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神田雑学大学講演抄録 第380回 平成19年10月19日

「立体写真」写して楽しむ

講師 加藤 宏 


目 次

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1.はじめに

2.立体写真とは

3.撮影法

4.技術の進歩について

5.見方(鑑賞法)

6.質疑応答


1.はじめに

本日の講師加藤宏さんの写真
ご紹介いただきました加藤です。1936年生まれ、住まいは横浜の旭区、仙台出身です。

最初河北新報という新聞社に入りました。そこに12年間おりまして、そのあと読売新聞が増ページして人が足りないので来てくれないかと言うので、東京まで出てまいりました。その頃から既にステレオ写真を趣味でやっていましたね。
読売新聞を定年でやめ、読売文化センターの仕事をお手伝いして、もう今は肩書きがありません。しいてあげるならば写真愛好家です。さらに無理して言えば日本手作りカメラの会会員ということで、写真も好きですが、カメラがもっと好きで、学生のころから色々と触ってきました。今回は私が趣味で三十数年やっています立体写真の話をさせていただきます。

立体写真とかステレオ写真とか言いますが、趣味としては面白いものなので、はまってしまうという人も多く、全世界に沢山のファンがおります。年に一回アメリカで大会を開いたり、コンテストをやったり、根強い人気があります。インターネットで検索していただくと何万件もヒットします。写真を撮ってインターネットで皆さんに見てもらうとか、最近は色々な楽しみ方があります。私はプロのカメラマンとか研究者ではありません。まったく素人の写真愛好家です。立体写真の楽しみ方をご紹介できればと思って出てまいりました。

2.立体写真とは

 年配の方はどこかでご覧になっているでしょう。赤青の2色のメガネで見たり、あるいは偏向グラスというメガネをかけて映画などの立体画像を見るもの、雑誌などでもアナグリフと言うのですが、青赤のメガネで見ると立体に見えるのがありましたね。

今日は若い人もいらっしゃいますのでまずどんなものかを見てもらいましょう。これはポジフィルム2枚の画像をビューアーを使って透過で立体視するものです。

(回覧)

普通の写真と違って立体的に浮かび上がって見えるでしょう。昔はステレオというと音響装置で使われましたが、これは画像が対象で、ステレオ写真、立体写真、3D画像なんても言われます。これの歴史は非常に古いのです。写真が発明された1839年の11年後、1850年くらいに発表されています。

3.撮影法

  10年前のデジカメを手にとる講師
 撮影方法は大まかに言って我々アマチュアが撮る方法には4種類あります。立体写真の撮影に大事なことはまず2つあります。距離と水平です。自分の目玉と目玉の間はどのくらいあるか知っていますか?これは日本人も外国人も共通でだいたい65mmと言われています。もうひとつはカメラを水平に保って撮ること、これが大事なんです。どんなカメラででもステレオ写真は撮れます。

これは10年近く前の富士写真フイルムのデジカメPR21です。当時15万円位しました。それでも画素数は200万画素。今は携帯電話のカメラでも200万画素以上の性能があります。技術の進歩は早いですね。こうやって三脚をたてて、ここにきちんと水平にカメラを置くための横長の台をつけます。水準器を使って微調整すれば完ぺきです。

 最初の方法はカメラをこの台に載せて一枚写真を撮り、それから横に65mm水平移動してもう一枚撮るというものでこれでステレオ写真が出来上がります。右目用の画像と左目用の画像を撮るわけです。撮られるときは動かないでくださいね。これが一台で撮る「ずらし撮影法」です。このカメラはプリンターがついていてしばらくすると画像が出てきます。ポラロイドと同じですね。こうやって65mm離れた位置からの2枚のプリントを得て、これを65mm前後離して並べて貼り、立体視するのです。立体視用のメガネを使いますと誰でも見えますが、メガネなしでも訓練すれば裸眼でも見えます。裸眼法、英語ですとフリービューイングといいます。

 2番目のやりかたは同じカメラで同時撮影するやり方です。なかなか同じカメラを同時購入するのは大変ですよね。安く売っている「写ルンです」に代表されるレンズつきフィルムカメラ2台で充分出来ます。水平に横に並べて撮ります。遠くを撮るときは65mmくらいの間隔が良いですが近くのものを撮るときは、カメラはほんの少しずらして撮ります。65mmもずらすと、より目をしないと見えない立体写真になりますからね。

ステレオ写真用の反射アダプターをつけたカメラ
 3番目の方法一眼レフカメラにステレオ写真用の反射アダプターをつける方法です。ペンタックスが出しているアダプターを使うものです。35mmフィルムカメラの場合、焦点距離50mm、フィルター径49mmか52mmのレンズで、距離合わせの際レンズの先端が回転しないカメラに設置出来ます。これはデジタル一眼カメラに装着したもので、この場合は焦点距離が35mmのレンズが適しています。  4番目の方法がステレオ専用カメラを購入する方法です。1950年ころアメリカで第一次ステレオ写真のブームがありました。ある研究者によるとステレオ写真のブームは30年サイクルで来ると言われますが、そうすると1980年、次が2010年がまたブームになるのです。
ステレオ写真専用カメラ
その予兆としてこのレンズが二つついている変なカメラ、ホースマン3Dというカメラがあります。これは日本橋の駒村商会が作ったものです。もともとは富士写真フイルムが売り出したパノラマカメラだったのですが、駒村商会がこれはステレオ写真のベースに良いということで、改造したものです。これを使うとフィルムのひとつのこまの中に右半分と左半分で同時に移ります。これ高いです。数十万円します。これは二つレンズ間隔が65mmではなくて38mmしかありません。ですから比較的近いところを撮るのに適しています。全世界でここしか作っていません。そのうち製造中止になるかもしれませんから、是非と言う方はいまのうちに買っておいたほうが良いです。

 それと古いカメラではこれがあります。これはアメリカのコダック製です。ケースがぼろぼろになって補修していますが、なかなかこれも良く写ります。これはほぼ正方形、天地が24mm、左右が23mmというサイズで撮れます。これは35年ほど前に中古を新宿で3万8000円だったですね。古いのは安いのです。ボディはベークライト、距離合わせは目測で手で合わせるのですから。 距離もフィート表示です。距離合わせの際、レンズはふたつ一緒に動きます。古いコダックのステレオ写真専用カメラ

これはたぶん一番古い1950年代最初にアメリカで作られたステレオリアリストというカメラです。これが国際標準になってさっき言いました24mm×23mmのサイズはリアリストサイズと呼ばれています。先のホースマン3Dはヨーロピアンサイズと言われ、24mm×30mmで、やや横長です。

4.技術の進歩について

講演会場風景

 ステレオ写真の世界には参考書が少ないですね。昔はこの島和也さんという方の書いた「ステレオ写真入門」という本があり今は絶版ですが、これを見ると大体のことが全部書いてあります。

最近顕微鏡なども片目ではなくて両目で見ていますね。あれもほんの僅かずれた画像を左右の目で見るので立体的に見えるのです。電子顕微鏡でも原理は同じで、ほんのミクロンの距離をずらして立体的に見ているのだそうです。医学の世界はわりと立体的に見ることが使われており、CTスキャンとかMRIなんかも色々な方向から見てそれをコンピュータ処理して立体的に把握して使われているようです。そのほかは地図を作るのに使われています。飛行機を飛ばして何枚も撮影してそれをコンピュータ処理して等高線を作っています。そういうのに国土地理院が使っているはずです。あとは軍事衛星で地上の情報を取るときにはかなりの距離を離して写真をとりそれを装置にかけて分析して立体的な画像として分析しているようです。

最近はレーザーを使った立体画像の応用が色々なところで研究されています。ホログラムを利用するものもその一種です、インターネットで調べますと今このような研究が盛んに行われているのが分かります。
そのほかレンチュキュラーレンズを使ったステレオ画像と言うものがあります。写真は右中央左と最低3枚撮るのです。もっと細かく何枚もとって合成すればよりきめ細かい立体画像になります。これは写真の表面にかまぼこ型のレンズが張り付けてありますので裸眼で見えます。


5.見方(鑑賞法)

 読売新聞夕刊の毎週金曜日紙面に「不思議アート」という欄があって、ステレオ画像が毎週出ています。回覧しますので裸眼で立体視にチャレンジしてください。

凹んで見えると言う方がいます。この方は右の目で左の絵を見て左の目で右の絵をみているんです。右図の交差法をやっているのです。平行法の見方のコツはここに黒丸がふたつ印刷されていますね。これに目を近づけていくとこの丸が寄ってきます。重なって見えたときにひょいと上の画像を見ますと立体視が出来るのです。これをクイズにして毎週当選者を決めているのです。始めてから10年くらいでしょうか、人気のコーナーですね。「ああ見えた!」と言うとき結構感激するのです。これは1993年の絵です。これは平行法でみてください。右は右の目で見る。左は左の目でみるというのが平行法です。

ステレオ写真が好きな有名人と言うのは沢山います。一番古いのが最後の将軍徳川慶喜です。この人は写真も好きでステレオ写真も撮っていたと言われています。後は俳句の正岡子規が有名で、病気で寝ていても東京の友人が撮った写真をステレオで楽しんでいたそうです。あとは詩人の萩原朔太郎、彼もステレオ写真を自分でも撮っているようです。最近では赤瀬川源平という作家、画家でもありますが、本を出しています。どうやって見たらよいかという質問に「失恋したときボーっとあらぬ方向を見ているような感じで見るんだ」なんて書いていますね。この人は中古カメラが大好きみたいですね。

今みなさんデジタルカメラを使うようになりましたが、フィルムカメラも健在ですよね。フィルムにはリバーサル(ポジフィルム)とネガフィルムがありますね。それぞれ補色関係ですね。わたし是非皆さんに言いたいのはさきほど話した「ずらし撮影法」でステレオ写真を撮るとき、思い切ってポジフィルムを使ってみませんかということです。日本のフィルム需要はデジタルカメラのせいでがた落ちです。ところがポジフィルムはほとんど出荷が減っていないそうです。それでビューアーを使って透過画像を合成してみるのが、一番きれいなステレオ写真を誰でもが楽しめる鑑賞法ではないでしょうか。是非チャレンジしていただきたいと思います。


6.質疑応答

質問:被写体は限られますが素晴らしい立体的な写真が撮れる方法を知っています。しかも一台のカメラと三脚があればいいのです。それは影を撮るのです。影は刻々と移りますね。それを少し時間をおいて撮ると、植物なんかはすごく立体的に撮れます。

答え:面白いですね。私もこれから何年出来るか分かりませんが、これからは風景だけではなくて、接写したものの写真をじっくり撮ろうと思っています。たとえばある人がタンポポの綿毛をステレオでとった素晴らしい写真をみたことがあります。あとは山肌もいいですね。何十mか離れて同じ山肌の写真を撮るのです。飛行機に乗る人は雲海を上から連続写真で採るとすごい雲海の写真が撮れます。


おわり

文責: 臼井 良雄
会場写真撮影:橋本 曜 HTML制作:大野 令治

本文はここまでです


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