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神田雑学大学 平成20年5月9 講座N0406


ハガキに描く雑記・雑咏の日々、聴いた!感じた!描いた!送った!、講師 大須賀ケイ氏
   
大須賀ケイ講師はじめまして。大須賀と申します。
今日は毎日描いているハガキのことをお話させていただきます。何をかくそう、人の何倍もの好奇心のかたまりで、余程急ぎでない限り、いつもわき道にそれ、回り道を好み、ほとんどまともに目的地にいくことのない道草名人です。

子供の頃から人の話にチャチャを入れては怒られ、お節介をやいてはけむたがれ、けんかっ早く、泣き虫なのに笑い上戸。それもこれも、ふるさとの山口の専業農家に信仰にあついユーモリストの父と可愛い母、たくさんの兄妹にかこまれ、存分に野山をかけまわった自然児として育ったことが多分に影響していると思います。


その私がいわゆる絵手紙とも違う私なりのスタイルで日々雑記としてハガキを描き続けて二十年近くなります。そして、ここに存在するのが三人の師です。
もともと一人暮らしの時から両親宛に近況報告を電話のかわりに出していたのが、きっかけでした。筆マメの父が三日とあげず返事をくれるので余計に拍車がかかったのでしょう。父は最初の師です。

「好きなもの一つだよ」スーパーの菓子売り場で声を張り上げる母、ミニをはくなら堂々と

絵は幼い頃からエンピツと紙さえ持たせておけば、おとなしかったと言われた私ですが、
書くことは作文にはじまり、そこからラブレター魔へと前進(?)します。
ほれっぽい性格は、この人!と思うとじっとしておれず、歯の浮くような迷文、いや名文
(自分で酔うくらい)を受け取った相手はコロリとだまされ、一時的には振り向くも、ことごとく成就せず・・・私の青春は聞くも涙、語るも涙の失恋の繰り返し、まさに暗黒の時代と言っても過言ではありません。おかげでどうにかひねくれることはなく、打たれ強く妙に悟りをひらいてしまった気がします。

熱心に話を聞く受講生


地元の美術短大を出たものの東京へのあこがれは強く、そんな折、書店で後の二人目の師となる河原淳氏の葉書きを手にとったことで上京が実現。
氏の自宅を解放したスクールにイラストレーターをめざす仲間たちと通いますが、どんな絵を描いても「苦労知らずの幸せな絵」との評価に、なぜかカチンときて、一度距離を置くことに。やがて結婚し、しばらくしてハガキのやりとからまたお付き合いがはじまり、平成18年。氏が亡くなるまで続きました。

ネコの「見たわねあたしのぶざまなかっこうを」、雨の中、茶髪の若い母親の背におんぶされた赤ちゃん

三人目は永六輔さん、ラジオを通してハガキを書き続け、いまでこそ腱鞘炎でやめられましたが、沢山お返事をいただきながら、たった一行ながらハガキの楽しさを知りました。

友人、知人に出すと切手代が大変でしょう・・と気をつかって送って下さる人がいます。
うれしいのですが勝手に描いているので申し訳なく思います。父や河原氏もあらゆる人からハガキや切手、封筒などのプレゼントを気持ちの上ではとても喜んでいたようです。

イラストと雑咏のハガキの5枚

話がそれたようですけれどハガキに人ネタが多いのも私は人間が大好きだからです。
人間ほど面白い対象はいません。だから、いつもどこでも人に目がいっています。
電車内はもちろん、歩いていても人の表情、目線、しぐさ特に緊張がふっとゆるんだ時の一瞬をみつけた時のうれしさ。後姿にはその人の本質がでます。ジロジロやることはしませんがさりげなく観察します。けっこういじわるでえげつない人間でしょ。私自身、誰かに見られているかもしれないのですが。

露天風呂のご婦人たちをトドだのマグロなどどの口で言えましょう、山手線の車内

ハガキネタはだからつきることがないのです。
トンボの目のように360度見渡し、人の話に聞き耳をたて「これいただき!」と勝手にインプット。忘れないように即メモします。

人でなくても木々や鳥,花や虫、見るものはすべてがいとしい。空や風のにおいにもドキドキし、子供に話しかけ、犬や猫にあいさつは欠かしません。

バスの停留場、濡れないようサッと傘を差し出す夫婦愛


いい男を見つければ追いかけ(ナンパする訳じゃない)ステキナ女性に見とれ、困っている人は放っておけず、テレビからもラジオからも何かネタはないかとメモ用紙を離さない。あらゆることからハガキネタは湧いてきます。

大須賀ケイさん著書「驚き桃の木出あいの記」「あなた。ボーツとしていることがないでしょう」とよく言われます。一瞬の感動を逃がすまいとアンテナをはりめぐらしている分、やはり疲れるのでしょうか。寝つきはいいです。本を開いて3分持たずダウンですから。

息するように日々書くことは、つまるところ誰のためでもなく自己満足です。以前は怒りのネタが多く“あなたの末路は必ずや憤死”と言われるようでしたが、さすがに身のキケンを感じて、今はできるだけ楽しいこと、嬉しいことを描くようにしています。

たった一度の人生です。生きている一分一秒がたまらなくいとしい・・・そんな気持ちがハガキを続けさせてくれるのでしょうか。「いつでも、どこでも誰からでも、何かを学びとる謙虚な生き方を」と言い続けた人生の師でもある父の教えを日々の糧としながら。
有難うございました。(完)




講座企画・運営:吉田源司
文責:得猪外明
会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作:和田節子

本文はここまでです



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