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神田雑学大学講演抄録 第475回(平成21年10月2日)


講義名「管理から見るマンション〜入門編」

講師 若木智円(わかぎちえ)
 

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プロフィール

1.プロローグ

2.マンション管理士

3.中古マンション購入編

4.リゾートマンション編

5.共用施設

6.長期修繕計画

7.修繕積立金の推移

8.今、マンションは買い時か? 
〜 売れ残りの値引きマンション

9.マンション購入時の内覧会検査

10.エピローグ マンションの管理組合の活動




若木智円さんの顔

★プロフィール

マンション管理士、フリーランスライター、作詞家、専門学校講師。
企画構成をした本 NHK出版「良質なマンションを手に入れる」著者:村上健

ブログ
http://mansionkanrishi.blog67.fc2.com/  







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1.プロローグ

私はもともとフリーランスのライターで、テレビ、ラジオ、雑誌等の原稿を書く事が本職でしたので、マンション管理には全く縁がありませんでした。 それが数年前にマンションを買い、それまで建築等に関する事は知識、経験ともにゼロだったのですが、買ってみると様々な問題があることが判り、管理組合や修繕委員会でボランティア活動をしました。

そして、その知識と経験を活かそうとマンション管理士の資格をとりました。 また、私が非常にお世話になった一級建築士・マンション管理士の村上健先生の書かれた「良質なマンションを手に入れる」の企画構成もやりましたので、こちらもご紹介いたします。 本日は、これらの体験をもとに「管理から見るマンション・入門編」のお話をさせていただきます。

話の中には、マンションに関してネガティブな事もあります。マンションを買うな、住むな、と言うわけではなく、むしろ、私はマンションが大好きです。 マンションの営業なら良い面のみをアピールするところでしょう。

けれど、セールストークではわからない面の話をすることで、「そんなこととは知らなかった」というような後悔をされず、快適なマンションライフを過ごしていただく事が願いです。 マンションを購入する層は、収入や家庭環境がある程度落ち着いてきた三十代も多いのですが、近年は年配の方も増えています。

戸建てに比べ、寒くない、家の戸締りが簡単、バリアフリーで楽、駅や商業施設に近い物件が多い、などの理由があります。 これまで戸建てに住んでいた方も定年などを機会に生活に便利なマンションに住み替える方が非常に増えています。

マンションを購入する際、立地、間取り、予算等を検討される方も多いことでしょう。しかし、「マンションは管理を買え」という言葉がある通り、管理の質によって、その資産価値、居住性に大きな差がでます。

例えば、管理が杜撰なマンションでは、清掃が行き届かず、建物の老朽化が進みます。その一方で、一見、清掃や建物の維持はきちんとなされているように見えても、実は、管理費・修繕積立金の無駄遣いのチェックが管理組合としておろそかな為、管理費等がどんどん値上げされることもありがちです。

マンションの管理は、住民のパワーによって、大きく変えることができるのです。 建築や会計、法律の専門的知識がないからといって何もできないわけではありません。 一人一人のモチベーションと、行動力がポイントです。 これからマンションを購入しようと思っている方、現在、マンションに住んでいらっしゃる方、「管理」の側面から見たマンションについて改めて考えてみませんか?

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2.マンション管理士

国家資格で、合格率は7〜8%です。 「試験に合格し、登録を受けて、マンション管理士の名称を用いて、専門知識を持って、管理組合の運営その他マンション管理に関し、 管理組合の管理者等またはマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とするものをいう(マンション管理適正化法より)」 この試験を受ける人は宅建や一級建築士の資格者や、管理会社に勤務している人が多いのですが、私のようにマンション管理の経験を積んで勉強し、資格をとってみようとする例もあります。


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3.中古マンション購入編

マンション購入時の重要事項説明を受ける際に大切なポイントがあります。 宅建業法35条の第一項第六号の宅地建物取引業法施行規則の第十六条の二によれば、
六.当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積み立てを行う旨の規約の 定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額

九.当該一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容これらを見ることで、その管理組合が長期修繕計画をどのように取り組んでいるかがわかります。

●過去の修繕履歴・・・適切な修繕が行われているか
(修繕機関が早すぎないか? 逆に遅すぎないか? 修繕費が高すぎないか?)

●今後の長期修繕計画・・・きちんとした計画が25年以上たてられているか
(その計画は、5年毎に見直しがはかられているか?)

●現在の修繕積立金の総額・・・その額は今後の修繕計画において、赤字になっていないか。

もし、きちんとした長期修繕計画がたてられていなかったり、修繕履歴の記録が残っ ていないのであれば、そこの管理組合はあまり機能していない可能性があります。

実際、私が体験した例ですが、同じ地域で同じ売主、施工業者の双子のようなほぼ同じ物件なのに、管理費と修繕積立金の合計が2万円と3万円で、1.5倍も違っていたことがありました。 どちらかの管理組合が管理に熱心で、どちらかが不熱心な可能性がありますが、それは、単に金額だけでは判断ができません。修繕計画、修繕履歴等、その内容を精査して見極める事が非常に大切です。

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4.リゾートマンション編

日本もバブル期以降、避暑地や海岸で瀟洒なリゾートマンションが増えてきましたが、 購入する際に注意しなければならないことがあります。 リゾートマンションで通年生活をするという人は少なく、普段、そこで暮らしていない分、管理組合がうまく運営されず、 長期修繕計画も修繕の満足な記録もないケースもあります。

       熱心に聞き入る受講生

そして、管理組合の活動がきちんと行われていない所では、中古価格が一戸100万円、それなのに、管理費・修繕積立金の合計が5万円などということも珍しくありません。 過去に供給過剰だった地域では築20年、50平米で30万円で販売されている物件もあります。

これらの中には管理費滞納が長期化しているケースもあり、それを購入する人に滞納金の請求が行く事もあります。また、マンションの管理組合全体からみても、滞納金が多額であれば、それだけ収入が減ることになり、困った問題になります。 中古を買う際は、管理費の滞納がその住戸にないか、を確認すると同時に、マンション全体に滞納金がないか、といった事も調べる必要があります。

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5.共用施設

近年、都心のマンションでもプール、スパ、フイットネスジム、ミニショップ、ゲストルーム、カフェ、コミュニケーションルーム、キッズルーム、バーベキュー、ライブラリー、AVルーム、ドッグラン、水景設備など、とっても便利で快適な共用施設をもったマンションが増えていますが、これらも種々問題があります。 たとえば住民のマナーが悪くて不愉快な思いをすることや、衛生管理の問題、実はカフェに多額の委託費を払っている、水景設備の清掃費が結構高い、といった事等もあります。 共用施設は魅力がありますが、管理や費用等も検討する事が大切です。


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6.長期修繕計画

平成18年9月に閣議決定された「住生活基本計画(全国計画)」によると、平成15年時点で、25年以上の長期修繕計画をたてているマンションは、20%しかありません。

修繕周期の目安
(マンションの環境、施工状況、管理状況により異なります)

鉄部のペンキ塗装        4〜6年

露出防水アスファルト工法   12〜15年

照明器具・外壁塗装改修工事  12〜18年
(外壁、バルコニー、共用階段、廊下等) 

ガス埋設管          12〜24年

給水設備、消火設備      18〜24年

保護アスファルト防水工法   18〜25年

ガス屋内管、浴室防水改修   24〜36年

外壁塗装撤去後調整塗り替え  36年〜

アルミサッシュ        36〜48年



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7.修繕積立金の推移

 マンションの契約時に、管理費と修繕積立金の額をふまえてローンを組みます。 その時の金額がずーっと続けばいいのですが、数年後、値上げや、一時金の徴収がありがちです。  近年のマンションの多くは、管理規約に修繕積立金の予定額の推移も掲載されています。

マンションは年々、(大規模)修繕が必要になります。最初から、大規模修繕に足りる額に設定すると、販売し難い事もあり、あえて、契約時は低い額が設定されている事もあります。 10年後には、修繕積立金の値上がりや一時金の徴収をする計画になっているマンションが多数あります。

その頃には住宅ローンの金利も上がっている可能性もあり、その一方で、住宅ローン減税終了のケースもあり、支払いがキツくなる人も少なくありません。 これからマンションを契約しようとしている方、最近マンションを買った方、修繕積立金の推移を確認してみて下さい。


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8.今、マンションは買い時か?
 〜 売れ残りの値引きマンション

去年頃から、売れ残り物件の値引きが顕著になってきました。 値引きは大変、魅力的です。その一方で何故、売れ残っているのでしょうか?

1.物件自体に問題がある・・・例:駅から遠い。近くに居住環境に悪い施設がある。

2.売主・施行者に問題がある・・・民事再生法、会社更生法の適用を申請中。

3.物件自体はいいものだが、不景気なので割高・・・2年位前のマンションブームの頃&外資を中心に景気が良かった頃に値付けされたので、不景気の今は割高。   また、経済状況が悪くなってキャンセル者続出。

4. 物件自体は悪くはないが、その地域の開発が多く行われ、供給過剰になっている。

5.物件自体は悪くはないが、販売方法が失敗した為、売れ残りができ、購入検討者が「売れ残っているのは何か理由があるのではないか」「もう少し待てば、もっと安くなるのではないか」 と疑心暗疑になり、売れ残り状況の悪いサイクルにはまっている。

この上記5点は、複合している場合もあります。 「〜が良くなれば」という事で解決するのが3〜5.(景気が良くなれば、全戸完売等) しかし、解決の見込みがない場合、その悪条件を了承できるか、どうか、にかかっています。 ある人によっては欠点でも、ある人にとっては欠点ではない、という程度のものならいい感じもしますが、ある人によっては欠点となるのであれば、将来、転売する時に、支障になりかねません。

例えば、65歳で定年退職後、通勤の必要がないし、マイカーがあるからと、郊外の環境の良い場所を選んだ方がいらっしゃいました。 しかし、70歳も半ばになると段々、車の運転が億劫になり、 そうなると、駅から遠い物件を不便に感じるようになり、子供達の近くで暮らすことも検討を始めました。

しかし、いざ、売ろうとすると、買った時の半値と査定されてしまいました。  このように、悪条件を納得して買うからには、数年で転売することなく、最低でも十年先のビジョンは見越して買わないと、後々、後悔することになるでしょう。

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9.マンション購入時の内覧会検査

 外壁タイル、モルタル、長尺シートの浮き等を検査する打診棒の写真 マンションを契約すると、「内覧会」というものがあります。自分の購入住戸の設備・仕様・仕上げ状況を確認する場です。入居後、欠陥に悩まされないよう、本来はきちんと検査すべきです。 しかし、「お披露目会」だったり、「採寸のみ」しかない購入者も多数います。

素人だからわからない、プロに頼むと高い、という方にわかるチェック方法があります。たとえば、バルコニー等の外壁タイルや長尺シートの浮き等は、ホームセンターなどで数千円で購入できる打診棒で簡単に検査ができます。 また、水漏れなどのチェックも大切です。 
傷汚れだけでなく、機能的な検査も心がけると良いでしょう。

★ 参考資料 「村上健 内覧会検査のコツ DVD」
村上健:一級建築士、マンション管理士。大手建築設計事務所等で約40年、マンションやビル等の設計管理を行う。 スーパーゼネコンから中小ゼネコンまで、現場の指導監督も経験。リタイア後、不正な建築は許すまじ、と購入者を助ける為に、 全国各地のマンションの内覧会検査や施行中現場検査を行う。内覧会検査の数は七年で千件を超す。
著書:NHK出版 生活人新書「良質なマンションを手に入れる」

「村上健 内覧会検査のコツのDVD」見ながら講演をされている若木智円さん    村上健 著書 「良質なマンションを手に入れる」


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10.エピローグ マンションの管理組合の活動

管理組合の活動は大変ですが、やり甲斐はあります。マンションの建築等の知識がないからといって何もできないわけではありません。 実際、私自身は、知識経験ゼロでした。しかし、持ち前の好奇心と長年、マスコミの仕事を通じて培われた真実を追求する姿勢から、どんどん色々な事を経験していきました。

住民の方々に、このマンションで何が起きているのかを知ってもらう為に、マンションの広報新聞も作りました。現在は、マンションの内覧会検査の仕事もしています。 管理組合の中では、これまで専業主婦で何もわからない、とおっしゃっていた方も、マンションで過ごす時間の多いことや、主婦ならではの観点から、節約を始めとした色々な問題点をチェックし、提案し、実行されています。

皆さんが築きあげてきた経験を「管理組合」というボランテア活動で活かすチャンスなのです。神田雑学大学のボランテア精神とつながる面もあります。 現在、マンションにお住まいの方、これからマンションを買おうかと検討されている方が快適なマンションライフを実現できますように・・・。
 
(文責 得猪外明)



・写真撮影:橋本 曜 ・ HTML制作:上野 治子


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