平成19年3月23日 神田雑学大学講座第352回



笑って長生き・免疫力を高めるには



講師:川上千里





講師の川上千里さん1.自然治癒力
最近定年退職した世代が粗大ゴミなどといわれますが、私は資源ごみとして、なんとか再生できないかと考えてボランテアに生きがいを求めています。

経歴は薬剤師で、定年までは製薬会社に勤めていましたが、薬を使わないような仕事をやってきましたので、いろいろ勉強しまして薬に頼らない健康法として一つの考えをまとめました。薬を使わないということでなく、薬はいざという時に頼りにすることにしましょう。

「笑いが免疫力を高める」ということで私は「日本笑い学会」というのに加入しています。13年前にできたのですが笑いを広く研究する真面目な会です。

今日は自己治癒力を高めるために、笑いや心が大切だと言うことを、ガンを例にとりながら話をさせてもらいます。西洋の諺に「病気は神様が治し治療代は医者がいただく」というのがあります。

病院の薬を飲んでも手術を受けても、治るのは自身の生命力で回復させているので、結局自分が直しているのです。持って生まれた特効薬が、身体のなかにある自然治癒力なのです。厳密にはやや違うのですが、同じ意味で免疫という言葉を使うこともあります。

この免疫力が加齢、美食、食品添加物、運動不足、ストレスなどでだんだん減少していきます。生活が便利になって、人間がヤワになってきたのです。20代の免疫力を100とすると40代が50%、50代は25%、60代は17%に低下します。ノロウイルスのように若い人は平気な弱い菌にでも、老人になると冒されて死亡するような例が多くあるのです。こういうことを承知し、自己治癒力を高める生活していくことが肝要だと思います。

2.ガンの自然退縮
今、死亡原因の最大のものはガンです。ガンは治らないと信じている人が多いと思いますが、恐怖感にとらわれると免疫が低下しますので、ガンをよく知って、怖がらないようにしましょう。聞き慣れない言葉ですが、ガンの自然退縮という言葉があります。もう治療方法がないと医者に見放された患者が家に帰っているうちに、自然にガンがなくなったという例がいくつもあるのです。医者も中々追求しづらく、あまり学会発表はされていません。

九州大学の中川、池見という二人の先生が30年前にドイツの学会誌に発表し、セリエ賞という名誉ある賞まで貰った、有名な自然退縮の研究報告があります。最終的には74例の報告になり、多くの反響を呼びました。

その後アメリカでも1300例以上の実例が報告されています。世界的なシンポジウムも開かれるようになっています。自然退縮は、心の持ち方と大きく関係するといわれております。川越の帯津三敬病院の院長、帯津良一先生は薬や手術だけに頼らない総合医療で有名な方です。末期がんでどうにも手の施しようがなくなった患者が、家で最後を迎えたいといって退院し、割り切った心境で家事などしているうちに、どんどん良くなって完治してしまったと言う例もある、最後まで望みを捨てるなと言われています。西洋医学では説明のつかない多くの退縮例があるそうです。

笑い、喜び、感動、怒り、悲しみ、不安 ""3.心と免疫
心と免疫とは、密接な関係にあるということはよくいわれています。心が乱れると免疫力が低下し、心が落ち着いていると免疫力が向上するといわれます。これは、精神神経腫瘍学とか精神神経免疫学という分野で研究され、はっきりしているのですが、中々医療現場では応用されていないようです。世界チャンピオンになったボクサー畑山さんは、同じ怪我をしても勝った場合はすぐ治るが負けたときはなかなか治らないといっておられました。

造花を本物のバラの花と勘違いしてバラアレルギーが出たり、勘違いして特効薬と考えて飲んだ薬によってガンが治った例もあります。薬にはプラシーボ効果(偽薬効果)というのがあり、患者に特効薬と思い込ませておいて実は生理的食塩水を注射したり小麦粉をあたえても思い込みで薬と同じ効果が得られるというのはよくあることです。このような心理効果が新興宗教や健康食品などに悪用ことがあるのです。心と体が密接に関連し合っているので、これを旨く利用して、自然治癒力を引っ張り出し、病気を防ぐことも大切です。

ガンを告知するかどうかもこの点で迷うところです。しかしガンと言われて一時期は気分が滅入っても、そこから立ち直る気力で病気を克服するのがいいようです。ガンであることを伏せていても本人は感づいて疑心暗鬼になり、家族や医師との間に不信感が生まれるなど長い闘病生活ではマイナスになることが多いのです。

人間の体は、神経、ホルモン、免疫がバランスを取り合って命を支えているといわれており、さらにそれを支配するのが心です。自然退縮を始め現代医学では未だ解明されていない心と体の問題は沢山あるようです。健康を保つには心の健康と共に心の健康が大切なのです。

4.笑いと免疫
笑いの研究に先鞭を付けたのはアメリカのノーマン・カズンズというジャーナリストで、笑い療法の父といわれています。膠原病の一種になって助からないといわれたにも拘わらず、それを笑いとビタミンCだけで治したということで有名になりました。これを医学の専門誌に報告したところ世界中から反響があり、後に本人はジャーナリストをやめてカリフォルニア大学の大脳研究所の教授にまでなりました。この人は広島の原爆乙女のケロイドの話を聞き、アメリカに招いて治療の援助をしたことでも知られています。

日本では岡山県の伊丹仁朗先生がガン患者に落語を聞かせて、笑い療法の効果を最初に確認されました。免疫力の低いガン患者を吉本の新喜劇で3時間笑わせた後測定すると、ナチュラルキラー細胞の活性が正常値まで回復したのです。

伊丹先生は西洋医学と共に精神的なケアーの大切さを重視して「生きがい療法実践会」を組織し、ガン患者の手助けをしておられます。モンブラン登山、富士登山、ボランティア活動など目標を持って活動することや、イメージ療法などを西洋医学の治療と組合せた療法です。東京や京都でも指導研究会を実施されています。中央群馬脳神経外科病院の中島英雄先生は落語の真打ちで、月に一回病院で寄席をやって笑い療法を実践しておられます。笑いと脳内の血流や呆け防止の効果などの研究で有名な方です。

ストレスをためない秘訣 日本医大の吉野慎一先生はリューマチの治療で有名です。血液中の痛み物質・インターロイキン6が落語を聞く前と後で明瞭に変化することを実証されました。薬でも叶わないくらいの効果が現れております。木俣肇先生は笑いでアレルギー反応が減少し、皮膚病に有効だという研究をされています。チャップリンの映画を見せるとアレルギー反応が低下します。

筑波大学の村上和雄先生は、遺伝子研究の世界的な権威者ですが、笑いと遺伝子の研究をされています。先生は笑いが糖尿病患者の血糖値の上昇を抑える働きがあることを実証されました。人間の遺伝子というのは9割が眠っているそうですが何かのきっかけで眠っている遺伝子が動き出して病気を防ぐ働きをするそうです。笑いはどんな遺伝子に働きかけ、糖尿病に効果があるかを研究するため、八十人の糖尿病患者に笑いの漫才をきかせ、前と後で遺伝子がどう変化したかという研究が行なわれました。六十四個の遺伝子に変化が見られ、現在解析中です。

最近治療にクラウン(道化師)をつかって患者を笑わせ、治療に効果をあげるということが行なわれ始めています。とくに長期入院している子供は可愛そうなので、今後この方法も広がることでしょう。笑いだけでなく人情落語で泣いたり感動した際にも免疫効果があることが実証されています。カラオケでも免疫力が向上するのですが、嫌いな人では逆効果だそうです。
笑いは病気の治療に有効なことが以上のように証明されていますが、健康保険に採用されていません。お医者さんは中々処方箋を書いてくれませんので、自分で笑う工夫をしましょう。

5.自然治癒力を高めるには
自然治癒力を高めるには体の健康と共に心の健康が大切です。
体の健康ではポイントはまず食事。粗食で和食が大切。次いで適度な運動と休養です。 最近手術をしてもすぐ歩行訓練をしますが、運動することによって免疫力の向上をはかっているのです。食事は、栄養として大切なだけでなく、腸をきれいにする食事が大切なのです。

講師の川上千里さん 世界一沢山の患者の腸の観察をされた新谷弘美先生を紹介しますが、先生は三十万人の腸を観察された結果、ガン患者の腸は非常に汚いという事を言っておられます。肉食は腸を非常にきたなくするそうです。免疫生産のポイントは腸なので、腸をきれいで健康にしておく必要があります。玄米菜食がなぜいいかというと腸の中に有益菌が増え、便秘をなくして腸をきれいにするのです。

和食や粗食がガン患者の食事療法にいい結果を示すのはこのためです。それとよく噛むということが大切です。唾液のなかにたくさんの抗酸化成分、抗ガン成分がふくまれているからです。

アメリカでは、日本食を健康食のモデルとして30年前から食事改善運動に取り組み、ガンが減ってきていますが、日本では相変わらずガンによる死亡が増え続けています。日本は給食にパン食やスパゲッティ、牛乳や肉食を取り入れ食の欧米化を進め、ガンを始めとする生活習慣病の増大を招きました。その裏にはしたたかなアメリカの穀物戦略による、日本市場の開拓があり、日本はまんまとそれにはまったのです。今日は笑いと心の問題を話すのが目的なので、食の問題は省略します。

心の健康で大切なことはストレスを減らすこと、生きがいをもち、小さなことでも良いから人のためになることをすることが大切です。人が喜んで、感謝してくれることが免疫力を高めます。そして笑いと楽しい生活です。

女性は男性に比べストレスを解消するのが上手で、免疫力を高める生活をしています。そのためには出かける、人と話す、人のためになることをする姿勢が大切です。

ガンになる人、病気になりやすい人はだいたいストレス過多、真面目で頑張る人が多いといわれています。男であれば働きすぎ、人間関係の疲れ、女性であれば家事や介護の疲れなどがあり、免疫が限界にきていると発病するのです。

ストレス解消を女性に学べ 病気見舞いは漫画か落語テープ


笑い学会の副会長「昇幹夫先生」はストレス解消に良い方法を提案し、指導されています。是非覚えてお帰り下さい。それは「さからわず、いつもニコニコ、したがわず。」と言うものです。どうせ逆らっても勝てないお母ちゃん相手に逆らっては駄目です。これを活用するとストレスが貯まりません。是非活用して下さい。そして、病気見舞いには落語のテープやサザエさんのマンガをあげ、病人の免疫力を高めましょう。

6.終わりに
人間は毎日1000〜7000個ぐらいガン細胞ができているといわれます。これを免疫力が押さえてくれていますが、免疫力が低下するとガン細胞が増殖をはじめるのです。年をとると免疫力が低下していろいろの病気が出やすくなります。
年をとったら外にでかけて人と積極的に交わる、趣味を持つなどしてストレスを出来るだけ減らし、笑いの多い楽しい生活をしましょう。元気で長生きするためには体の健康ばかりでなく、心の健康に気をつける事が大切です。
最後に「私が何気なく過ごしている今日という日は、昨日亡くなった人が必死で生きたいと願っていた一日である。」という結びの言葉で終わらせて頂きます。どうも有り難うございました。




文責:得猪 外明
会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作:和田 節子