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神田雑学大学講演抄録 第410回 平成20年6月6日

放送デジタル化で世の中は大きく変わる

講師 前原 米介 

(まえばらよねすけ)

目 次

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自己紹介

1.NHKと民間放送

2.視聴率と民間放送

3.放送のデジタル化

4.IT、光と影

5.未来の放送を考える

6.私の想い



自己紹介

講師前原米介さんの顔写真  私はずっと放送の仕事に関わってきました。最初は法曹関係に進みたいと思い法学部に行っておりました。ところが卒業前後から白黒テレビが普及し次第にテレビに関心を持つようになりました。特に印象に残っているのは、美智子皇后様のご成婚のパレードをテレビで見たことですね。そのリアリティに圧倒されて、法律もいいけれどむしろ法曹ではなくて放送の方に変わろうと思い立ったのです。決心したのはだいぶ遅かったのですが、幸いなことに、ちょうど放送事業が盛んになる機運が高まってきた時期だったこともあり兎に角新規開局するテレビ局に入社することが出来ました。

 以後今日までジグザグの人生でしたが、大過もなく、自分がやりたい放送の仕事をやって今日を迎えたということになります。リタイアした今でも私は放送が大好きです。孫がひとりようやく生まれたのですが、今から「出来ればNHKに入ってもらいたい」なんて馬鹿なことを言っているくらいです。やってみて本当に面白かった。人生としてやりたいことがやれたと思っています。

 そういう放送の世界から見た色々な問題点。特に、地上デジタル放送の完全切替が間もなくやって来ようとしております。又世界の放送がテレビで、インターネットで、パソコンで見られるようになる状況は、最早夢物語ではない時代へと向かっております。その基本がデジタル化から始まっていくという話を今日はさせていただきます。

 私は現在、東放学園という放送関連の専門学校の非常勤の講師をやっていますが、生徒にデジタルって何かということを説明するのは難問です。今日はそういう難問を含めて放送の周辺をお話しなければならないので、出来るだけ要領よく話を進めたいと思います。

1.NHKと民間放送

 NHKは国営放送でしょうか・・・・・?
正解は公共放送です。特殊法人日本放送協会ですね。国営というのは中国とかロシアとかの社会主義国で多くとられている形態です。公共放送は英国で言うとBBC、ドイツで言うとARD、北欧には公共放送が多いです。フィンランドのYLEなどですね。韓国のKBSなどもそうです。

 民間放送の収入は何に頼っているかご存知でしょうか。NHKは年間約6600億円くらい事業収入をあげていますが、97%は受信料です。国は交付金を出しています。それは事業収入の1%弱台で僅かです。何に使うかというと、NHK海外向けの放送費用に使われていますね。NHKは国際放送をやらなくてはいけませんから、又予算や事業の計画案、重要な人事等、全て国会の承認がいります。一方NHKは税金を免除され、間接的に国民負担の恩恵も配慮されています。そういう意味では財政的には堂々としていておかしくありませんね。更に大事なことはNHKの使命として、放送の物指し、指導的役割をしております。重要なことです。別の文化的視点では質の高い文化の最先端の担い手であり、世界的な巨大メディアの一つに間違いありません。

 受信料のない228社の民間放送の方は財源が大変です。広告収入が放送経営の主財源です。NHKと同じように総務省に申請をして、県単位の地区毎に免許を受けるのです。どんなに有能な経営者でも免許がとれないと放送事業はテレビもラジオも出来ません。どうして免許がないとやってはいけないのか?それは国民の共有財産である有限希少な電波を使っているからです。混線しないように、1CHから12CHまで順々に割り当ててもらって免許が出されています。また日本は300GHz以下、お隣の韓国は幾らといって国際的にも決まっているのです。

 いまお話したように民間放送は大部分を広告料から得て経営されております。若干自分のところで作ったコンテンツを売ったりイベントをしたりして収入を得ていますが、殆どが広告料に依存しているのです。民放の地上波放送は受信料を取ることが許されていません。その後スタートした衛星放送は受信料をとっても良いことになっています。通信衛星を使ったCSとかBS放送は受信料をとって良いのです。広告もいれてもよいのです。つまり両方やっても良いのです。

 まとめるとNHKのように若干の交付金はあるが受信料だけでやりなさいというものと、テレビ東京や東京放送などのように受信料は取ってはいけません、広告料でやりなさいというところと、BSやCS放送のように受信料も広告費もとってもいいですという三種類の形態があるのです。

 衛星放送は赤道上ボルネオ島の上空、3万6000kmの静止衛星軌道にバスくらいの大きさの人工衛星をあげていまして、燃料が持つ間はずっと働くのです。地球の自転と一緒に動くので、地球上からはいつも一定の方向に衛星が見えて、そこから電波は日本の地上との間を往復するのです。

2.視聴率と民間放送

講師の写真2  民間放送は広告料で経営しているわけですから物指しとしての視聴率が問題になります。例えば広告主がお金を出します。その代わり一番良い時間帯を下さい。視聴率が一番期待できる夜の7時から10時までのゴールデンタイムを希望するという交渉になります。番組提供以来延々と続いてもう20年になる、視聴率も10%を超え、しかも全国PTAで親が子供に推薦する番組の上位にある。そういう優秀な番組を一社で提供なさっている広告主さんがあります。こういう番組は視聴率が高く、人気が高いのでお客様も放送局も両方が満足なのです。

 地上波を使う民間放送は県単位のエリア別に免許を受けています。日本全国のエリアというような申請は許されないのです。視聴率調査は東京地区は人口が多いという点で特殊な地域ブロックです。大阪地区と名古屋地区も他の県と違って地域ブロックで視聴率が調査されます。

 エリアでいうと1600万くらいの世帯数のある関東エリアと600万しかない愛知ではずいぶん違うのですが、1600万の関東エリアで視聴率は10%取れれば合格です。ビデオリサーチという会社が調査しているのですが、それは、夜の7時から10時までのゴールデンタイムの視聴率総計が70%あるのです。それをNHK、と民放各社7社で割ると10%になる。10%とれば合格という根拠がここにあります。10%以上の視聴率をいつもキープする番組はなかなか困難ですが安定です。

 ところで、かっては今話しましたような一社枠という番組は沢山あったのです。しかし日本の経済成長とともに広告の注文が殺到してきて枠が不足してきました。それで一社で持ちきれないところがあって離すと、どっと入ってくるのです。こんどは一社ではなくて何社か一緒に入れるのです。そういうことでだんだん一社枠という番組は無くなってきたのです。そんな苦労をしながら広告料で民間は経営をやっているのです。視聴率が低いとお客様は離れていきます。ですから視聴率が大事になるのが民間放送の広告料で経営される仕組みと考えて頂いて良いと思います。

3.放送のデジタル化

参考資料  さて今日の話の中心はデジタル放送です。今まではアナログ放送が主体でしたが、これがデジタルに切換わろうとしています。昨年12月1日をもって、NHKテレビ及び民間テレビ放送は自局のデジタル化は完了しました。あとは中継所を作らなくてはいけないのです。これが果たして2011年7月までに出来るかどうかが大きな問題です。総務省のロードマップは完成すると言っています。放送局側も総力で解決されることは間違いないと思います。

 さて放送のデジタル化ですが、デジタルの秘密は数値化にあります。アナログというのは川の流れのような連続的に続いているものです。物の量とかデータを連続する物理量で表すものがアナログで、数値で表すのがデジタルです。左の表を見ていただくと理解いただけると思います。

 アナログから説明しますと、例えばラジオではまず音をとります。それを電気信号に変えます。そして電波に乗せて送ります。受け手は電気信号になったものを受け取ります。これを聞けといっても聞けないです。もう一回アンプ・スピーカーに入れてこれを連続音に変える。これがアナログ放送です。

 デジタルでも電気信号に変えるまでは同じですが、その後デジタル変換するのです。電気がつながっていると1、電気がつながっていないと数字は0なのです。電気信号をこのようにイチかゼロの数字にするとあっという間にデータが送れるのです。

参考資料

 要するにあれば1、なければ0で1,0,1,1,0,という風に数字を飛ばしちゃうんです。受け手はそのデジタル信号を受けてもとの電気信号にまた戻します。

 このデジタルというのは優れものといいますか、デジタルになると何でもくっついてしまうのです。デジタル信号で動く機械は親戚同士ですからなんでもくっついてしまいます。パソコンがデジタル、インターネットもデジタル、テレビもデジタル、そうするといろいろなものが簡単にくっついて、相互作用しながら極限まで繋がっていきます。最後には世界中の放送が見えるようになるというのは嘘ではないんです。それはデジタルを利用するからです。デジタルの方が極めて効率的だし問題が起きてもすぐ対応が出来るし、無駄もしなくて良い。技術的には長所ばかりで、全てが今デジタル化の方向をむいて走っています。

 デジタル化を整理してみますと、長所は次のようになります。
(1)データを圧縮出来ることです。圧縮が出来れば伝送の効率が高くなってコストも安くなります。
(2)アナログと違ってとなりの周波数を妨害しない。干渉しないのです。FM放送を聴いているとアンテナの加減で電波干渉の雑音が入りますね。デジタルでは基本的にこういうことは無いんです。
(3)放送の多チャンネル化、高精彩化、音の素晴らしさ、映像の素晴らしさ、そういうハイビジョンが容易になることです。アナログではありえない進歩が可能になるのです。

 高精彩の話が出たついでにテレビをデジタル化してハイビジョン化しようということについてですが、日本は世界で13番目にデジタル化をスタートしましたが、現在は世界の43カ国でデジタル化または準備がされています。このまま行きますと50億人の世界の人口の人がデジタルテレビを享受出来るようになります。

 日本が考えた地上デジタル放送の方式というのがあります。ISDB-T方式といいましてすごく優秀な技術なのです。しかし残念ながら世界の採用国が少ないのです。本当はデジタル化していくには、日本の方式が良いと私は信じているのですが、ただ一カ国ブラジルが最近日本方式を入れようと決定しました。

 デジタルの恩恵は映画にも及びます。ハリウッドのデジタルの映画Dシネマなどに見られるようにわざわざフィルムにプリントしなくて良くなります。そのままデータで伝送すればあっという間に日本に届いてしまいます。そこから全国の映画館にもインターネットですぐ送れてしまいます。ものすごい効率化、コスト削減です。

 携帯電話は今後ますます伸びていきます。携帯電話にワンセグ放送が取り入れられ、テレビも見られるようになりました。日本では一億を超える人が携帯を持っています。携帯は世界に広がっていますが、中央アフリカがすごく伸びているのです。先日NHKでやっていましたね。アンゴラとか中央アフリカは実は非常に豊かな農業地帯なのです。農業やりながら先物取引所に電話しているのです。漁師さんは海上に出て、今日は大漁だからあの港が高いから行けというふうにデータ採取に携帯を使っているのです。たったひとつのデジタル機器がその国の生産力まで引きあげるという良い例でしょうか。

 デジタルの進行でパソコンだけでなくサーバーが盛んに使われるようになりました。アメリカあたりでもサーバーの蓄積用受像機が利用されていて、ビジネスマンは夜帰ってきてテレビでなくサーバーを見るそうです。ゴールデンタイムがどんどん深夜に移っていっているそうです。日本もそうなるかなあと思います。デジタルがビジネスモデルにも影響を与えている例です。

 総務省の話では2011年7月24日完全地上デジタルになりますと、ビル陰へも電波が広く届きます。そうすると放送難視聴自体がなくなると予想されます。なくなるというのは良いことなんですが、色々なビジネス上の問題が発生する可能性も考えておかなくてはなりません。今までサンシャインのような大きなビルが出来ると必ず難視聴地域が出ましたから、ビルのてっぺんに大きなテレビアンテナをつけて受信し、そこからケーブルで各家庭に放送を送っていたのです。それはビルオーナーが無償で提供してきました。今度のデジタル化は隅田川畔に高さ600メートルを越すものすごい高いテレビ塔を作るそうで、放送難視聴というのはなくなる予定ですから、今補償を受けている人や事業者が今まで通りの補償が受けられるかどうかということです。国としては電波を出すだけですから、この問題はお互いの話し合いということになっているようです。もし見えないと、本当は見えると総務省が言っているのですから、どこが補償するのかという問題が出てくる可能性があります。ご心配の方は総務省の中にデジタルテレビ放送受信相談センターというのがありますので、電話番号0570−07−0101ですからお問い合わせになったらよいかと思います。

4.IT、光と影

 ICチップ、見るチャンスはなかなか無いと思うのですが、パソコンの中心回路に使われるICチップがどんどん小さくなってきています。イアリングにも入れるとか、衣服につけたりしていますから、薬品にも付くでしょうね。ぱっと薬ビンを開けると「この薬は他の薬との併用をしてはいけません」なんてアナウンスをしてくれる時代が来るかもしれません。家庭の中のデジタル化がどんどん進んで行きます。それは地球規模で起きますから、便利になると共に色々な問題、つまり影の部分も起きてくると考えられています。

 インターネット・ITC情報通信の利用がどんどん増加しています。その結果、温室効果ガスの排出量が増加して、それで地球温暖化の問題が起こります。どこが一番排出しているかと聞かれると、皆さん工場だと思うでしょう。実はよく調べると工場は確かに高いのですが、伸びてはおらず、横ばい乃至やや下がっています。ところが問題はITを使ったパソコンとかサーバーとかそれがものすごい電気消費量を示し、温室効果ガスが排出されてて増加し続けているのです。そしてわたしたち家庭部門の電気使用量も増加し続けています。

 コンピュータは直流で動いています。ですから交流で来ている電気を直流に変えなくてはいけない。ここで熱放出をします。またコンピュータは空調で冷却して使わなくてはいけない。これやそれやでかなりの電力を消費するのです。それは今家庭を初め事務所や工場、コンピュータデータセンター、大学には数え切れない数があり、夜も切らずに動いているものが多いのですから無視できない環境負荷になるのです。

 次ページの参考資料をご覧いただくと一目瞭然です。環境省発表のデータです。 トップは産業部門の工場など、電力会社もここに入るでしょう。1990年から2006年までの観測データです。私たちの常識で言うと産業部門がもっと伸びているように考えますが、やや抑えられていますね。2番目のは運輸部門、自動車関連ですね、これも努力が行われてあまり伸びていませんね。

 ところがICT、コンピュータ、事務部門がぐんぐん伸びて1990年からみると2006年には140%になっているのです。そして家庭部門もデジタル製品の便利なものやガス・電気製品が沢山出てきて130%伸びてきている。地球温暖化対策で福田さんがクリーンジャパンという名前で20年でどこどこまで落とすという計画を発表していますが、少し遅いという感がいなめません。

参考資料、日本の温室効果ガス排出量の推移

 この二つの分野のCO2削減が今後の大きな課題になると思います。まして事務関係はコンピュータの発展をとめてしまうと日本の産業発展を減速させてしまいます。コンピュータはやめる訳にはいかないので、あとはどうやって放熱をしないようにするかということが大きなテーマです。
私はデジタルで便利な社会が来るということもそうですが、その反面こういう環境負荷がますます増大してくることにも関心を持たねばいけないと思います。
また地震対策にもなっていた鎮守の森を守るということにも関心を持つことが大切と思います。自然はいったん壊してしまうと戻ってこないと思っているのです。人間が自分で自然を壊してはいけない。ですからなんとか環境負荷を増やす放熱を防がなくてはいけないと思います。

 ITによる環境負荷増大はITで撲滅すればよいと考えるのです。IT会社によると例えば屋上の冷房ファンをIT技術を使って改造するだけで10%とかの無駄がすぐ取れるということです。一日回りっぱなしのファンを必要なときにのみ回すというようなことの心がけるひとりひとりの、国全体のムーブメントが大切だと思います。ITを使えば簡単に出来るのに現在はまだ行われていないのは残念です。

 もうひとつ影の部分の問題があります。有害サイトから「家庭を守れ」、「子供を守れ」ということです。パソコンはおかげで便利な道具として普及しましたが、ウェブを使って子供たちが被害を受けるという状況が起こっています。「学校裏サイト」というのがあって、小学生や中学生がメールを使って集中的にある個人をいじめる。そういう陰湿な事件が起こっています。ネットで攻撃してきますからお母さんお父さんがいくら努力をしても学校に行きたくないという状況になります。最近はこれにもなんとか対応しようという風になって来ましたね。日経新聞に先日出た記事では、ある年齢に達していない子供がメールを携帯に登録しようと思うと、サーバー側でNOというような仕組み、そのための法律も必要な時期にある。ここまで来たのかなという感じはあるのです。自由は狭められるのですからね。しかし教育の面からいうと子供はもっと違った意味でのびのびと自由であって、裏サイトのような陰湿ないじめを受けてはいけないと思うのです。

 それから、お年寄りがネットで犯罪被害を受けているというのが依然として多いのですね。高齢者はITのことが分かっているわけではないし、アゲンストしようと思ってもなかなか出来ないのです。このITを道具にした詐欺まがいのことが4年間で3倍に増えているのです。商品の販売偽装、振込みの手口を指導するふりをして、お金を搾取する、このような人格そのものに関わる、あってはならない犯罪です。これ等を野放しにするのではなく、ある程度法律で規制をするということはさらにITが伸びようとしている今必要なことと思います。

 最後は光の部分です。それはいつでも誰でもどこでも世界中の放送番組が視聴可能になるということです。放送がデジタル化しますと、インターネットと相乗りが可能になり、世界中の情報が家庭の中に入ってくるということにつながるのです。ユビキタスの世界といわれています。ラテン語で神はいつでも、何処でもいて、遍在するという意味だそうです。

 これを裏付けるように、2008年4月にジュネーブの国際電気通信連合という連合体(ITU)が世界中の放送番組をいつでも誰でも何処でも見られるように世界共通の規格を作るということを発表しました。今年中にその規格が作られるようです。2010年には世界の放送を利用しようとする人達が1億人に達するという形で口火が切られようとしています。

5.未来の放送を考える

講演会場風景
(1)未来の放送メディアは「もっと人々の生き甲斐に貢献する放送にならなくてはいけない」と思います。面白いおかしいというだけでは駄目だと思います。

(2)それから放送アーカイブスといって過去のフィルムとか記録が沢山あります。NHKが保存しているだけで43万本の作品があるといいます。

 アーカイブス放送素材の2次利用は大切なことです。これはアナログデータですからなにも使われていないのです。ところがこういう過去のものはデジタル化しますと取り扱いが簡単になりますからデジタル図書館としても有効利用が簡単に出来るようになります。保存するとともに広く使えるようにしていくためのデジタル化が大事だと思います。

(3)それからインターネットが100%普及して視聴者と放送メディアの双方向機能を生かしたコンテンツが日常化し、相談する、教える、教えてもらうというような関係を放送のなかで作っていかなければいけないと思います。 携帯電話は便利ですが、携帯はコミニケーションが充分でなくても兎も角通じる訳です。ところが人間は相手の顔や表情を見たりして非常に早く深く反応するすばらしい能力を持っていると言われています。赤ちゃんが生まれてから一年もしないうちに潜在的な能力をつぎつぎ出してきます。そういった先天的な英知を引き出さなくてはいけないということがあります。携帯電話は逆に人間関係を希薄にして、相手の呼吸がつかめないとか、相手のタイミングに乗れないとか、考えてみると恐ろしいことだという気がいたします。もっと自然のままの人間性を大事にして、豊かな社会生活を送れるようなIT技術の使い方を考えることが大切だと思います。

(4)もうひとつ市民が作るテレビというものがあります。アメリカには前からありますし韓国でもKBSが7年もやっています。市民が番組を作り放送するのです。「開かれたチャンネル」という番組を作っています。市民の能力を引き出してみんなが芸術家になる、放送作家になるというものです。日本でも一方的な免許制による与えられた放送という壁をこれからは破っていく、市民による市民のテレビを作っていくべきだと思うのです。

6.私の想い

(1)死ぬまでが未来!!
 私はいま71歳ですが死ぬまでが未来だと自分では思っています。人生は、ばたっと倒れるまでが未来だと考えれば楽しくてしょうがない。つまり未来だらけです。上手くいくかどうかは心配しないのです。やることはやってきた筈ですから。そう思うと日々精進出来るし、本も読みたくなるし、音楽も聴きたくなるし、どこかに何かあれば行ってみたくなります。そして出来れば悟りの心境に、いつか到達してみたい。それが私の想いです。

(2)北原白秋
 ちょっとロマンチックなのですが白秋の詩で「雀よ」という詩があります。 白秋は語りかけるのです。

    すずめよ
    おおすずめよ!
    目が覚めたね 
    雨がやんだね 
    むくげ槿が 白く咲き出したね


    おお すずめよ!
       飛んでいい 飛んでいい
    涼しい空だね 朝すずめだネ


 いつもこの詩を読んで白秋はこの心境までいっちゃったのかという感じをうけます。自然と雀と自分を渾然一体にしていますね。私も出来ればこういう世界に行きたいものです。特に病気をしましてこういうことを強く感じるようになりました。

 ご清聴ありがとうございました。(拍手)

おわり

文責:臼井 良雄
会場写真撮影:橋本 曜 HTML制作:大野 令治

本文はここまでです

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