 健康で長生きすることは万人の望みです。しかし、幼くても虚弱で生命を縮める人もおり、不幸にして若くして癌になる人もいます。
 私は,東はマーシャル半島から西はパキスタンに至る広大な地域で紀元前から用いられてきた老化や生活習慣病・悪疾を予防する健康法を知りました。その健康法の中心になる食品がガンビヤです。
 私はこのガンビヤを知り、生活習慣病や悪疾から身を守る術を体得しました。皆様の老化や癌化を防ぎ、健やかな人生を全うすることを願って、このガンビヤをお勧めします。

1. 老化と活性酸素
 私たちの体の中には活性酸素(フリーラジカル)という物質があります。活性酸素は,体内に侵入してきたウイルスや細菌等を殺菌するする時に使われる化学反応性の高い酸素分子で、血液中の白血球が産生しています。産生された活性酸素は,体内の免疫防御反応に極めて有用なものなのです。したがって活性酸素は,私たちが健康を維持するためには必須の物質なのです。
(表1)


 普段,私たちは一日の生活の中で約700gの酸素を消費しています。その消費活動により体に必要なエネルギーを生み出しているのですが、もし70歳まで生きたとして、約1,800トンの酸素を消費している計算になります。大部分の酸素は無害な水に変りますが、その5~10%が活性酸素に転換されます。つまり生涯に9~18トンの活性酸素が体内で生産されるのです。この生命活動から生み出される避けがたい活性酸素に加えて,現代の産業社会では周囲の環境や活動の中で膨大な量の活性酸素があちこちに吐き出され(表1)必然的に人間は、それを体内に吸収します。

・ 化学汚染物質,化学薬品を摂取または接触したと、きPCB,ダイオキシン、DDT、ディルドリン、BHC,トリクロロベンゼンなど
・ 大気汚染 煙草の煙,自動車の排気ガス(特にDEPディ-ゼル車の排気に含まれる炭素の微粒子が問題)や工場の排煙。
・ 重金属 カドミゥム,水銀、鉛、銅、鉄、亜鉛、クロム、マンガン、コバルトなど。
・ 水道中の塩素
・ 薬品・解熱鎮痛抗炎症剤 (アセトアミノフェン、アスピリン、アミノピリン、インドメタシンなど非ステロイド系抗炎症薬)、抗癌剤など。
・ 激しい運動で大量に酸素を消費。
・ アルコール類を大量に飲んだとき。
・ 精神的ストレス
・ 体内に病原体が侵入し、それを殺菌するとき。
・ 血液の流れが一時的に途絶え(虚血)、再びもとどおりに流れる(再還流)とき。
・ 太陽の紫外線をあびたとき。
・ レントゲンなどの放射線をあびたとき。

問題は体内で増えすぎてしまった活性酸素です。余剰な活性酸素が生じると、私たちの
生体の構造や機能を担っている脂質や蛋白質、酵素、さらに遺伝子情報を担う遺伝子DNAを酸化させて損傷を与えます。それにより生体の構造や機能自身を乱し、私たちの身体の老化が早まり、癌や生活習慣病になりやすくなります。

 普通、マイナスイオンの多い空気を吸っていれば、中にある活性水素を摂取し、こうしたフリーラジカルに電子を与えて中和するので、呼吸によって作られる活性酸素は殆ど帳消しになると言われています。しかし、今ではこの様な環境は奥深い森の中にでも行かないと得られません。また人工的に生成した活性水素を摂っていると、身体に必要な活性酸素まで消去してしまいます。

 年齢において体内中に存在するSOD(スーパーオキサイドジスムターゼ・活性酸素還元酵素やカタラーゼ)等の抗酸化酵素が十分作られる30代までは少しぐらい悪い空気を吸っても発癌はしませんが、酸化した脂肪(過酸化脂質)を摂ると活性酸素は増え、放射線を浴びてもフリーラジカルを生産します。
また,煙草を吸うと普通その煙には10億個の活性酸素が含まれていて、それは細胞の全ての分子,蛋白質、DNAを攻撃します。これは計算によると一個の細胞に一日1000回の活性酸素の攻撃を受けていることになるとされています。

自然界にいる動物は、それぞれの種によって活性酸素の処理能力が決っていると言われ、その処理能力に応じて寿命が左右されると考えられています。処理する能力が高い動物は長寿で,低い動物は短命となります。おおよそ15億回心臓が拍動すると、その動物の寿命が終わるとも言われます。1回心臓が収縮するたびに酸素化された血液を体に送り出し,エネルギーを造り出すと同時に、生成された活性酸素を処理する限界量がその心拍数といえます。

脈拍の早いネズミは短命で、脈拍の遅い象は長生きです。人間の場合、15億回の時期は41~42才といわれますが,人間は、自ら食物や生活環境を変えることによって身体の活性酸素の処理能力を高め、寿命を伸ばすことが出来るようになりました。

現代社会の生活環境は,活性酸素を増やす機会や物質が溢れています。そのため人間は長寿で健康的な生活を送るためには,自ら食べ物(健康食品)や生活環境を積極的に転換し、身体の老化をなるべく遅くする努力をすべきです。

2.ガンビヤの歴史
 ガンビヤとは、本来インドなど南方系の派生するアカネ科のウンカリア ガンビールという植物を主成分として作られています。ウンカリア ガンビールは、現在ではマレー半島、ボルネオ、インドネシアで栽培され、その若枝・葉を中心に水を加えて数時間煮詰めた後冷却し、サイコロ形に固めたものがガンビヤとなります。

 古来、マレー、インド東部、インドネシア、中国南部、台湾等ではびんろうじゅの実
(ビンロージ)にガンビヤを水で練って塗り、キンマの葉で包んで咀嚼するベテルチューイングと呼ばれる風習がありました。昔は食事の前の喫茶、後の喫子(ベテル)と言われ、一般に愛用されたものです。ガンビヤを常に咀嚼すると、食事を取らなくても空腹を感ぜず,不老長寿の効果があるとされてきました。

 ガンビヤを咀嚼して健康を保つ習慣は、民族学者の研究によると紀元前に遡るといわれています。その地域は,ガンビアの原産地であるインド、東南アジア、オセアニアを中心として東はマーシャル半島、西はパキスタンにまで及びます。

 東洋では,中国南部、台湾にもその習慣がありました。その消費量は地域全体にすると数萬トンに達するという試算もあります。

 この健康的な習慣にふれる文献は,薬物的には中国の本草書(薬理書)に紀元前2~3世紀に記載されていますが,私が発見した大衆的な著述の第一は,マルコポーロの「東方見聞録」に見受けられます。マルコポーロは1150年頃,インドのカイルの町(現在のマドラス州ティンネブイリ海岸にあった町)を訪れたとき,住民たちの習慣に関心をしめし「~住民から貴族・国王に到るまでガンビヤを口にしている。この習慣は健康に良いとのことだ。」と記述しています。

 また,日本では1211年,宗から帰った臨済僧・栄西は「喫茶養生記」を著して.中国・広東省の地について触れ、「~この州は瘴熱の地なり、唐都の人,任に補して此処に至れば,即ち十が九は帰らず。食物美味にして消し難し。故にガンビヤを食ひ、茶を喫す。若し喫せざれば即ち身を侵すなり。」と述べています。

 1520年頃,戦国大名の後北条氏が小田原に城下町を開いた折、京都外郎の家来外郎藤右衛門が小田原を訪れ,ガンビヤと効品を主成分とする透頂香なる売薬を,時の当主・北条氏綱に献上して、「~この薬は口臭をとり、眠気を払い、命を延ばす神薬であり不老長寿の霊薬でございます」と口上をのべました「小田原北条記」。

 この透頂香は外郎家が博多・京都・小田原と14世紀から続いている健康薬品(売薬)で小田原の「ういろう」につながります。
 万金丹は,伊勢神宮の朝熊(あさま)の万金丹,小西の万金丹屋を中心として三十数軒の販売所が出来るほどの人気をもつ大衆健康薬となっていました。 江戸時代いこう伊勢参りが盛んになり、参詣客が必ず求めて帰ったのが万金丹です。この透頂香や万金丹の主成分がガンビヤです
 私の試算では万金丹に使われるガンビヤの量が年間4~5トン、透頂香で約1トンで当時最大の健康薬品(売薬)になりました。紀元前2千年もの歴史から、その副作用等の心配がないことは明白です。

2. ガンビヤの効用

これらのことを踏まえたガンビヤの効用は様々な部分で認められています。次にあげると(1)活性酵素の抑制により、生活の質(QOL)を高める。


 前述したように活性酸素は諸病の元凶です。活性酸素は癌,脳卒中、心筋梗塞等の発現因子で促進因子ですがガンビヤを常時飲んでいると、その強力な活性酸素消去能力で活性酸素を抑え、癌や動脈硬化など生活習慣病の患者においては、その生活の質(QOL)を高め、さらに当然として癌、脳卒中、心筋梗塞の発生率を抑えます。お茶などに含まれるカテキンの活性酸素消去能力が注目されていますが,ガンビヤのカテキン量(カテキンだけで33%)、お茶のカテキンからできる化合物のそれの3~4倍も含有しているのです。

(2)過酸化脂質の無毒化
 現代人は脂を多く摂ります。特に中華料理に代表されるように、脂を使用する料理に多く含まれ,大半はリノール酸で代表される不飽和脂肪酸を多く含んでおり、ゴマ油等の植物油に多い脂肪酸です。不飽和脂肪酸は非常に不安定で,活性酸素と結合してすぐ過酸化脂質になります。細胞膜の構成材料やホルモンの原料になる私たちの体内では作れない必須の栄養素ですが、過酸化脂質が働くと細胞膜は損傷を受け、血管を弱め動脈硬化、ひいては身体の老化を進め、さまざまな病気を引き寄せる原因となります。ガンビヤは活性水素を出して不飽和脂肪酸より先に活性酸素と結合し、過酸化脂質になるのを防ぎます。

(3)心筋梗塞の発生抑制
 ガンビヤは活性酸素消去能により冠動脈硬化の活性を抑制します。イギリスの医学専門誌「ランセット」の発表では、一日のケルセチンの摂取量19mg以下の人、19.1~
29.9mgの人、30mg以上の人の比較データでは、冠動脈硬化の発生の危険性に大きな差が認められます。
 この結果を見ると、ケルセチンの摂取量の多い人の方が、冠動脈の硬化からくる心筋梗塞等の心臓病の危険性がずっと低いことが明白にわかります。ガンビヤはこのケルセチンを100g中97mgも含んでおり、摂取量を大いに高めます。ちなみに、果物で最も含有量の高いリンゴ100mg中にはケルセチン84.5mgを含みます。

(4)細菌性食中毒の予防
 ガンビヤは、自分が持っている水素イオンを過酸化脂質に向けて放出します。すると、この水素イオンは過酸化脂質の活性酸素と結合し、発癌成分を抑えるだけでなく、細菌性食中毒の毒性まで失わせてしまいます。この他ガンビヤは,胃粘膜保護作用、O―157のような食中毒菌に殺菌作用があり,インフルエンザウイルスの毒性を消去する性質もあります。
動脈硬化阻止作用もその一つですが,有毒なアルカロイドや重金属を体外に排泄する性質も持っています。

(5)身体機能の恒常性(ホメオスタシス)を健康な方に保つように働いていると考えられ、中年になると(老化は40歳に始まるとされる)心肺機能が衰え、当然ですが精力も落ちます。このような場合ガンビヤは、心機能を強化してポテンツを回復させます。
また肺機能も健全に保ち、肺活量を高め、気管支・咽喉を滑らかにして、昔から歌や演技で声を商売にする芸能人が愛用することも納得がいきます。

(6)優れた健胃整腸機能
 整腸機能にも優れ、よくある食中毒に対しては静菌効果があり、異物は排出するように機能します。便秘の場合には、やや大目の水分と共に飲用すると自然な排泄作用があります。しかし「日本薬局方」では阿仙薬についての効果を下痢止めとしていますので、胃・腸全体の調子を整える効能があるといえます。

(7)その他
 衰えた肝機能を鼓舞し、アルコールの解毒作用に強く、二日酔いが軽くて済みます。神経系にも静穏効果があり、乗り物に弱い方にも好適です。今、高脂血症や糖尿病、高血圧などの生活習慣病が併発することをメタボリックシンドローム(MS)といい、脳梗塞や心筋梗塞といった動脈硬化症疾患の発生リスクが著しく高まった状態を指します。
 ガンビヤはこのようなMS状態に極めて有効で、その悪化を防ぎます。
 以上が1600年余、伊勢朝熊(あさま)の万金丹と京都、小田原と続いた外郎・透頂香が2000から3000トンのウンカリアガンビールを庶民に売り続けた薬効を、新しい科学の目で総括した効能のあらましです。
 今の厚生労働省は、伝統売薬の誇大効果を余に早く否定するあまり、今度はその薬効を冷静かつ科学的に解釈しようとしない弊害が現われています。



2000トンものガンビールを服用した効果に対する庶民の感謝のお礼文に対する官僚の答えが、例えば小西万金丹の最近許された効能に如実に表現されています。
「万金丹の効能・・・食欲不振、胃部腹部膨満感、消化不良、食べ過ぎ、飲みすぎ、胸やけ、
吐き気、嘔吐」これでは万金丹は単なる消化酵素入りの胃腸薬です。
 他の多くの効能に対する薬用量の90%を占めるガンビールの活性酸素消去能に基づく科学的検討が必要であると感じるのは私だけではないでしょう。
 1600年続いた売薬の効果は、最近のTVコマーシャルで浮沈を繰り返す大衆薬と同一視はできません。なお追記すれば、万金丹や透頂香は古典的な丸剤のため、薬剤の保存場所によってカビによる丸剤の崩壊、薬効成分の分解などが心配されます。

3. ガンビヤと阿仙薬
 健康食品としてのガンビヤは、その主成分が学名をアカネ科のウンカリア ガンビールとされ、100g中タンニン酸として62g、d-カテキン、dl-カテキン、d-エピカテキン,ケルセチン等カテキン類を34g含みます。中国名は,児茶鉤藤ないし方児茶です。そのほか本薬用効果を高めるためのアルカロイドを数種類含みます。
  阿仙薬は、日本だけ通用する和漢薬名で,実に曖昧な名称です。今後使用しない方が良いと思います。
 蜀阿仙薬,皿多阿仙薬、ベンガル阿仙薬、ペグ阿仙薬、コロンボ阿仙薬、シャム阿仙薬等と呼び,品質の同定が難しいのです。さらにこれらの阿仙薬を総括する,さるぼう(猿胞)なる名があります。これは厚く塗り付けることを意味する英語SALVEの古名SALVOから由来します。
 しかも15世紀に中国で造られた「百薬煎」という,五倍子を主成分とする阿仙薬の模造品があり、日本でも模倣されました。鈸割阿仙薬、びんろう膏ともいいます。これは江戸期から明治期まで透頂香妬等に用いられ、これも阿仙薬と呼ばれました。ちなみに、蜀阿仙薬も四川省では児茶は生産されておらず、五倍子の生産地であることから百薬煎であるとおもわれます。  終
                             
講師プロフィル
杉山茂さんは、千葉大学薬学部ご出身の薬学博士で、上場会社 「KAINOS LARARIES,INC」を立ち上げられた創業者会長です。今回講演なさいました「ガンビア」は現在南方の国で栽培を進められていらっしゃいまして、近々発売される予定との事でした。ガンビアは江戸時代には大量に輸入され漢方薬に使用されていましたが、新しく成分の解析と効能を再調査されたことを、会長自ら 神田雑学大学雑学でお話してくださいました。ガンビアは寿命まで活発に生活する助けになれば良いのだがとのことでした。小生にとって印象に残った言葉は、「癌になってしまったらそこが寿命」との認識を持つべきとおっしゃったことでした。(山本記)

文責 得猪外明  会場」写真 橋本曜  HTML編集 山本啓一