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平成20年7月11日
神田雑学大学定例講座N0415


英語を楽しむ  第二部:問題提起 なぜ通じない日本人の英語  今の英語教育では50年後も日本人の英語は通じない 小学校に英語が導入される前にやっておきたいこと  講師 小倉陽子





目次

 メニューの先頭です 1.講師紹介
2.日本の英語教育
3.私への英語教育の推移と結果
4.英語にカナが振れたら
5.間違った発音が教えられている?
6.現在の公教育で指導する発音と発音記号が示す発音の違い
7.現状の発音教育考察のまとめ
8.問題解決に向けてご提案




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1.講師紹介


小倉陽子講師 第二部の小倉陽子さんは、ご主人とともに長い海外生活を体験なさいましたが、その間、「なんで日本人の英語はネイティブの人に通じないんだろう」という疑問を持ち、日本人が初期教育で習うカタカナで振り仮名を振って発音を覚えた「カタカナ英語が悪いのだ」と言う結論に達し、その欠点を明確に定義し、それを克服する新しいカタカナ表記法を考案した方です。
以前も講座をお願いして参加者一同「目から鱗!」と驚き、「もう60年前にこの講座を聞きたかった」と言わしめた内容を、今日は短い時間ですが新しい聴衆も沢山いらっしゃいますから、要点のみを講演していただく予定です。

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2.日本の英語教育

1873年に東京外国語大学の前身が設立され、日本の英語教育が正式に始まりました。
130年余り前のことです。その後、変革がいろいろありましたが、西洋に追いつけの精神で行われてきた英語教育は、読み書き中心に進められたと考えられます。
その教育がつい4,5年前まで続きました。

時は移り、グローバル化の波が押し寄せています。日本人の通じない英語が問題になり始めました。
近年文部科学省が腰をあげ、教科書に会話文が取り入れられたのは皆さまご承知の通りです。 そしてついに、英語のネイティブ・スピーカーの姿が全国津々浦々の小中学校の教壇で見受けられる様になりました。

講座に聞き入る聴衆 さて、これからが問題です。 ネイティブが教壇に立てば、本当に日本人の英語は通じるようになるのでしょうか。
ネイティブが教壇に立てば、日本人の英語が改善されると英語界のリーダーたちは考えているのでしょうか。
日本人の英語がなぜ通じないのか検証した結果のでしょうか。
いろいろ議論をする必要があると思います。
日本人の英語が通じないのは、教師のせいではなくて教育の方法に大きな誤りがあるからかもしれません。

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3.私への英語教育の推移と結果

この問題を提起しています私は、大学受験に英語で失敗した高校卒の70歳の女性です。
19歳の時、新聞の求人広告に試しに応募して採用されました。
広告主は世界一の銀行でした。そこで英語を使う必要が生じ、その後50数年、得意でもない、好きでもなかった英語に関わる生活が続いています。

日本で英語教育が行われた130年のうち、私が体験したのは、中学で英語を習い始めてから60年になろうとしています。
この60年の節目、節目で、その状況を確認できる立場にいました。

−経緯−   
職場で、10年間、英語の書類に囲まれた生活をする。  
その後の20年、奇遇な出会いから英語塾を任され、経営する。生徒は常時100人が在籍。発音のための教師としてアメリカ人を迎えいれる。 現在のALT形式。   
夫の定年退職後は塾を閉じ、かねて念願のオーストラリアに移り住む。そこで10年間過ごす。
オーストラリアでは、英語のブラッシュアップに心がける。
連日、テレビの前にメモを持って座り、また洋画のシナリオ20巻をはじめ、受験用の参考書などの見直しなど、かなりの時間を英語の勉強に割く。
たっぷりある時間を使ってリスニングを完全のものにしたい、もうすこし、英語らしい口調で話したい、の一心で良いといわれることはかなり真剣に努力をする。

職場で、また塾の生徒を指導しながら、又、オーストラリアでネイティブに囲まれながら、真剣に取り組んできた英語。
でもスピーキング、リスニングに関する良い結果は得られませんでした。
何が、どのように悪いのか原因がつかめず、英語を話すのは、いつも億劫でした。
私の能力、努力の仕方に問題があったかも知れませんが、これという手応えはないままでした。受けた教育・行った学習方法に問題があるのではと考えざるを得ませんでした。

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4.英語にカナが振れたら

外国語を覚える時には、どの国の人も自分の知っている音でカナを振ります。
アルファベットを使う国の人は50音のローマ字表があれば、日本語の音はほぼ完璧に理解することが出来ます。
日本語を勉強する外国人は皆ローマ字表で日本語を習います
。ローマ字のアルファベットはどれも発音記号にあります。外国人は直ぐに日本語の音をマスターします。

日本人が外国語をマスターするためには、日本人の知っている音でカナを振る必要があります。英語の音ををマスターするには、英語のヨミガナである発音記号を日本語の音で表すことができれば、誰でも英語が読める様になります。
そのようなカナが必要です。

オーストラリアから帰国後、はじめに書店めぐりをしました。
日本の英語界の様変わりには、とても驚いたものです。
日本人の気質、投げられた餌にすごい勢いで飛びつく鰻や、鯉の姿が思い浮かびました。
小学生に英語の授業が導入される計画が発表されるや、多くの企業、個人が我も我もと英語の教材の作成、販売にかかわったことです。
10年前には想像もつかなかったほどの子供向け英語教材が氾濫しているのを目の当たりにしました。

そんな中、いままでの経験を生かしもう一度、英語塾を、と軽い気持ちで始めました。
其の生徒の一人が私に大変なことを気づかせてくれました。
日本の英語発音に関する教育に間違いのあることです。
毎レッスンの後、生徒の一人がそばにきては、準備した教材にカナを振ってほしいといってきました。
家での復習のためです。
著作アルファベット70音
「カタカナはだめ。読んでそのまま通じるカナを振ってみよう。」とある日決心しました。  
日本人が発音しにくい英語の発音記号、[A]や[T]の音を [O] や[s]の音と区別して表記出来るようにしようと、「50音」を参考に英語の音を纏めた「アルファベット70音」が出来ました。
(注)「アルファベット70音」については、僭越ですが説明資料が2点あります。
 (1)文芸企画発行 5時間で学ぶ英語の発音 アルファベット70音  
 (2)NPO神田雑学大学第356回講演記録「カタカナ英語が英語でないわけ」
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5.間違った発音が教えられている?

その過程で、日本人の話す英語がネイティブに通じない決定的と思われる原因に突き当たりました。  
それは 発音のルールが盛り込まれている発音記号を無視した英語教育にありました。
具体的にはアクセントと日本語にない音に関する適当でない教育です。  

熱演する小倉講師 発音記号については、それ自体完全なものではないと主張する方もいるようです。  これは国際音声学会を冒涜する大変失礼な主張ではないかと考えます。
日本人の英語が世界で認められているのならまだしも、英語圏の人はもとより、東南アジアの人からも認められていない現状、指導者が口に出来る言葉ではないと思います。   
英語辞書編集者の中にも発音記号は完全でないと主張する方がいました。   
発音記号が不完全で、英語の発音を教えるのに不適当と考えるなら、では何を根拠に 発音を教えることできるのでしょうか。  
 
発音記号が完全でないと考えるのなら、何らかの手段を講じて、ネイティブに通じる発音を指導していただかないと、日本人の英語は宙に彷徨ってしまいます。   
今までの歴史が物語っています。
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6.現在の公教育で指導する発音と発音記号が示す発音の違い

(以下の文章ではアクセントの位置はカナの下の下線で表記しています。)

(1)アクセントのある音の発音について
現在の公教育では「アクセントのある音は強く発音する」としています。  
アクセントのある音は強く発音。教育の賜物、日本人の共通認識です。  これでいいのでしょうか。     

アクセントを表す英語はstressです。   
stress はある英英辞典によると、extra force used in speaking a particular word or syllableとあります。そしてforce はstrongが原義とある。 だから、アクセントは 強 くとされたのでしょうか。
strong はいろいろの場面に使われ、それぞれ適当な日本語の表現が辞書にあります。 音声に関して、strong とはどういうことなのでしょうか。  
教室風景 ある辞書のstrongの項には声がしっかりとして高い」とあります。
他にもアクセントのある音の発音に関する記事があります。
New Handbook of Englishのアクセントに関する記述から は「強く、高く、心持ち長く、 はっきりという」
50人のアメリカ人にアクセントについてアンケートをとった結果 は「強く35%, 高く長く35%、はっきり30%」
website http;//www.englishclub.com からアクセントのある音 はloudly 声高に」    

例えばヨコハマを英語ネイティブが発音する場合、ハを高めに発音します。決して強く発音しません。
またハを高く発音すると自然にハが長めになるのが、ネイティ ブの語調です。    
ネイティブは決してヨコハマのハ、オオサカのサを強く発音していません。  

アクセントのある音の出し方は「高め、ながめ、はっきりと」、とするほうがよりネイ ティブの英語に近いと思われます。
「強く」とだけ指導している日本の発音教育は不十 分であり、むしろ誤りであると考えます。

(2)アクセントがつくべき音   
現在の初学者用の英和辞典のカナは子音にアクセントが付けられています。
deskにスクというふうにアクセントは子音についている。   
これでいいのでしょうか。      

英語のアクセントは母音についています。子音につけてはいけないといいます。    
deskは[e]の音にアクセントがあるのであって、[d]の上でもありませんし[de]の上でもありません。

(3)音の数   
「『発音記号は1音1記号である』、のに、子音と母音が1音に発音する表記がされています。」    音が少なくなっている。これでいいのでしょうか。    
以下は私の提案する表記法と比較してみました。       

my はマイ(2音)ではなくマアイ(3音)表記が正しいと思います。    
deskはデスク(3音)ではなくデエスク(4音)表記が正しいと思います。        
従来の方法では、寸詰まり感の語調、打楽器調の英語になり、高低波のあるネイティブの英語とかけ離れた、日本人だけに通じる英語になっています。   
こうやって子音と母音を分けてカタカナ表記することにより、英語と同様、母音にアクセントをつけることが可能になります。

(4)日本語にない音の無視      
英語には日本語にない音がいくつかあります。これが初学者用の英和辞典のカナ表記では混同されています。これでいいのでしょうか。   
Right ライト(正しい、権利) と light ライト (光、軽い)は同じライトとカナが振られています。  Hat ハット(帽子) と hut ハット (小屋) も同じです。
この違いがカナ表記では区別がつきません。   
これではネイティブの聞き手が混乱し、判断できず意味不明となり会話が成立しません。    

特殊カタカナ

(5)英語の教科書に記載されているローマ字表。   
ローマ字は外国人が日本語を学ぶためのもの。
これは英語を日本語化する以外何ものでもありません。  これでいいのでしょうか。      
英語のヨミガナである発音記号に日本人の読めるカナを用意するべきです。   
その一例が私の考案したアルファベット70音表記法です。

アルファベット70音表の一例


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7.現状の発音教育考察のまとめ

以上6−(1)から(5)で示した現状の発音教育をまとめると、アクセントが子音につき、その子音を強く発音する。
しかも音の数はネイティブの話す英語の音(発音記号の数)より減少し、日本にない音を無視しているという独特の英語は日本人だけに通じる、日本人だけが理解できる英語になっている。
又教科書に記載のあるローマ字表は英語を日本語化する根源にもなっています。     

(注)1−5までの項目について公教育の内容とした根拠は次のとおりです。      
(1)「アクセントのある音は強く発音する」と、いずれの教科書でも指導されている。      
(2)(3)(4)については学校の勉強に準拠している旨が初学者用の英和辞典、 教科書ガイドに記載されています。      
(5)についてはほとんどの教科書にローマ字表が記載されています。

ネイティブはアクセントを聞いて意味を判断するといいます。
アクセントに関する杜撰な教育は日本人の英語が通じないという重大、且つ看過できない問題につながっています。
リスニング、スピーキングに絶大の影響を与え、これが日本人の英語を通じないものにしている最大の原因と考えます。  
せっかくネイティブの本物の英語を聞いても、子音と母音を1音に発音する日本語を母国語として話し、日本語にない英語の音は、日本語の音に変えて聞いている私たちは、聞いただけでは、その発音を真似ることが出来ません。
つまり、今のままでは50年後も、日本人の英語は通じないということになります。

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8.問題解決に向けてご提案

根本的な取り組みが、早急に必要であると考えます。
その解決法として、文部省と辞書出版社に次の検討を提案しようと思っています。

1. 初学者用の英和辞典のカナ振りを正す。母音にアクセントをつける。

2.アクセントのある音は、高め、長め、はっきりと発音するよう指導する。

3番目の提案
4.ローマ字を教科書から取り除く。
小学校に英語が成果として取り入れられることになりました。 何事もはじめが肝心です。
子供は大人の想像をはるかに超えた能力を持っています。
はじめから、発音記号に出来るだけ近いネイティブに通じる発音を指導する義務が指導者にはあります。
辞書編集者は、手掛かりとしてのカナといいますが、いくら手掛かりとしてのカナ表記といえども、そのカナは、脳裏に刻まれ百害につながります。
早急にこれ等の問題を取り上げる必要があると考えます。
私は、この考えに到達してから、本を著し、機会を見つけては発表し、ウエブサイトでの意見の公開など、行動を起こしてきました。
その反響は英語教育関係者以外には圧倒的な支持、賛同を頂いています。
未来のために、早急にその問題に取り組む必要があると考えます。 関係各位のご洞察、改善をお願い申しあげる次第でございます。
ご意見ご反論ご関心のある方は是非下記にご連絡いただきたくお願いいたします。

小倉陽子
アルファベット70音研究所代表 NPO法人神田雑学大学理事  
http://www.hatsuonkigou.com
e-mail: youko@hatsuonkigou.

終わり


文責:臼井良雄
会場写真撮影:橋本 曜
HTML制作:臼井良雄

本文はここまでです



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